<旧車シリーズ 203>


PRINCE SKYLINE SPORTS (R21A)


 プリンスセダンの後継モデルとなった初代スカイラインには、ごく少量が生産された2ドアのクーペモデルが存在していた。兄弟車グロリアのシャシーに、巨匠ジョバンニ・ミケロッティがデザインした流麗なボディを載せたスカイライン・スポーツがそれである。1960年のイタリア・トリノショーで初お目見えとなり、翌年に日本で公開された後、ついに1962年4月に発売された。ボディは木型からの手作り品であり、車両価格はクーペが185.0万円、ソフトトップを備えるコンバーティブルが195.0万円と超高価になった。
 エンジンはグロリア/スカイラインに搭載された水冷直列4気筒の1862ccOHVで、4速コラムシフトを介して最高速度は150km/hに達した。ステアリングはナルディ社のアルミ製3本スポークタイプ、シートは英国製レザーシートでバケットタイプとなっている。翌1963年に生産中止になるまで約60台が送り出された。


 このスカイラインスポーツは、少なくともデザイン上はスカイラインセダンとの共通項は殆んどなく、全く別の名前を与えられていたとしても不思議ではありません。
 僅か60台の総生産台数ながら意外に現存率は高く、私はこのクルマの写真を4枚ほど撮影しています。現車でも写真資料でもそうですが、この個性的なデザインには終始圧倒されっ放しですね。両目がつり上がった迫力の顔付きもそうですが、呆れるほどに長い優雅なリアオーバーハングなんて、まさに圧巻です…。

推定年式:1963
撮影時期:1989年1月
撮影場所:東京都新宿区神宮外苑 '89ニューイヤーミーティング会場にて