syms
メタル触媒付きフロントパイプの装着 |
〜 筆者の視点による私的な装着記 〜
●2003-06-14:新製、●2003-06-15 〜
:校正、●2003-07-14:仮公開、
●2003-07-21:加筆(3ヶ所、印あり)、●2003-07-23:加筆(「まとめ」と「あとがき」)&正式公開
<もくじ> 1.まえがき 2.メタル触媒付きは必須 3.純正センターパイプ(通称フロントパイプ)の取り外し 4.秘密兵器(KTCフリーポジションレンチ)の巻 5.純正パイプとsymsパイプとの比較 6.純正パイプの耐久性(防錆耐力)について考える 7.symsメタル触媒付きフロントパイプ(通称)の装着 8.初期インプレッション 9.まとめ 10.あとがき |
(注) :
比較的長文ですので、ダイヤルアップ The number of visitors to
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1.まえがき |
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BG型レガシィのフロントパイプ
(※注)
をシムスのメタル触媒付きのステンレスパイプに交換した。その際の作業風景と、純正のフロントパイプ
(※注) に関し思うところについて述べてみる。 (※) : 「フロントパイプ」 は通称名。正式には
「エキゾースト パイプ、センター」
である。つまり富士重工業(株)では、世間一般で呼ばれるところの
”(いわゆる)フロントパイプ” は ”センターパイプ”
という名称となることは、すでに別ページで述べた通り。詳細については、こちら
→ 「PRS
触媒付きセンターパイプに関する考察」 の
第3章:コーヒーブレイク(豆知識) 参照のこと。 |
2.メタル触媒付きは必須 |
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私のポリシーとして、純正で触媒の付いている排気系をアフター物に換える場合、アフター物にも触媒が付いていることが必須条件である。法規上
(車検上)
の問題もあるが、排ガス浄化性能をおろそかにしたくないという考えがあってのことだ。
アフター物の排気系の場合、触媒としてセラミック系の担体が・・・というより、触媒そのものが内蔵される例は少ない。例えば 「触媒コンバーター」 なるものは、純正触媒が内蔵されている部分を丸ごと触媒レスのパイプに置き換えるためのパーツだ。スバル車においては、特にフロントパイプ(通称) に限っては、ほとんどが触媒レスのストレートタイプである。触媒付きのものは、仮にあっても高価なメタル担体タイプになる。 私自身は、スポーツ性能と排ガス浄化性能を両立できる可能性のあるメタル担体タイプのフロントパイプ(通称) が欲しかったので、選択肢は少ないながらも、こうしたメタル担体採用モデルが市販されていること自体は歓迎している。 ただ念のためあえて書くが、メタル担体は決して万能触媒ではない。確かに排気抵抗は触媒レス (ストレート) タイプに迫り、かつ排気ガス温度が低温時からでも浄化性能に優れる特性が得られるかも知れない。だが、そのバランス点はメタル担体の仕様によっていかようにも調節できる。具体的には、担体そのもののサイズ (径や軸方向の長さ)、セル密度、ミル(壁厚)、ホルダ (角度など保持方法)、表面処理(コーティング)、といった各パラメーターが重要になってくる。要するに、メタル担体にもピンからキリまであるということだ。 だから我々ユーザーは、単に 「メタル触媒を採用」 という理由のみで、アフターパーツメーカーの商品宣伝文句に踊らされることは避けるべきである。ワケもわからず 「メタル触媒」 という言葉をありがたがる必要はない。今や自動車メーカーそのものが最初からメタル担体を純正採用する時代である。 さて、純正ではセラミック担体が採用されているBGレガシィに、アフター物のメタル触媒付きフロントパイプ(通称) をあてがう場合、選択肢はシムス製かゼロスポーツ製ということになる。もしかすると、実はこの2社以外にもメタル担体のフロントパイプ(通称) があるかも知れないが、情報量が入ってこないのでパスすることにする。 今回は、装着にあたり新品 or 中古は問わない。もちろん新品の方が良いことに違いはないのだが、なにぶん非常に高価なシロモノである。シムスのMキャタ付きフロントパイプ(商品名) で定価が約11.5万円、ゼロスポーツのスーパーメタルフロントパイプ(商品名) で定価が約12.0万円もする。確かにメタル担体は供給メーカーが数社に限られており、仕入れ値も比較的高価であると考えられるが、これらアフター物では、定価に占める性能品質以外の部分・・・例えばブランド料とかイメージ料とか・・・が含まれているように思えてならない。私見だが、これら排気系の定価には、およそ商品自体の性能品質から予想されるコストと純利益以外のものの割合が非常に大きいのではないか?という印象を持っている。 私の極めて私的な価値観で判断すると、装着することで得られると考えられる効果に対し、こうした新品価格は高すぎると思う・・・あくまで私見であるが。よって程度の良い中古品を探すことになる。 -------------------------------------------------------------------------------------- これは余談だが、当サイトの読者の中には、私がクルマのパーツに湯水のごとくお金をつぎ込んでいるかのような印象を持たれている方がいるかも知れないが、そんなことは決して無い。まず、たいていの部品はオークションで格安で手に入れた中古品である。特に、解体屋さんで入手したスバル純正の他グレード用・他車用の部品を流用する場合が多い。もしも新品を買う場合は、もともと新品でも価格が安いか、あるいはその価格が得られるべき満足度(価値)に見合ったものであろうと判断された場合に限られる。 また、取付作業もDIYでのセルフ作業が多いため、特種な作業を除いては、工賃も外部に支払うことは無い
(自分で出来ない作業は、素直にディーラーに依頼するが)。だから市販の商品を、新発売と同時にショップからあれもこれもと買って作業依頼し、ポン付けを重ねていくようなことはまず無いのである。・・・まぁ、そうやってアフターパーツの意味合いを一歩引いた位置から色々と吟味した結果、最終的に装着することに決めた時には、もうすでにその商品自体が絶版間近だったり、あるいはクルマ
(レガシィ) 自体が何世代ぶんか型遅れになってしまっていることも多いのだが・・・(苦笑)。 |
3.純正センターパイプ(通称:フロントパイプ)の取り外し |
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タイトル作業の概要を書くと、インタークーラーを外し、左右タービンの遮熱カバーを外し、しかるべきボルトを緩めると純正センターパイプ
(通称:フロントパイプ) が取り外せる状態となる。作業手順は整備解説書に準じるが、例えばタービンの遮熱カバーなどは、整備解説書の記述通りではなく、先に車輌の下側のボルトを緩めてから上側のボルトを外した方が作業性が良いなど、実際に作業した者でなければ分からない細かな発見による工夫が必要なこともある。 整備解説書はその名の通り、整備する際のよりどころとなる冊子であるが、その基本的な意味を曲解することの無い範囲内であれば、効率や作業性のアップを狙い、自分の経験に基づく自分なりの工夫や判断を作業工程や手順に加えた方が良いかも知れない。整備解説書は完全無欠ではないのだから。 適当な工具 (後述) を用いて、どんどん取り外し作業を進めていく。もちろん、作業場所は自宅玄関前の地下ピットである。もしもピットではなく2柱リフトで作業する場合には、クルマの上 (ボンネット側) からエンジンルームに身を乗り出して作業する工程と、クルマの下に潜り込み上方へと手を伸ばして作業する工程が交互に続く状況・・・例えばタービンの遮熱カバー脱着など・・・では、その都度、リフトアームに載せた車輌本体を上下にリフトアップ&ダウンさせなければならない。つまり、重量物 (つまりは危険物) である車輌の上下移動に伴い、毎回その車輌姿勢が安定していることを確認しなければならないという手間が残る。リフトアップ&ダウンを繰り返すうちに、安全装置のレバー (リフトアームの下降抑止ストッパー) を引き忘れる・・・などといったうっかりミス (危険リスク) も考えられ得ることである。 <図1/車輌を地下ピットに乗り入れ、排気系を下から見上げたところ> だがそれに対し、地下ピットの場合は、例えば
「作業中にクルマが頭上から落ちてきたらどうしよう・・・。」
などと心配する必要は無い。現実的にも、フロアばかりに気を取られてタイヤに頭をぶつけるといった心配も不要である。クルマの姿勢を常に4輪とも接地させた状態
(つまり車輌が安定な状態)
そのままに、作業者自身がクルマの上下にすぐに移動しさえすれば良い点が利点と言える
(・・・人間が移動しなければならず、それがめんどくさい・・・などと思う人は、地下ピットのありがたみが分からない人であろう(爆))。 |
4.秘密兵器(KTCフリーポジションレンチ)の巻 |
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さて、ここで今回の作業の秘密兵器を紹介しよう。ズバリ、KTCのフリーポジションレンチセット(ATE112)だ。タービンやフロントパイプ
(通称)
を交換する場合、意外に時間を喰われるのが、ターボ本体を取り囲むようにして付けられている、遮熱カバーの脱着作業である。 脱着作業自体は何の変哲もないつまらないものだが、エンジンが車載された状態では、工具の入るスキマが非常に厳しいのである。工具の入るスキマが厳しいといういうことは、裏を返すと、それはそのまま人間の手も入りにくいスペースでの作業を強いられる・・・ということを意味する。 遮熱カバーのボルトの頭上には、十分なスペースが無いことが多い。そこで、狭いスペースで折り返し何度もボルトを締め込んだり緩めたりできるハンドツールとして、例えばラチェット機構を備えたもの・・・しかもそのラチェット機構が、細いTレンチの先端に付いて首振りできるようなもの・・・をずっと探していたのだが、KTCから同等な (あるいはそれ以上の) 機能を有する 「フリーポジションレンチセット」 なるものが発売され始めたのが、今からちょうど11ヶ月前の2002年8月 (スタンダードシリーズの発売開始は2002年2月から) である。そして今回、ようやく念願かなってそれを入手し使用することができた。 ◎KTCによるこの商品の公式ニュースリリースは、→
こちら 。 さて実際にそのラチェット部の動きを撮影してみたのが、次の画像である。 <図2/KTCフリーポジションレンチの稼働例(ラチェット部分)> で、早速使ってみての感想は・・・。 <図3/KTCフリーポジションレンチの使用例(LHバンク遮熱カバー)> <図4/KTCフリーポジションレンチの使用例(RHバンク遮熱カバー)> フリーポジションレンチセット・ATE112
は定価で8,290円 (平成15年7月現在) であるが、作業時間の短縮が可能となることを考えると、この価格は決して高いとは言えないだろう。特にBD/BG型レガシィのように、左右にタービンを備えるツインターボ車の場合は、遮熱カバーの脱着も左右で2度
(計4回)
行わなければならないことを思うと、作業効率アップの恩恵は大きなものになるに違いない。・・・ちなみに私はKTCの個人代理店?
(ネット業者さん?) から格安で入手した。 |
5.純正パイプとsymsパイプとの比較 |
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遮熱カバーの脱着作業で苦労するであろうことを想定し、作業前にあらかじめKTCのフリーポジションレンチを購入しておいたのは大正解であった。こうして比較的スムーズに純正センターパイプ (通称ではフロントパイプ) を取り外せたわけであるが、ここでsyms製のフロントパイプ(通称)との違いを順に確認していこう。まずはその重量からである。計測にはデジタル表示式の重量計を用いたが、分解能が200gなので多少の誤差はご容赦願いたい。
純正は遮熱カバーや取付ボルトなど周辺付属部品を含んだAssy状態であること、syms製は (バンテージを巻いているとは言え) パイプ本体はもとより中継フランジ (ターボ側を除く) までもが板金製であること・・・などを考え合わせると、重量差が2.4(kg)ほどに留まるのは、むしろ予想よりもその差は小さいと言えるかも知れない。・・・ということで、次は外観上の比較チェックに移ることにする。大きく異なるのはパイプ径(φ)である。特に、左右の各ターボと接続するフランジ部分の内径(形状)は、純正パイプが真円に近い形状であるのに対し、syms製は楕円形状になっている。
上の画像から判る通り、syms製ではLHバンク・RHバンクともターボとの接続フランジの内側通路は楕円形となっている。このような造りは、アフターパーツメーカーによっては 「N1形状」 とか 「N1アウトレット」 などと呼ばれているようであり、ウェストゲートバルブが開いたときに排気の流れをスムーズに導いて合流させる効果があるという。・・・果たしてそのようなメリットは本当に得られるのだろうか? 私のBG5B型レガシィ
(いわゆるマイナーチェンジ後の後期型) の場合、 したがって、いわゆる「N1形状」 とか 「N1アウトレット」 などと呼ばれる通路が何か恩恵をもたらすことがあるとすれば、それはその楕円通路による形状効果ではなく、単に通路断面積が拡大されたことによる通路抵抗(排圧)低減効果に過ぎないのでは?と思うのだ。特に上記(1)では、もともとウェストゲートバルブなんてありゃしないのにウェストゲートバルブ解放時の排ガスがスムーズに・・・などと論じること自体がナンセンスだ。仮にセカンダリターボにもウェストゲートバルブが備わったマイナーチェンジ前の前期モデル(Aタイプ)であっても、それはレギュラーガソリン供給時対応用として設けられたものであったから、その作動頻度は極めて小さいものであるはずなのだ。 一方、ウェストゲートバルブのあるプライマリターボ側についても、上記(2)で述べた理由により、ウェストゲートバルブ作動時は 「もともと負荷(ブースト)がかかっていても、エンジン回転速度が低中回転域のシングル領域では排ガス流量・流速自体に限りがある」 状態であり、また 「(排気ガス流量が増大する)ツイン領域では、もともと左右各バンクに排ガスが分岐されているので、プライマリに分岐後の、しかもその先のウェストゲートバルブをさらに分岐して通過する部分の排ガス流量自体に限りがある」 状態だと考えられるのではないか? だからフランジ部の通路形状について、「独特の楕円形状に特許性を持つ」 だの 「ノウハウを注いでいる」 だのというアフターパーツメーカーがあるとすれば、その効果は確かに定性的には良い方向であり、単純には否定できないが、謳い文句ほどの大きな効果を生むとは考えられず、現実には単に通路断面積が拡大されたことによる通路抵抗(排圧)低減効果程度しか得られないのではないか?と思うのだ。 <2003-07-21:追記(その1)↓ ここから> この、”段差無く接続させる” という点が重要であると思っている。段差があると乱流が生じるためだ。だからsymsのようにフロントパイプ(通称)のフランジ部の通路が、最初から (ウェストゲートバルブが開いた時を想定した) 楕円一体化形状になっていると、頻度的により大きいと思われる ”ウェストゲートバルブ閉状態” では排ガス通路に段差が生じてばかりいることになってしまうと思うのだ。 セカンダリ側
(BGレガシィ後期型のウェストゲートバルブ無しモデルを想定)
についても同様で、フロントパイプ(通称)の通路断面積を拡大するとしても、やはりタービンとの接続面に段差が生じないようにしながら徐々にフランジ部以降の通路を拡大していく寸法設計
(メガホン構造) としたいところだ、と考えている。 次にその他の外観上の違いを、以下に画像で示す。 <図5/(画像左から)RHバンクの比較、全体を上から見た比較、LHバンクの比較> <図6/(画像左から)全体を後ろから見た比較、触媒内蔵部分の比較、メタル担体> 本来は、別ページの 「PRS製 触媒付きセンターパイプ(通称)のページ」 にて、かつてだれも試みないほど詳しくアフターパーツの排気ガス浄化性能を定量的に計測したように、今回のフロントパイプ(通称)についても排ガス浄化機能をチェックしておきたいところであるが、次の理由により見送ることにした。 ◎入手時にすでに中古品であったこと(新品初期状態の計測が不能・・・劣化度の比較ができない)。 季節柄、車輌が十分に冷えた状態からのコールドスタートができないのである。よって、たとえエンジン停止から数日間放置(ソーク)しておいたとしても、常温からのエンジンスタートでは、純正とsyms製では性触媒処理能力上、差が出ない恐れも十分にあり得るのだ。・・・まぁ、もちろんそう言った場面での比較も事実の一つとして比較にはなるけれども、全体像を的確に捉えた比較には成り得ないだろうと考えたためである。 <2003-07-21:追記(その2)↓ ここから> 例えば日刊工業新聞 (2003年7月1日付け) によると、ダイハツ工業は、「触媒が劣化せず、自己再生能力を持つ ”インテリジェント触媒” の開発に成功した。」 とある。通常は ”劣化するもの” が触媒の常識であるのに、劣化しない触媒を開発した、ということになる。同紙によれば、”インテリジェント触媒” とは、ランタン・鉄・酸素・パラジウムイオンから成るペロブスカイトと呼ばれる結晶が触媒の再生機能を持ち、パラジウムイオンが結晶から離れて結びつくと還元作用が働き、結晶に戻ると酸化作用を促す働きがあるため、排ガスがこの触媒に触れるたびにこの酸化還元作用が繰り返されるので触媒機能が半永久的に保たれる・・・とある。劣化を見越した触媒成分のコーティングが不要になるため、貴金属の使用量が従来触媒比で3割ほどで済み、コストダウンも見込めることになるという。 また、日本工業新聞 (2003年7月10日付け) によると、ダイハツ工業のこの研究成果は 「第17回創造性を拓く先端技術大賞」 の企業・産学部門の最優秀賞である 「経済産業大臣賞」 に輝いたとも報道されている。今後は、触媒はその機能の持久性・耐久性が重要視されてくるに違いない。こうした世の中のトレンドを念頭に置いて考えてみると、果たしてアフターマーケットの排気系の触媒は、一体どうなっていくのであろうか。 現在ちまたにあふれてる (注:あふれている、と言うと言い過ぎか・・・) アフターマーケットの触媒付き排気系のうち、使用を重ねていくうちに劣化していく触媒機能を十分に見越した上で、新品時の初期浄化機能の仕様選定を行っているものは、果たしてあるだろうか。例えばリヤマフラーでは、一時期フジツボ技研が 「○年間使用したあとの当社△△マフラーの近接音は、劣化後であっても□□dB(以内)でした。」 などと耐久性の良さをアピールしていたが、環境にダイレクトに影響する触媒付き排気系こそ、使用後の劣化度合いまでをも充分に算定した上で、触媒の仕様を決定して欲しいものである。 そのうち、アフターパーツ品にも
(インテリジェント触媒の採用はムリだとしても、せめて)、「○年間△△万km走行後の当社の触媒付き排気系の排ガス浄化能力は、絶対値で□□以上をクリアしており、触媒機能の劣化度は初期浄化能力の○%以内です。」・・・などという宣伝文句で性能が語られる時代がやって来て欲しいものだ・・・、と実は私は密かに思っている。もちろん、スポーツ性能は当たり前に確保された上で、である。 |
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6.純正パイプの耐久性(防錆耐力)について考える |
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さて、いよいよ純正パイプについて語る順番がやってきた。正直に言うと、今回のsymsメタル触媒付きフロントパイプ(通称)の装着に当たり、一番驚いたのが、この取り外した純正パイプの浸食状態だった。まずはその状態を以下に示す。 <図7/RHおよびLH各バンク、ターボ下流側のパイプ浸食状態(取り外し前)> <図8/遮熱カバーおよびその内側の断熱材の浸食状態(取り外し後)> <図9/錆の進行により剥(は)がれ落ちた固定用ブラケット(取り外し後)> パイプを覆っていた遮熱カバーとおぼしき板金はその一部が完全に消失し、内部の断熱材もすっかり焼けて変色している。おまけに、パイプのハンガーブラケットに至っては、パイプ根元の溶接部から完全にもげ落ちてしまった・・・というありさまだ。特にブラケットは、単に表面上に点錆が発生したという状態ではなく、板厚を完全に貫通して消失させているほど浸食が進行した状態である。図10にその驚異的なサビの進行状態が分かる画像を示す。 <図10/ブラケットの浸食状態(拡大図):板厚の消失部分がある> 確かに私のBGレガシィは、毎年正月には自走で東京都から北海道まで移動(帰省)することも多かった。雪道を走ることで、融雪剤である塩化カルシウム (ごく広く一般的に用いられる融雪剤。氷結点は-52℃と言われている) がアンダーボディや脚周りに付着してしまうこともあろう。 <図11/ホームセンターで普通に売られている塩化カルシウム> ・・・しかし、だ。 今回は、たまたま社外品の排気系に交換するために純正の排気パイプを取り外してみたわけだが、もしもこのまま交換せずに乗っていたら、果たして純正の排気系は一体どんな状態になっていたであろうか? 腐食による穴あきは、廃車までの耐用年数を考慮しても心配ないのであろうか? 下回りを覗(のぞ)き見ない一般的なユーザーは、排気系のトラブルが出現するまで、まさか自分のクルマの排気系 (特に、マフラーよりも上流、エンジンにより近い位置にあるフロントパイプ(通称)) が朽ち果てているとは気が付かないのではないか? 特に今回の例では、遮熱カバーは路面側の下半分(図7参照)ではなく、車体側の上半分(図8参照)の浸食が激しかった。これは、外部に露出している部位よりも車体に向き合っている部位の方が、熱的に厳しい(こもる)ことを表しているのかも知れないが、いずれにせよ、浸食は外観上容易には目視確認できない部位にまで及んでいることがあるので、要注意と言えるだろう。 ところで、こうした排気系は
(例えば2車検ごとに)
定期交換するべき消耗部品に指定されているのであろうか。 なぜなら、仮にサビの発生による穴あきが心配されるたびごとに、こうしたパイプを定期交換しなければならないとすれば、パイプと一体で内蔵されている触媒をも含めて新品に交換しなければならなくなるため、非常に大きな出費が伴うことになってしまうからである。もちろん、触媒自体の劣化がパイプの腐食よりも少ないとした場合ではあるが。 メーカーも冷熱耐久試験や塩害耐久試験を行っているとは思うのだが、実際の市場走行車を現物サンプル (生きた教材、お手本例) として多数回収し、自分たちの行っている試験方法や評価方法が、実際の条件とよく合致しているかどうかを常に見直し、単に機能性のみならず外観上の観点からも、目標性能の妥当性を検討 (場合によっては修正) していくような姿勢が望まれると思う。・・・駐車場の床に落ちてくるサビの破片を、ユーザーが自分で毎回掃除する姿・・・を想像すると、悲しくなるではないか。 <2003-07-21:追記(その3)↓ ここから> <純正の遮熱カバーとインシュレータ(断熱材)類>
部品代のみで約2万円と出た。DIYで交換しない場合は、この部品代に加えて交換工賃もかかるが、もしかするとスペース上の問題から、フロントパイプ(通称)本体を車輌から取り外さないと、遮熱カバー類は単独では交換できない恐れもある。とすると、部品交換工賃のみならずフロントパイプ(通称)脱着工賃も余分にかかることとなり、その場合はさらにガスケット代も必要になってしまう。・・・やはり、単に遮熱カバー類のみを交換するとしても、数万円単位での費用がかかることになってしまうであろうことから、排気系の耐候性・耐食性について、より一層の向上が望まれるのである。 |
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7.symsメタル触媒付きフロントパイプ(通称)の装着 |
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装着作業は、基本的には純正パイプの取り外し作業を逆順で行えば良い。ガスケット類を新品に交換し、各部を少しずつ均等に締めていき、最後に規定トルクで順に締めて確認する。 <図12/使用する新品ガスケット類> その際、せっかくフロントパイプ(通称)を取り外したのだから、タービンブレードの様子についても外観チェックすると良いかも知れない。・・・逆に言うと、この状態ではせいぜい外観チェック程度しかできないのであるが。 <図13/RH(セカンダリ)側ターボ周辺とタービンブレードの様子> <図14/LH(プライマリ)側ターボ周辺とタービンブレードの様子> なお、その他、syms製メタル触媒付きフロントパイプ(通称)を装着するにあたっての着目点・注意点など気づいたことについて、以下に箇条書きで簡単に示す。 <<フロントパイプ(通称)本体の互換性について>> ◎BG/BD、BH/BE(AT)用・・・Mキャタ付きフロントパイプ:Y080044013 あれ? MT/ATとも、同部番(平成15年7月現在)になっているぞ・・・? ということは、発売当初はMT/ATで別部番設定だったが、現在では共通部番・共通仕様に統一変更された、ということなのだろうか。 <<遮熱カバーの干渉について>> <図15/遮熱カバー周辺の様子:LH(プライマリ)側、RH(セカンダリ)側> 実は遮熱カバーに加工を加えなくても、装着すること自体はギリギリできるのだが、その場合は必要最小限の固定状態・・・つまり固定ボルトが上下2点止めになる・・・といった具合で、すべての固定ボルトを均等に締めることは物理的に出来ない。すべてのボルトを使って固定させるためには、やはりネジ穴を長穴化するとかカバーを変形させないとならないであろう。なお遮熱カバー装着の際は、第4章で紹介した秘密兵器(公開する以上、秘密でも何でもないのだが・・・)のKTCのフリーポジションレンチが大活躍したことを添えておく。 <<ボス穴の盲栓について>> 廃車からO2センサ本体を剥ぎ取り、センサ現物でボス穴を塞いでももちろんOKだが、一般的にはサイズ的にちょうど良い市販の他社用ドレンプラグを流用する人が多いようである。私の場合は、たまたま手持ちのプラグとして、メインジャーナル用プラグ(PLUG-MAIN GALL、部番:11024AA140)があったため、これを流用している。もちろん、本体には焼き付き防止剤を塗布し、シール用のワッシャを介している。 <図16/syms製フロントパイプ(通称)のO2センサ用?ボス穴の位置 > <<インタークーラーの再装着>> (※)歯医者さんが奥歯の状態確認用に使うような、ヘッドがコンパクトな円状の鏡になって <図17/(画像左から)装着直前のインタークーラーと、デンタルミラーの例> <<すべての作業状態の再確認>> こうした確認作業が終了したのち、はじめてエンジンをかけて排気漏れの有無をチェックする。排気漏れのチェックを含め、作業が問題なく終了したことを確認できたら、ごく近所を試走してみる。しっかりと作業したのであれば、試走前に違和感が出ることは無いだろう。もしもしっかりと作業をしたのに走行フィーリングに違和感が生じる場合は、その取付パーツ自体が仕様上不適であるか、あるいはそのパーツを使うための周辺のセッティングが出ていない場合であろう。 |
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8.初期インプレッション |
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まずは装着直後のインプレッションから。 と言っても、いきなり走り始めての動的なインプレッションではない。車輌停止状態でエンジンをかけ、アイドリングをキープしたときの排気音について、感じたことから述べてみることにする。 まず、装着後の排気音の変化について端的に言うと、管内で共鳴するような音が感じられるようになった。平たく言うと、排気音がフロントパイプ(通称)を通過していく際の「ボー」とか「ボボボボ・・・」といった感じの成分が、パイプ内で共鳴してそのまま外部に透過しているような感じなのだ。そう、一言で言うなら 「管内共鳴音が透過している」 といった感じになろうか。 従来だと、純正パイプには吸音材やら遮熱カバーやらが装着されていたこともあって、管内を通過する排気音自体が外に漏れない (聞こえるとしても、マフラー出口方向から聞こえる) 感じである。一方、symsのメタル触媒付きフロントパイプ(通称)の場合は、パイプ自体が比較的薄肉のステンレス材であるためか、少々オーバーな表現を言うと、管内を伝わる排気音が (流体音のごとく、クォーっと) 外へ響いているのが感じ取れてしまうのである。 決してうるさくなったワケではないが、排気の遮音性能が低下して、全体的に響き渡るような (音としては軽く、金属的な) 感じとなった。まぁ、一般的な表現にすると 「軽く、乾いたような軽快な音」 というところか。マフラー交換では一般的に 重低音が強調された音」 と表されることがあるのとは、好対照かも知れない。 --------------------------------- 特に乗りにくくなったとか乗りやすくなったとかいう劇的な変化は(私には)体感できなかった。強いて言えば、アクセルレスポンスが多少向上したか?・・・という程度。もっとも、町内試走程度で劇的に走行フィーリングが変わって向上してしまうようであれば、メーカーの純正装備(標準仕様)がダメだった・・・ということになってしまうと思うのだが。 エンジン回転速度が中回転域の場合は、アクセルに対する加速の ”ツキ” が若干良くなったような感じがする。従来は、「アクセルON→(ワンテンポ遅れて)→車輌加速開始」 といった感じだったが、今回は「アクセルON→(半テンポ遅れて)→車輌加速開始」 といった感じかな。といっても、パワーアップが体感上、明確に感じられるほどではない。 おそらく一番変化が体感できるであろう高回転・高負荷領域は、実はまだ試していないのでコメントできる段階にはない。純正とsyms製では、前述のようにパイプ断面積が60%前後も異なる
(純正:直径φ45〜φ46 → syms:65×48〜63×50)
ので、この変化による性能改善効果を享受できるとすれば、やはりそれなりに大きな排気流量となる高回転高負荷領域であろうと思われる。・・・このへんについては、いずれミニサーキットを走ることになると思うので、機会があったら改めて紹介するなり記事に追記するなりしたいと思う。 |
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9.まとめ |
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syms・Mキャタ付きフロントパイプ(商品名)
を平成8年式・BG型レガシィ・後期GT-B(MT)
に装着した。一部重複するが、まずは気が付いたことを箇条書きにすると、以下のようになる。 <装着時の問題点> <排気音の変化について> <車輌に与える動的変化について> <その他> |
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10.あとがき |
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さて、本題である。 今回の syms・Mキャタ付きフロントパイプ(商品名) は、果たして 「装着して成功だった」 と言えるだろうか・・・。個人的には、アクセルレスポンスの向上が感じられるという点では 「成功」 だと考える。フロントパイプ(通称)は、排気系のポテンシャルアップには重要な部位であると認識している。 しかし、その新品価格 (定価で約11.5万円) について、得られる改善効果に見合ったものかどうかを改めて考えてみると、私見ではあるが若干の疑問も残るのは事実である。理由は、ポン付け可能とは言え、実際に装着して実用に供するためには、多くの装着工数がかかるからである。つまり、実際には定価に加えて高い工賃が発生すると考えられるためだ。だから 「定価+工賃」 の合計金額=総費用をベースとして考えると、決してコストパフォーマンスが優れているとは言えないのではないか?との思いを拭(ぬぐ)い切れないのだ。 私のように、装着をショップに依頼せずDIYで装着するとしても、インタークーラーの脱着、タービンの遮熱カバーの脱着・・・など、目的のブツを装着するまでにはかなり多くの周辺部品の脱着を繰り返さなければならない。作業工数が必要となるアイテムなのだ。だから定価の約11.5万円自体は、それを高いととらえるか安いととらえるかは各人の自由であるが、実際にはその金額以上の自己労力または外部工賃が必要となり、「得られる効果に対する投資額 : 満足度」 は目減りしてしまうのだ。 まぁ、これは余談だが、その最たるものが、同じsymsから販売されているレガシィ・ツインターボ用のエキマニ(常時ツイン)ではないか? こちらは、例えば 「オークションで安く入手しても、装着を引き受けてくれるショップの工賃があまりにも高いことに驚き、結局は装着を断念して再びオークション行きとなってしまう」 ような事例もあると聞く。まぁ、今回のフロントパイプ(通称)はそこまで難儀しないだろうけど。 -------------------------------- だから結局のところ、少々当たり前のことかも知れないが、「新古に近い、程度の良い中古品をなるべく安く入手し、なるべく工賃をかけずに装着する」 のが、この手の (最初から定価が高額設定されているアフターマーケットの) 排気系部品の上手な利用法と言えるのではないか、と思う。・・・そういった点から、もしも新品を購入してそのままショップに装着依頼する余裕のある方が、私のこのページを読んだとしても、大して得られるものは少ないかも知れない。 さて。・・・今後の私 (の予定) はどうかって? もちろん、「投資額に対して得られる効果 : 満足度」 をアップさせるべく、未確認であった運転モード:エンジン高回転域・高負荷領域での改善効果を試してみるつもりだ。正直なところ、低〜中回転域・軽負荷領域での体感効果はそれほど大きいとは感じられなかったため(>私自身が鈍感で鈍いのかも知れないが・・・)、残る運転モードでの改善効果に期待したいところだ。高負荷と言う点では、確認場所は何もミニサーキットに限らず、荷物満載で 「東京←→札幌」 を往復する帰省時にも確認できるハズだ。が、もしも期待ハズレに終わったときの落胆ぶりを考えると、最初はあまり期待しないでいる方が無難であるのは、この手のパーツを装着した際の定石であろう。 だが私の場合は、こうした期待をすべて捨て、先入観や思いこみを極力排除して、可能な限り白紙の状態で評価やインプレッションを今後も残していこうと思う。少々私的ではあっても、自分自身の中のバラツキやブレの少ない評価をしたいと思っている。 |
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