<旧車シリーズ 202>


HONDA S600 (AS285)


 DOHCエンジン+京浜製CVキャブ4連装というハイスペックなスポーツカー・ホンダS500の衝撃的なデビューは1963年。2輪の世界で名を馳せたHONDAの4輪進出は大いに注目を集めた。それから半年後の1964年3月、排気量を100ccアップしたS600が登場するが、フロントグリルはS500よりも大きくなり、バンパー形状も変更されていた。最高出力57psを誇る606ccのA285E型エンジンは、9500rpmのレッドゾーンまで一気に吹け上がった。シリンダーヘッドからシリンダーブロック、クランクケースに至るまでオールアルミ製とし、車体には45度傾斜させて搭載される。トランスミッションは4速フロアシフトで最高速度は145km/h、S500と同様、リアのトレーリングアームをハウジングとして利用するチェーン駆動を採用している。フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンとトーションバーを組み合わせている。
 翌1965年にはファストバックスタイルを持つS600クーペが追加された。

 写真はオプション品のハードトップ装着車ですが、小粋なボディスタイルと古臭いナンバープレートとの対比が何とも言えません。また、異様に大きく見えるナンバープレートは、このクルマのコンパクトさを物語っていますね。
 かの本田宗一郎氏がF1への出場宣言をした年に生まれたのがこのS600。きっとこのクルマには、60年代初めに2輪レースで世界の頂点に立った「HONDA」の香りがふんだんに感じられることでしょう。ぜひ運転してみたい一台です。


推定年式:1964
撮影時期:1982年12月
撮影場所:山口県徳山市築港町にて