4月19日(日) [碇シンジ]


こんにちは。 碇シンジです。

今日はすごくいい天気だったんだ。

あまり暑くもなくって、爽やかで。

ほんとうは今日一日、のんびりしてようかと思ったんだけど、ちょっともったいない気がしたんだよね。

だからさ、アスカにちょっと声をかけたんだよ。


   『アスカ、いい天気だからちょっとどこかに行かない?』


って。



僕はちょっとした気持ちで言ったんだけど、アスカは初め、すごく驚いた顔をしてた。

僕はアスカを怒らせちゃったかなと思って、


   『あ、ゴメン、いやならいいんだ。』


って謝ったんだけど、アスカは逆にニヤッて笑って、


   『このあたしを誘うって事…。 どういう事だかわかってんでしょうね?!』


なんて言うんだよ。



僕は一瞬、冷や汗が出た。

だって、アスカがああいう顔をするときはいっつもなにか企んでるんだから。

僕は、


   『あ、一応僕が…全部出すつもりだけど…。』


って言ったんだけど、アスカは


   『もう、そういうことじゃないの!』


って怒るんだよ?

なんだか訳がわかんないよ。



結局、アスカの言ってることが良くわからないまま、遊びに行ったんだ。

今日は目的も決めないでぶらぶらするつもりだった。

ウインドーショッピングっていうのかな?


アスカもちょうど服が欲しかったらしくって、お店をいろいろ回ったんだ。

それはいいんだけど、アスカ、好みがうるさいんだよね。

僕から見るとどれも似たようなものなのに、


   『う〜ん、これはここがイマイチねぇ。』


とか、


   『これは色がちょっとダメね。』


とか言って…。


僕はいい加減疲れて、


   『どれも同じに見えるけど…。』


なんて、つい言っちゃったんだ。

そしたらアスカはすごく怒って、


   『誰のために選んでると思ってんのよ!』


だって。

誰のためって言われても…。 

やっぱり、アスカの言ってることはわかんないよ。



でもそのあと、アスカに似合いそうな服を見つけて、アスカに言ったんだ。


   『これなんかいいと思うけど…。だめかな。』


また何か言われるかと思ったけど、アスカは、


   『ふーん。じゃ、それにしよっと。』


だって。

ホントにわかんないよ……。

でも、アスカの機嫌が直ったみたいだからよかったな。



今日もいろいろあった。

アスカと一緒にいると、ホントにいろいろあるよ。

でも、それが楽しかったりするんだよね。

どうしてかな?





          4月20日(月) [惣流アスカラングレー]


あたしよ。


あたし達も3年生になってから暫く経って、最上級生ってやつに慣れてきたところね。

新一年生が可愛く見えてきたもん。



そうそう、その新一年生なんだけど、どういう訳かあのばかシンジが人気あるらしいのよ。

まったく、なんであんなのがいいのか理解に苦しむわ。

世の中、物好きが多いんだから。



ばかシンジはばかシンジで、


   『あ、碇先輩だ。碇せんぱ〜〜い。』


なんて黄色い声を掛けられて紅くなってんのよね。

それがまたウケるらしくって…。


   『ナイーブそうなところがいい。』


らしいわ。

あいつの場合はナイーブなんじゃなくって、ただ単に気弱なだけだってことが

わかんないのかしら。



シンジの人気があること自体は別にいやじゃないんだけど…。

あのばかがキャーキャー言われて照れてたりすると、妙に頭に来るのよね。

だからね、そう言うときはあいつの手を思いっきり引っ張ってやるの。


   『ほら、行くわよ!ばかシンジ!!』


ってね。





          4月22日(水) [綾波レイ]


こんにちは。 綾波レイです。


私、このごろよく、いろいろな人と話をするの。

クラスの女の子たちとも、話をする。

そしていつも、


   『綾波さんって、話してみると面白いわね。』


って言われるの。

どうしてかしら?

私はいつもどおりにしているのだけど…。



でも、こうしてみんなと話をするのはとても楽しい。

今まで知らなかった楽しさなの。

碇くんと一緒にいるときとも、違った感じ。

不思議な感じ…。



3年生になって、クラス変えもあったの。

でも、碇くんとはまた、いっしょのクラスになれた。

洞木さんも同じクラスで、また委員長をしている。

とても忙しそう。

相田くんに鈴原くんも、同じクラス。

碇くんはとても喜んでた。

だから私も嬉しかった。


そして、あの人もまた、一緒のクラスになったの。

私、ちょっと変な気分になった。

あの人のことは嫌いじゃない、と思う。

前はよく知らなかったけれど、あの人、悪い人じゃない。

でも…。

どうしてかしら。

良くわからない。





          4月27日(月) [碇シンジ]


こんにちは。 碇シンジです。


今日の帰り、僕はいつもどおりにアスカと一緒に帰ろうとしたんだ。

そうしたら、一年生の女の子が三人、校門の前で僕を待ってた。

そして、僕に聞くんだよ。


   『あの〜、碇先輩と惣流先輩って…付き合ってるんですか?』


思い詰めたような真剣な顔で。


僕、なんて答えたらいいのかわからなかった。

だって、そんなことは考えたこともなかったし…。

困ってアスカの方を見たら、アスカはにやって笑ってるだけで、全然助けてくれそうにない。

ほんと、困ったよ。



何も言えずにいたら、その子たちは


   『碇先輩と惣流先輩は一緒に住んでるっていう噂も聞いたんですけど…。』


って小さな声で言うんだ。

僕は思わず、


   『それは…ホントのことだけど…。』


って口を滑らせちゃった。

そうしたらその子たちは、


   『えーーーー、やっぱりそういうことだったんですかぁ!!』


って真っ赤になって言うんだよ?

『そういうこと』ってどういうことなんだろう。

だけど、僕は何故かすごく恥ずかしくなった。



その子たちはそれきりいなくなってくれたけど、僕の問題は解決してなかったんだ。

だって、アスカが


   『あの子たち、どう思ったのかしらね?あたし達の関係。』


なんて言ってくるんだもん。



僕、ちょっと考えちゃったよ。

僕とアスカって、他の人から見るとどう見えるんだろう。

それに、なんでアスカは僕と一緒にずっと住んでるんだろう。

僕はアスカのこと、どう思ってるんだろう…。

そしてアスカは…。





          4月29日(水) [惣流アスカラングレー]


あたしよ。

今日は緑の日とかいう、良くわかんないお休みだったのよね。

ま、私にとっては、お休みならなんでもいいんだけど。



今日は珍しく、シンジが寝坊したのよね。

あたしが9時ごろに起きたら、誰もリビングにいないのよ。

いつもだったらシンジはもう起きてて、朝ゴハンの用意とかしててくれるのにね、

今日はシン、と静まったままだったの。



あたし、ちょっと驚いたわ。

もしかしたら、シンジが病気にでもなったかと思ってね。

前にもそういうことがあったし…。

それで、あたしはシンジの部屋に行ってみたの。

起こさないように、そっとね。


シンジは案の定、寝てたわ。

あたしは恐る恐る、シンジのおでこを触ってみた。

熱があったらどうしよう、って思って…。



でも、熱はないみたいだったわ。

変な汗もかいてないみたいだったし、多分ただの寝坊ね、きっと。

そうわかったら、あたしはふっと気が抜けて座り込んじゃったわ。


でも、あいつはそんなあたしの気持ちも知らないで、すやすや寝てるのよね。

幸せそうな顔しちゃってさ。

あたしはちょっと頭に来たけど、でも、その寝顔を見てたら…。

いつの間にか、そんな怒りはどこかに行っちゃった。

いつの間にか、笑ってたの、あたし。



あたしはそのあと、ちょっといいことを思い付いたんだ。

それはね、朝ゴハンを作ること。

いつもシンジがやってくれるから任せてるけど、シンジが起きたときに

用意が出来てたらアイツ、どんな顔するかなって思ってさ。



朝なんだからそんなに凝ったものじゃないけど、ちゃんと出来たんだ。

目玉焼きにサラダに小盛りのナポリタン。

あ、お味噌汁もね。

ご飯は出来てた。

昨日、シンジが仕込んでおいたみたいね。


いつシンジが起きてくるかってどきどきしてたけど、あたしがお料理している間は

起きてこなかったわ。

そして準備が出来て、これからどうしようかなって思ってたら…。

ばたばたっていう音がシンジの部屋から聞こえてきたの。


   『ゴ、ゴメン! すっかり寝坊しちゃった!!』


って言いながらシンジはキッチンに駆け込んだんだけど、

そこにあった朝ゴハンを見て、すごく驚いてた。

そして、あたしに聞くの。


   『これ、アスカが作ってくれたの?』


ってね。

あたしは軽く 『そうよ』 って言ったんだけど、シンジは妙に感動してたみたい。

別にそこまで感動しなくてもいいと思うけど…。


でもね、その後、シンジが言ったんだ。


   『あの…。もし良かったらさ、今度の土曜日にどこかに行かない?

    今日のお礼をしたいんだけど…。』


ってね。

…ふふふ、シンジもようやく人との付き合い方っていうものがわかってきたみたいね。

さぁて、ど・こ・に・い・こ・う・か・な・っと。

土曜日が楽しみね。



え?ミサト??

そういえばいなかったわね。寝てたのかな?

気付かなかったわ。





          4月30日(木) [綾波レイ]


綾波レイです。


今日、碇司令と一緒に夕御飯を食べた。

こうして碇司令と会うのは、久しぶり。


碇司令は私に言うの。


   『学校はどうだ。』


って。

私はいつものように、 『何も問題ありません。』 って言ったのだけど、

碇司令はいつもとは少し違って、


   『上手く行っているようだな。』


って言った。



そう、私、学校がとても楽しい。

碇くんと会えるのもそうだけど、クラスの人と一緒にいるのが楽しい。

いろいろな話をしたり、お弁当を食べたり、昼休みにバレーボールをしたり。

そういうことが、とても楽しい。



碇司令には何も言わなかったけれど、知っていたのかしら。

知っていても不思議はないけれど、でも、司令は私の顔を見てからそう言った。

私、そう言う顔をしていたのかしら。



今まで、碇司令と一緒にいるときが一番楽しいと思っていた。

でも、今は、それはちょっと違うと思う。

碇司令といると、安心する。

碇くんといるときのように、どきどきしたりしない。

ちょっと、いえ、ぜんぜん違う。

もしかしたら、『お父さん』って言うのはこういう感じなのかもしれない。

私はそう言うのは知らないけれど、でも、そういう感じがするの。

きっと、きっとそうなんだと思う。





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