<旧車シリーズ 207>


MAZDA SAVANNA COUPE GSU (S102A)


 1971年に誕生した「高級スポーティーカー」のサバンナは、コスモスポーツ以来2台目となるマツダのロータリーエンジン専用車である。アーチェリーカーブを基調としたロングノーズ&ショートデッキスタイルのボディは4ドアセダンと2ドアクーペが用意され、翌年には5ドアワゴンも追加された。車格はカペラとファミリアの中間に位置するが、車幅や前後トレッドは上級車カペラよりも広く、明らかにスポーティーな性格が与えられていた。
 パワーユニットは水冷直列2ローターの10A型(491ccX2)で、プラグやポートの改良等により、ファミリアロータリークーペを上回る105psの最高出力と13.7kgmの最大トルクを得ている。サスペンションはフロントがストラット、リアがリーフリジッドで、リアにはガス封入式ダンパーが採用された。また、最上級モデルのGSUには、超扁平のZ78タイヤが装着された。
 1972年9月には、カペラの12A型エンジンと5速ミッションを移植したGTを追加。サバンナは国内のツーリングカーレースに参戦して好戦績を収め、その高性能さを強烈にアピールした。

 複雑な曲面構成から流麗さと躍動感を巧みに生み出したサバンナのスタイリングは、ボディパネルを共用するグランドファミリアはもちろん、初代カペラにも通じる個性的なもので、この当時のマツダ車デザインの特徴でもあります。
 そんなエキサイティングな外観の内に、業界に旋風を巻き起こした未知のパワーユニットが潜んでいるとくれば、当時のクルマ好きな若者が色めき立った様子が十分に想像できます。レースで残した輝かしい勝利記録もさることながら、サバンナはしっかりと記憶にも残るクルマだと思います。

推定年式:1971
撮影時期:1982年3月
撮影場所:山口県徳山市梅園町にて