ホテルスメール(三重県飯高町)

○はじめての利用(2000.5.3)

 飯高町は三重県の中部、奈良県との県境に位置する町で観光とは無縁。伊勢自動車道の松阪ICからでも90分もかかる辺境の地といってよい。やはり、この施設もこんな過疎地の活性化対策として実施されたもので、「緑のふるさと・ふれあいプロジェクト=健康の森整備事業」の中核施設として位置づけられている。1995年4月10日オープン。
 飯高町で特筆しておくべきことは道の駅「飯高駅」が道の駅が制度化(1993年度)される前、1990年にすでに"駅"のコンセンプトを提唱し、作られていたことである。全国各地に道の駅が作られている現状からみると、こじんまりとした施設はもの足りなくもあるが、その先進性はもっとPRしてもよいだろう。

 健康の森整備事業は、ホテルと都市交流センター(温泉とレストラン)、グランドゴルフ場、テニスコート、 ローラーリュージュのあるリフレッシュパーク、洞窟美術館からなる。ロラーリュージュは97年3月にオープンしたもので、徐々に施設の充実が図られている。ホテルとゴルフ場の間に唐谷川が流れているが、その改修工事(自然再生)も行われていた。ただ、この工事については、自然再生とはほど遠く、まがい物づくりでしかないことは残念だ。

 施設的にはデザインも洗練されており、ロビーや廊下も広く、ゆとりがある。部屋も10畳の和室に広い縁側がついており、気持ちがよい。日経トレンディで評価されていた、部屋への荷物運びサービスも健在であった。食事は懐石料理、しゃぶしゃぶ、猪鍋の3つから選ぶことになっており、概ね満足できる内容だ。ただ、この3択というシステムがオープン当初から変わっていないというのはどうなのだろう。連泊した時の食事が気になるところだ。
 施設に関して苦言を言えば、洗面が浴室内にあること。非常に狭くて使いにくい。温泉があるので各室の風呂はなくてもよいぐらい。でもそれだと人気がないからわざわざ設けるのだろうか。もし、設置するとしてもシャワー程度でよいのではないだろうか。その分、洗面を広くしてほしいものだ。トイレが洗面と別であった点は評価できるが…。細かい点では、トイレのスイッチの位置とドライヤーのためのコンセントの位置。ちょっとした配慮で使いやすくも使いにくくもなってしまう。設計者にはよく考えて欲しいところだ。
 
 温泉は敷地内で温泉の掘削に成功し、新たに露天風呂も整備されたという。比較的広い露店風呂だが、外からみられてしまうのを防ぐための塀が視界をさえぎっている。景色がとりえのところだけに、工夫がほしかったところだ。また、浴室に比べ、脱衣場が狭すぎるのも難点。我々が入った男風呂は空いていたからよかったが、女風呂は混雑しており、その狭さが気になったという。

【基礎データ】
  • 事業主体 飯高町
  • 運営主体 (株)飯高観光振興公社(飯高町51%、フレックス(株)49%、資本金1億円)
  • 当初事業費(ホテル建設分) 10億5千万円
  • 1泊2食付き料金 大人13,800円、子供10,800円(GW中料金)
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