バブル景気なんてのが、あったとさ。
土地は切り刻まれ、吸い上げられて。
後に残ったのは、人のいない土地や、車なんかに占領された駐車場ばかりだとか。
これは、東京駅のすぐ近くにある「八重洲ブックセンター」脇の路地を歩くとすぐに見つかる物件です。
色の違うアスファルト舗装。
路肩のコンクリートブロック一つ分の帯状になっている部分に、
『私有地』
と白ペンキで書かれています。
ここだけではなくて、数m間隔で3ヶ所くらいに、同じ単語が書かれているのです。
何が彼をそうさせたのかは知りませんが、書かなければならないほどの事情があったのでしょう。
青年には、人に言えない悩みもあるし、声を大にして言いたいこともあるのです。
でも、わずか1mにも満たないこの狭い領域。その裏に隠された言葉に気が付く人はいない。
東京都中央区にて20010415