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Jリーグディビジョン1 1stステージ第1節
試合は延長に入り、延長前半8分、横浜の波戸がドリブルで切り込んで行こうとしたボールを望月が奪ってそのままゴールへ突破、右を走ってきた布部にパスを出して、布部陽功がこれを落ち着いて持ち込んでシュート。神戸が決勝ゴールを奪って1-0の延長Vゴール勝ちを収めた。 移籍した三浦はイエローカードを受けるなど気持ちを全面に出してチームをリード。前日まで風邪で発熱しており、まだ鼻声での会見となったが、新天地での初勝利に表情は明るかった。 神戸・川勝良一監督「25分くらいまで相当動きが固かった。しかしハーフタイムにロッカーで引き上げてきたら、選手が冷静だったことと、相手が飛ばしている、と話していたので後半いけると感じた。横浜が3-5-2にしてくれたのはうちにとってラッキーだった。カズは、チーム全体のためにいいプレーをしてくれたと思うし、前に張ってもらっていいポジショニングをし、チームを生かす仕事をしたのではないか」 横浜マリノス・アルディレス「これがうちのベストメンバーです。うちのレベルはホームに神戸に勝てないということ。完全に中村に頼り過ぎ。怒っていたサポーターもいたけれど、私のせいでも選手のせいでもない(フロントのせいという意味)。23歳以下が平均年齢で、まるでユースのようだ。主力が抜けて、休みの間にめちゃくちゃなことをしてしまった。どうしてこうなったのか理解できない。代表が5人いるが、これが何人残るか。若い選手を使わざるを得ない展開はよくない。選手や我々を怒らないで欲しい。今は強化が必要だ。フロントへの要望を出しても理解してもらえない。チームが変りすぎて自分のポジションもわからない。すみませんが、思ったこと以上の話を(フロント批判のこと)言ってしまいました」 Vゴールをアシストした望月「波戸は、ボールを出して、オレを抜こうと思ったんじゃないかな。それがわかったんで足を出してボールを取ろうと思った。今日は勝つという意識がものすごく皆強かったし、だからこそ流れを引き寄せてこられたのだと思う。負けてしまったらいい試合をしても何もならないのが開幕戦。0点で抑えたし、これで、ホーム初戦も勝って勢いをつけたい」 Vゴールを決めた布部「重良(望月)のボールはすばらしかった。延長になっても負ける気はしなかったし、チームがひとつになった気持ちが勝利につながった。風はベンチに向かって吹いていて非常にやりにくかった。まだまだ始まったばかり、次も勝ちたい」
城 彰二「3-6-1の1トップで臨んだ前半の形をもっと試したかった。後半から2トップに変えたが、1トップのままでいけばもっともっとスペースがあったし、チャンスも作ることができたと思う。前半の20分から30分くらいまではうちのペースでいい感じでできていたけれど、前半の終わりくらいから歯車がくるってきた。その流れをまたうちに戻そうとして監督は後半から2トップにしたのだと思う。その意図も半分くらいはわかるけれど、選手の間でも3-6-1の方がやりやすいというのはあったし、自分自身も1トップでもっとやりたかった。俊輔はボールがなかなかもらえなくて、どんどん後ろの方に下がってしまったが、みんながもっと押し上げて、俊輔が前でボールをもらえていれば、チャンスもより多く作れたと思う。 試合を観戦したトルシエ監督「今日は非常にいいゲームだった。誰がいい動きというのではなくて、みな良かったし、ここに来たのはエキサイティングなゲームであろうと予想したから。お陰で、トトカルチョは当たらなかったわけだが(笑)。試合は前半よりも後半のほうが良かった。カズはとてもいいプレーをしていたと思う」
「“ベテラン”と書いて、“試合巧者”と読む」 Vゴールを決めた布部は試合後、しみじみと口にした。
「でも、監督も、真ん中に(前で)張っててくれ、と言っていたのでその約束を守った。どうしても、相手の守備が動くから、(Vゴールの場面も)こちらに引きつけられていたと思う」と、ゴール前のスペースを演出した場面をそう説明した。事実、マリノスの松田直樹、小村徳男が三浦の側でマークをしてしまい、GK川口能活も三浦を気にしてポジショニングを取っていた。その結果、布部が完全に1対1でボールを受けシュートに持ち込めたことになる。 サントスがチームに合流したのは2月28日、まだ数試合のみの手合わせで試合に挑んだ。しかし、鹿島、清水と上位チームをリードしてきた40歳の現役には、この試合をどうすればものにできるかを考えることなど、たやすいことだった。 サントスのこの言葉通り、流れがそのたびに引き寄せられて行くことに、布部だけではなくほかの若手も不思議な気持ちがしたという。後半ラスト15分の流れをそのまま持ち込んだ神戸と、2トップにしてから悪い流れをひきずったマリノスでは、延長の結果もすでにわかっていたことなのだろう。 布部にとっては、Vゴール以上の収穫があったのかもしれない。 |