作成者 | BON |
更新日 | 2009/05/31 |
各物質に関する情報をとりまとめたコーナーです。片っ端から集めた情報を載せる予定です。
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水道への影響 基準,毒性や障害,汚染源,対処法,検出法について。水道としての視点からとりまとめました。 |
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特記事項 当該物質に関連した情報について集めたものを掲載。 |
【参考】
1)水質基準項目
0.8mg/L以下。WHO飲料水質ガイドラインで1.5mg/L。
2)毒性や障害
0.5mg/L〜1mg/Lでう歯(虫歯)減少。2mg/L以上で班状歯(歯の石灰化不全)。骨硬貨症,甲状腺障害,腎障害,致死。
フッ素は特に歯と骨に沈着します。タイ北部のチェンマイ(ランプン県)で,工業の発展に伴い表流水が汚濁し地下水に依存するようになったところ,骨にフッ素がたまる被害が観察され,歯の障害と尿中のフッ素に相関関係があったとのことです。ただし,その由来は飲料以外の割合も多く,食物経由の摂取についても十分考慮する必要があります。
3)汚染原因
4)処理方法
フッ素を除去する方法としては,電解法(MgCl2> 電解>珪藻土ろ過,宝塚市),凝集沈殿,活性アルミナ,骨炭法などがあります。
ROやNFによるフッ素除去の取り組みも行われているそうですが,私より水質案件に詳しいノッチ君によりますと,なかなか除去できないとのことで,一般的には2段でやっても総除去率は50%程度なんだそうです。フッ素の分子量から考えればなるほどと思われますね。どうしてもこの方法によるのなら,卓上カラムクラスでもいいので実験をやっとくべきではないかとのことでした。
となると..やっぱり第一候補は水源の見直し,第二に希釈,ということになるでしょうねぇ。
5)検出方法
イオンクロマトグラフなど。
【備考】
水道水質ハンドブック,上水試験法など。
新聞記事や国会審議をきっかけとして,う歯の予防対策としてフッ素を添加することについて注目されているようです。
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水道水へのフッ素添加問題について@【日本水道協会】 水道協会のサイトでのフッ素対応に関する考え方。 |
また,参考までに,両論のサイトを紹介してみたいと思います。
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フッ素添加反対@【日本消費者連盟】 言わずとしれた最大の消費者団体であります。厚生省の水道水フッ素添加容認に対する抗議の緊急アピール。 |
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水道水への「フッ素添加」問題に対する見解(案)@【自治労連】 自治体労働者の労働団体(の役割を果たす組織)。こちらも反対意見です。 |
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フッ素添加推進@【水道水フッ素化委員会】 水道水フッ素化,公衆衛生の大切さ及び問題点を情報として提供。賛成意見。 |
フッ素による虫歯予防効果は,特に小児期の効果において広く認識されており,そのメカニズムもかなり分かっているとのことです。しかし,水道界としては,リスクやコストの問題が無視できないうえ,有効性があるとはいえ毒性ものある物質を一律に混入するのは水道としては推奨しない,というのが一般的な見解です。
また,前述のように,日本の水道水のフッ素基準はWHOなどよりも低く設定されており,基準を遵守しつつう歯防止に有効な濃度に制御することが事実上困難,との指摘もあります。一般に思われている以上に,水道水質を守れないようなリスクへの水道界の抵抗は強いものなのです。また,宝塚で発生した斑状歯訴訟敗訴の苦い経験も影響しているかもしれません。ただし,日本でもやってみようという自治体は現れたことがありますし,歯科衛生として推進する動きも一部に見られるようです。
ちなみに,外国,特に米国などでは比較的広く行われております。たとえば,AWWA(米国水道協会)のWATERWEEKという週報に掲載されたジョークにこんなのがありました。(Aさん訳)−「竜巻によりフッ素貯蔵槽が破壊してフッ化水素ケイ酸が小川に流入した。漁業への被害はなかったが,魚が針を食いちぎるようになって困っていると地元漁師は話している。」−こんなの,日本人には解説しないと意味がわかりません。フッ素が川に流出→魚の歯が(虫歯から守られてか?)丈夫になる→針を食いちぎる,というジョークのようですが...ちなみに私はすぐには分かりませんでした。米国ではフッ素添加に関してすでにコンセンサスができているということの証左だとは思いますが,報道された住民投票の結果を見る限りは賛成,保留,反対と結果もさまざまです。
WHOのガイドライン値は1.5mg/L以下ですが,各国がフッ化物の基準を設定するに際しては,気象条件,水の摂取量,その他摂取源(食糧等)からの摂取を考慮することが特に重要と指摘されています。我が国では,海草やお茶,魚介類などで欧米人よりもフッ素の摂取量が多く,逆にフッ素の相方たるカルシウム(後述)の摂取量が少ないですから,我が国の基準が低めになっているのはこの辺が影響しているのかもしれませんね。
なお,にフッ素を注入する場合は,通常フッ化ナトリウム,フッ化水素ケイ酸などのイオンで行うとのことでした。ガスは怖いもんね。
【備考】
水道水質ハンドブック
WHOが1978年に勧告を見直した旨記述していましたがソースが曖昧なので削除し,記述を見直しました。1987年の記述ミスの可能性あり。
前述のように,水道でのフッ素の使用はフッ化ナトリウムなどの塩の溶液で行うようです。ガス注入の場合,ちょっと簡単に扱える代物ではないようです。以下は,化学工学のプロに教えてもらった工業用のフッ素ガス注入設備の概要です。折角テキストでもらったネタなので許可を得て公開してます。あくまでも参考として。
●資格
フッ素取り扱い自体は資格などは不要。但し,設備自体は高圧ガスになるので,監督責任者に高圧ガスの資格が必要。(甲種化学,甲種機械ぐらい欲しい)
●設備
純粋のフッ素ガス(窒素で薄めている場合もあり)は,腐食性が強いので,配管等は簡単に腐食する。よって,普通の鉄配管(SUSでは無く,SS)に濃度の薄いフッ素ガスを通して,表面にフッ素化皮膜を作ってから,通す。これをしないと,配管が真っ赤に焼けて事故が起こる可能性あり。圧力調整用のバルブは,ハロゲンを使うと云って,専門家に選んで貰うべし。尤も,一般の黄銅製のニードル弁でも十分。フランジのガスケットは,#T9010などの,PTFE包みガスケットを使用する。
ガスの廃棄用に,アルカリ水を循環させたエゼクターが欲しい。この際,フッ化ナトリウムの溶解性が非常に低いので,多少高価でも苛性カリを使用する。苛性ソーダだと,本気で泣くことになるよ。実験用なら,普通の塩素ガス吹き込みと同じレベルで考えて良い。
●作業上の注意
衣服等にガスが当たると,その場で燃え出す可能性もある。皮膚に付いた時は,すぐにカルシウム注射等が必要。皮膚を浸透し,骨にまで到達する。非常に痛い。地獄の苦しみ。マジで,夜眠れなくなる。しかも,痛みが治まるまで数日掛かる。
【参考】
2001/02/21 プロの化学屋さんのまっきい氏に教えてもらいました。そういや,失敗学の勧めでもフッ化水素による怪我の話載ってました。