4月1日(水) [碇シンジ]
こんにちは。 碇シンジです。
先々週の日曜日だったかな、綾波がいきなり家に来たんだよ。
ミサトさんはいなかったし、アスカはまだ寝てたから綾波の相手をしたのは
僕だけだったんだけど…。
綾波も、別に用事があったわけじゃなかったみたいなんだ。
特になにをするわけでもなくて、お茶を飲んで、お菓子を食べて、TVを見て、
そしてちょっと話をしたんだ。
僕はあまり喋るのが得意じゃないし、綾波もそんなに良く話す方じゃないじゃない?
でも、なんとなく楽しかったな。
その後アスカが起きてきたんだけど、アスカの機嫌が悪くなったのはなんでだろう…。
この前の日曜日はもっと驚いた。
だって、僕がいつものように7時頃に起きたらアスカがもう起きてたんだ。
それだけじゃないんだよ?
アスカが、あのアスカが、お弁当を作ってたんだ。
まぁ確かに、アスカもここのところ料理が出来るようになってきたんだけど、
日曜日にお弁当を作るなんてことは絶対になかったもん。
僕が呆気に取られていると、アスカはごく当たり前のような顔をして、
『ほらシンジ! 出掛けるんだから急ぎなさいよ!』
って言うんだ。
僕が、そんなこと聞いてないよ、って言ったら、
『今言ったでしょ。』
だって。
ホント、アスカにはかなわないよ。
それからすぐに、朝ゴハンを食べて遊園地に行ったんだ。
遊園地に行くには早すぎない? って僕が言ったらアスカは、
『早くしないといろいろと都合が悪いのよ。』
だって。
都合ってなんだろう…。
そういえば先週、綾波が来たもの早い時間だったよね…。
4月3日(金) [惣流アスカラングレー]
あたしよ。
ここんところさぁ、ファーストが妙に挑戦的なのよね。
今日だって、晩ゴハンを食べた後にシンジに電話があったのよ。
珍しくミサトが電話に出たんだけど、すっごくニヤニヤした顔で
『シンちゃ〜〜ん、お電話よぉ♪』
なんて言ってるのよね。
あたしはすぐにミサトに聞いたわよ。
誰からの電話なの、ってね。
そしたらミサトはますますニヤけて、
『あらぁアスカ、そんなに気になるのぉ?』
なんて言うのよ!?
ふん、ミサトなんか相手にしてたらこっちの身が持たないわ。
まったく、暇なんだから。
そんなんだと加持さんにも逃げられるわよ。きっと。
でね、その電話の相手って言うのはやっぱりファーストだったのよ。
え?なんでわかったのか、って?
き、聞こえちゃったのよ、シンジの喋ってるのが!
べ、別に聞こうと思ってた訳じゃないんだから!!
でもやっぱり…。 気になるわね。
シンジとファースト…。 なにを話してるのかしら。
シンジに聞く訳にもいかないし…。
気になるわね……。
4月8日(水) [綾波レイ]
今日の朝、いつものように学校に行ったの。
下駄箱を開けて、上履きに履き替えようと思ったら…。
そこに、一通の手紙があったの。
表に「綾波レイ様」、そして裏に、知らない男の子の名前が書いてあった。
私はこれが何なのかわからなかった。
知らない人から手紙を貰うなんて、変な感じ。
碇くんに聞こうかと思ったけど、でも、やめたの。
何故かわからないけれど、碇くんには言いたくなかったの。
中には、
『大切な用事があるので、放課後に屋上まで来て下さい』
って書いてあった。
…何故屋上に行かなければならないの?
でも私は、放課後に行ったの。屋上に。
そうしたらそこには、ひとりの男の子がいた。
その子は私の顔を見て、凄く喜んでた。
そうして、真っ赤な顔をして私に言ったの。
『綾波レイさん、僕、あなたのことが好きなんです!
ぼ、僕と付き合って下さい!!』
って。
私、とても驚いた。
だって、こんな事を言われるなんて、思ってなかったから。
その子の言っていることは、わかる。
その子がどういう気持ちなのか、わかると思う。
私、嬉しかった。
でも。 ちょっと悲しくなった。
私は、その子の気持ちには…。 応えられないから。
私、なんて言ったらいいのか、わからなかった。
だから私は、一言だけ、言ったの。
『ごめんなさい。』
って。
その子は笑いながら、そして私に謝りながら、私の前から去って行った。
私、とてもいけないことをした気がする。
でも…。
私、嘘は吐けないもの…。
こういうとき、どうしたらいいの……?
4月12日(日) [洞木ヒカリ]
こんにちは。 洞木ヒカリです。
最近ね、綾波さんの様子がちょっと違うのよ。
前よりずっと表情が出てきたのよね。
それに、前は私に話しかけるなんてことはなかったのに、このごろ時々
綾波さんの方から話し掛けてくるの。
この前だって、いきなり
『洞木さんは鈴原くんのことが好きなの?』
なんて言われちゃった。
私、びっくりしたわよ。
だって…。ねぇ。
あの綾波さんがそんな事を言うなんて…。
私、とっさに否定しようとしたんだけど、でも、綾波さんが凄く真剣な顔をしてたから…。
ホントのことを言ったの。
そうしたら綾波さんはちょっと笑って、そしてまたいろいろ聞いてくるのよね。
私もなんだか嬉しくなって、話し込んじゃった。
信じられる?
あの綾波さんとこうして話せるなんて…。
綾波さんも変わったけど、私たちも変わったのよね、きっと。
こういう毎日って…いいね。
4月15日(水) [惣流アスカラングレー]
あたしよ。
ちょっと驚いちゃったわね。
なにって?
だって、あのファーストに告白した子がいるって話じゃない。
私も最近聞いた噂なんだけどね。
なんて物好きな…と言いたいところだけど、でも最近のファーストになら
考えられなくもないかもね。
あたしが言うのもなんだけど、あの子、いい感じになってきたもん。
やっぱり…。 シンジの影響かしらね。
シンジにこの話を言ったら、シンジも凄く驚いてた。
どう思う?ってあたしが聞いたら、
『どう思うっていわれても困るけど…。
いいことなんじゃないかな?』
だって。
それだけ? ってあたしは更に聞いたんだけど、シンジは
『それだけって…。 だって、いいことじゃないか。』
って、相変わらずボケボケっとした顔で答えるのよね。
まったく…ねぇ。
まぁいいわ。
シンジが気にしてないってことは、つまり……。
そういうことだし。
ね?