深セン・香港のまち歩き/スペーシア社員旅行(1995.6.20〜24
1.深セン
たった15年間で人口が130倍に急増した街。経済特別区として、中国の新しい姿を模索している。中国でありながら、どこか違う街、それが深センといえるだろうか。
- 新しく開けた街であり、道が広い。3年半前、中国を訪れた時、狭い道路にひしめく自転車の姿に驚かされたが、その姿はここにはない。自転車利用は多いものの、タクシーをはじめ、自動車も多い。ただし、信号無視が当たり前。自動車ですら赤信号でもつっこんでくる。すいすいと車を縫って歩いて行ければ、運動神経も良くなる。これも平均年齢27才という若いまちが故に可能なのかも。高齢者だと危なくて外に出歩けなくなってしまうだろう。
- 建築ラッシュである。熊谷組によって、世界で4番目のビル(81F)が建築中。8Fまではエレベータが必要なく、足場は竹で作られている。出来あがったところを、飯場として利用しており、合理的である。住宅は8F建てか30F建てぐらいが多い。8F建では1Fと8Fが最も安くて、3・4・5Fが高いという。日本とは逆だ。窓には泥棒よけのため、格子が設けられており、まるで鳥小屋に住んでいるみたい。
- テーマパークが作られ、観光にかなり力を入れているようだ。「世界の窓」は1年間で500万人が入場している。入場料金は160元と高く感じるが、中国人の料金はこの1/4とか。訪れるのも多くが中国人なのだろう。観光に力を入れているとはいえ、外国人に対してはまだまだ行き届いているとはいえない。香港に近いので英語がもっと利用されているのかと思っていたが、英語の表記は少ない。夜の女が出ているが、日本語がはびこっていないところをみると、日本人観光客の悪しき風潮にはまだ染まっていないといえるだろう。
- 日本のTV番組(クイズ・ショーバイショーバイ)をパクったような番組を見た。6年前の香港では日本の漫画をそのまま縮小コピーした雑誌に驚いたが、それが映像の分野にまで広がった感じ。司会者が関口宏のような態度をとっていたのには、なおさらあきれてしまった。
2.香港
6年前と比べて、景観が大きく変わってきた。2年後の中国返還を前に様々な動きが活発化しているようだ。
- 住宅事情が悪い。狭い住宅に多家族が住んでいる。うさぎ小屋と呼ばれる日本の住宅よりもひどい。賃貸マンションではシャワーは共用で低所得者向けということでクーラーをつけてはいけないという。住宅が狭いからなのか、ほとんどが外食。分譲マンションでもシャワーはトイレの便器に座りながらという。住宅の水準が低い上に、マンション価格が高い。普通の人の月収が8〜12万円というから、通常のマンションには高給取りしか住めないと考えてよいだろう。
- 漫画の違法コピーはなくなったようだ。日本の漫画を縮小コピーしたような雑誌は売られていなかった。正式に版権を買ったものが販売されている。少年マガジンが「新少年」として販売されていた。
- 新空港は巨大だ。九龍半島ぐらいありそうだ。TVで新空港をCGを使って紹介する番組をやっていた。島を核として巨大な埋立地を造成し、九龍半島と新交通で直結するという。九龍半島でもターミナル建設のために埋立が進められている。
- 建築ラッシュは夜景もかなり変えてしまったようだ。6年前。かなりめだった「ぢ」の看板(何故か夜遅くなると、電気が消えてしまった)が埋没してしまった。どんどん大きな看板が作られていく。今は空港の関係でネオンが規制されているが、新空港に移行すれば、ネオンによって、また新たな夜景が作られていくような気がする。
- あと2年で中国に返還されるということだが、中国とイギリスは様々な点でもめており、2年後に返還されるかどうかは微妙ともいう。新空港の費用負担の問題が大きいとか。中国の一人っ子政策との違いも気になる。これまでそのような規制の無い香港がすんなり受け入れるかどうか。香港の返還は、中国の香港化につながるのか。それとも香港の中国化につながるのか。興味深いところである。