8月1日(土) [碇シンジ]


こんにちは。  碇シンジです。


実は明日、アスカと一緒にプールに出掛けるんだ。

僕はイヤだって言ったのに…。

アスカ、また僕に特訓するつもりらしいんだよ。


去年の今頃、アスカに特訓されたおかげで少しは泳げるようになったんだけどね、

でもやっぱり苦手なんだよなぁ…。


アスカに言わせると、


   『アンタのなんかただ水に浮いてるだけ!


    ああいうのは泳いでるって言わないのっ。』

なんだって。

そりゃ確かにアスカは泳ぐのも上手いけどさ。


アスカ、明日も僕に特訓するって張り切ってるんだ。

僕は、もういいのに……。

それにさぁ、わざわざ人の多いところでやることないじゃない。

ネルフのプールだって使えるんだし。


アスカにそう言ったら、


   『アンタばかぁ!?

    人のいないところでやったって面白くないじゃん。』


だってさ。

あ、こうも言ってたな。



   『…せっかく新しい水着を買ったのにさ。』




…どうして新しい水着が関係あるんだろ………。






          8月2日(日) [惣流アスカラングレー]


アタシよ。

今日はね、ばかシンジを連れてプールに行ったんだ。

別にシンジなんか連れて行かなくったっていいんだけど、

あいつを連れてけば変な連中にナンパされないで済むしね。

ま、それでも10人くらいには声を掛けられたけど。


それはさておき、ばかシンジなのよっ!

アイツ、どーしてあんなに泳げないワケぇ?

それでもシンジは


   『少しは泳げるようになったんだよっ。』


っていばってたけど…。

ばた足で10数メートル進んだだけじゃないの。

アレじゃ、溺れてんだか泳いでんだかわかんないわよ。



そんなワケでこの優しい優しいアスカ様が、ばかシンジの特訓をしてあげたのよ。

ま、シンジも全然ダメってワケじゃないのよね。

相変わらず要領悪いから、さっさと出来ないだけでさ。


そんなこんなで最初よりは少しは見られるようになったのよ。

ま、このアスカ様が教えてあげてるんだから当然よね。



流石に少し疲れたからプールサイドで休んでたのよ、そのとき。

そのときにね…。

シンジが……こう言ったのよ。


   『アスカ、やっぱりその水着、似合ってるよ。』


アタシ、なんだかすっごく恥ずかしくなっちゃった。



だからアタシ、こう言ったの。




   『あったり前じゃん。このアタシが着てんのよっ!』







          8月8日(土) [碇シンジ]


 こんにちは。 碇シンジです。


ホントに参っちゃうよね。

え、なにがって?

アスカだよ、アスカ。


ここのところずっとアスカにプールに連れて行かれてるんだ。

ホント、毎日なんだよ。


アスカったら


   『アンタが泳げないとアタシまで恥ずかしいのっ。』


って訳のわからない理由を並べて僕を毎日引っ張ってくんだ。



いい加減雨でも降って練習も中止になって欲しいと思ったけど、

こう言うときに限って毎日絶好のプール日和なんだよね。

おかげですっかり日焼けしちゃったよ。



でもアスカは、そんな僕を見てこう言うんだ。


   『アンタも日焼けすれば少しは男らしく見えるじゃない。』



そ、そうかな……。






          8月15日(日) [綾波レイ]


こんにちは。 綾波レイです。


今日、二週間ぶりに碇くんに会ったの。

私、ネルフの方で研修があって、ずっと碇くんと会えなかったから、

今日、久しぶりに会えるのがとても楽しみだった。



昨日のうちに碇くんに電話して、今日のお昼頃に待ち合わせをしたの。

こうして碇くんと待ち合わせをするのって初めてだったから、

私、とてもどきどきしていた。



駅の前で待ち合わせをしたんだけど…。

私、凄く驚いた。

碇くんが……。

黒い顔をしていたから…。



私が驚いていると碇くんは、


   『あ、これ?アスカに毎日プールで特訓されてるから、

    こんなに真っ黒に日焼けしちゃったんだよ。

    ホントにアスカは強引なんだから…。』


って私に笑ったの。



そう、そうだったの。

私、碇くんの新しい顔が見られたようで嬉しかったけど…。


でも少しだけ、胸が痛かった。





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