3月20日
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女子マラソン弘山夫妻、ボルダーへ出発
(東京都内、プレスセンター)
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女子マラソン2時間22分56秒の日本歴代2位を持つ、長距離の第一人者・弘山晴美(資生堂)が、4月22日の賞金レース「ロンドンマラソン」への強化練習のためにボルダーに出発した。ここまで千葉でのクロスカントリー、京都シティハーフと順調にレースをこなしてきており、ボルダーで本格的なマラソン練習を積んで、4月上旬にはワシントンで短い距離のレースに出場、米国から直接ロンドンに入る。ロンドンは弘山にとって、シモン(ルーマニア)とデットヒートを繰り広げた昨年の大阪以来1年と3か月ぶりとなり、シモンのほか、世界最高記録保持者のロルーペ(ケニア)、シドニー五輪銅メダリストのチェプチュンバ(ケニア)らが出場を予定。女子マラソン界のNo.1を決定するビッグレースとなる。
◆弘山夫妻との一問一答
──現在の体調は
晴美 今走り込みの最中なんで、正直なところちょっと疲れもあるみたいです。でも、どこか気になるところがあるわけではないです。
勉 ここまで練習内容も充実していると思います。いい感じで来ているな、と横で見ていて思ってます。
──1年前の大阪のときと比べるとどうですか
晴美 あのときは自転車で転んで、カゼまで引いて熱を出していましたから(笑)。
勉 練習そのものは、あの大阪の前、転ぶところまでのほうができていたかもしれないですね。でも、比較してどうこうというわけではありませんので。
―一ボルダーでは何をしたいですか
晴美 まだ全然メニューも聞いてないんですよ。あすから何をやるのか。
勉 ああ、よかった。買い物、とか言うんじゃないかと思った(笑)。まあ練習は普通のものです。欲を出してやろうという気も、ないわけではないのですが、怪我をさせたくはありませんから。
―一このレースは勝負に徹すると言ってましたけれど
勉 そうですね。でも勝負にといっても、2時間20分から21分の力がないと勝負にはならないでしょうから。それくらいの力にはしておかないとならないですね。いろんな選手が出てくるんで、そこで勝つということはおのずと力がなければならないでしょう。大阪のときには、記録と勝負と両方を考えなくてはなりませんでしたから、ちょっと厳しかったですが、今回はそういう意味では(勝負に徹して記録も)と順番がはっきりしている分、狙えると思います。
―一ようやく、世界の大舞台でのマラソンとなります。今の気持ちは不安と楽しみとどっちが大きいですか
晴美 そうですね、どちらかといえばとても楽しみという気持ちです。これまで何となく気持ちが入りにくかったのが、今になってやっとマラソン練習に取り組めるんだ、と思えるようになってますね。故障なく、大体いつもマラソン練習の中で故障をしますが、今回は故障がなく、来ているのもいいことです。
勉 千葉クロカンまでは彼女自身に、いいイメージが沸かなかったと思うんです。でも千葉、京都ときっちり走ってからよくなった。気持ちの上でも以前とは違ってなんでも余裕を持って臨んでいると思います。
―一勉さん、ロンドンを走ったのは
勉 ちょうど10年前の91年ですね。
―一タイムは
勉 忘れました(笑)。今回、レースディレクターから、晴美が旦那の記録を破ったらボーナス出すから、なんて言われてます。
晴美 また燃える材料が……。
ボルダーではできれば40kmを1、2回、あとは通常のトレーニングと変らないメニューになるそうだ。
「逆算と加算の違い」
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世界選手権、オリンピックと、それぞれの選考会、本番と、ここ2年とてつもない緊張感と結果を求められてきた夫妻にとって、選考会とレース本番が頭から離れた日はなかったのではないか。
当然のことではあるが、ひとつのレースを作りあげるとき、その日から「逆算」して、練習計画を立てねばならない。どんなに体がフィットしていなくても、気分が乗らなくても、ある程度の時期に来れば見切りスタートをしなくては「ならない」わけだ。
しかし、今回、シドニーの1万メートルレースが終わり、休養し、年明けの奄美大島での合宿から2人を取材しながら、いい意味での「緊張感の欠如」を感じていた。それは、集中力を欠いているとか、目標意識が薄れているとか、そういったネガティブなものではなくて、どこかにおおらかさを感じるものでもあった。
勉コーチがこの日話した説明は、的を得ていたと思う。
「これまではいつでも逆算して、その時間の中からレースを組み立ててきました。やらなくてはならないのは当然ですが、今回は、そういう逆算をしなくて良かったというか、むしろ自然な流れの中に任せる状態から、いいところを拾いながらここまで来られたと思います。それが、これまでとは一番違う」
聞くだけならば、どうということはないように感じられるが、逆算と、一種加算のような今回とはアプローチが明らかに違っており、そのアプローチの違いにおいて、3度目となるフルマラソン、ロンドンマラソンでの走りが楽しみになる。
98年の3月の名古屋が初マラソンで3位、昨年の大阪は2秒差の2位。順位も加算されることを祈りたい。
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