<旧車シリーズ 204>


NISSAN SILVIA (CSP311)


 1964年秋のモーターショーでベールを脱いだ「ダットサンクーペ1500」が、翌1965年4月に正式発売となったのがこのシルビアである。シャシーやエンジンはフェアレディと共用だが、ボディはドイツ人デザイナー、アルブレヒド・ゲルツ氏が手掛けたクリスプ・ルックと呼ばれる美しいデザインで、職人のハンドメイドで製作された。継ぎ目のないフロントフェンダーやアルミ削り出しのフロントグリルにその一端が窺える。このため月産ペースは最大でも約100台であり、高級車セドリックを遥かに上回る120万円というプライスタグが付けられた。
 メカニズムも一線級で、直列4気筒1595ccのOHVエンジンは高圧縮比とツインキャブ装着で90psの最高出力を発生、日本初のポルシェタイプ・ボルクリンク・サーボ・フルシンクロの4速トランスミッションを介して165km/hの最高速度を誇った。クラッチはダイヤフラム・スプリングを採用している。シートベルトを標準装着し安全性をアピール、お洒落な白革シートの採用は、高性能車に相応しい雰囲気づくりに一役買っていた。

 このクルマの最大の魅力はその優雅なスタイリングに尽きますね。草色がかったゴールドメタリックの外板色や、白いレザーシートもなかなかイイ演出をしています。
 写真のクルマは近所の日産系ディーラーに一時展示してあったものですが、この美しいボディはとても印象的で、ついついプラモデルを買ってしまった記憶があります。フロントウィンドウには「売車」の紙が貼られていましたが、一体誰の手に?…そして今は何処に?

推定年式:1965
撮影時期:1982年8月
撮影場所:山口県下松市末武にて