問題3-5-1 解説

極と赤道が等ポテンシャルの場合の液体地球の扁平率

(1) 重力ポテンシャルの式, \[ V = -\frac{GM}{r} - \frac{1}{2}r^2\omega^2\cos^2\phi. \] を使用して,極 N と赤道 E で等しいとおき,式を変形します. \begin{eqnarray*} -\frac{GM}{b} & = & -\frac{GM}{a} - \frac{\omega^2}{2}a^2, \\ GM\left(\frac{1}{b}-\frac{1}{a}\right) & = & \frac{\omega^2}{2}a^2, \\ GM\left(1 - \frac{b}{a}\right) & = & \frac{\omega^2}{2}a^2b, \\ 1 - \frac{b}{a} & = & \frac{\omega^2}{2GM}a^2b. \end{eqnarray*} 右辺の \(M\) に, \[ M = \frac{4\pi a^2b}{3}\rho, \] を代入して, \[ f = 1 - \frac{b}{a} = \frac{3\omega^2}{8\pi G\rho}. \]

(2) 数値を代入して計算すると, \[ f = \frac{3\times (7.292\times 10^{-5})^2}{8\times 3.14\times 6.674\times 10^{-11}\times 5500} = 1.730\times 10^{-3} = \frac{1}{578}. \]

補足:より正しい地球の扁平率について

以上のように,ホイヘンスが求めた扁平率と同じ値となりましたが,実際の地球楕円体の値は \(\sim\)1/298 です.上に得た 1/578 という値がこれとかなり異なる理由は,上記の方法は地球の全質量が地球中心に集中していると仮定している点です.この仮定は球では成立しますが (次の問題3-5-2),回転楕円体には適用できません.この点を考慮して近似を高くした方法を Stacey (1992) に基づき, → このページで解説しています.また,測地学や重力理論の分かり易い解説としては日置(2022)が挙げられます.

参考文献: