奄美群島サイクリング/1人旅(1989.8.1〜13)

 奄美の観光客は減った。沖縄の復帰前はヨロン、ヨロンと人が集まり、その余波をかって沖永良部や徳之島にも多くの人々が訪れたが、今はみんな沖縄に直行してしまうようだ。わずかに与論がマリンスポーツを楽しむツアー客と沖縄流れの客がある程度という。島の各所でかつての繁栄の跡が見られた。閉鎖された国民宿舎や飲食店、錆びれた看板、リゾートブームの一方でブームの去った観光地の侘しさを見たような気がした。

 島のサイクリングは気持ちがいい。なんと言っても車が少ないのがいい。適度なアップダウンは壮快な気持ちにさせてくれる。でも10日間のサイクリングで結局1人も他のサイクリストに出会わなかったのは残念。そういえばバイクも少なかったなあ。観光客の少ないところでは地元の人とのふれ合いが楽しい。これまで観光客同志の話はしてもあまり地元の人と話すような機会がなかったのだけれど、今回は少しは話せた見たい。旅の違ったおもしろさに触れられたみたい。出会って話した人をメモしておく。YHであった電気工事のおじさん、徳之島のおばあさん、旅館であった徳之島のおじいさん、安木場の帰省客、民宿のおばさん。こうして書いてみると若者とであったのは結局YHであった2人だけだった。これまでだと寂しかっただろうが、今回はそんなことはちっとも感じなかった。私の旅も少しづつ形を変えているみたい。

 南の島の水はきれいだ。このきれいさを見ると本州の海でなんか泳げなくなってしまう。でもこんな海もどんどん破壊されているという。きれいな白浜だった浜に小石が混じりこんでくる。採石や海岸部分の道路工事によって珊瑚が死滅してしまう。海岸にガラスのかけら落ちている。本州と比べればまだまだきれいだといっても心配だ。

 今回の旅ではいろんなスタイル宿に泊まったが、1人旅のサイクリングではYHか民宿が一番だ。YHも酒が自由に飲めるのなら言うことなし。下手な宿より安くでうまい食事が出る。民宿は最初どうして選ぼうかと迷ったが、電話帳作戦というのも意外に成功するものである。食事を一緒に取れるから話もできる。最後に泊まった民宿は、設備はひどいし、汚かったけれど、1人しか客がいなかったおかげでいろいろもてなしてもらって良かった。グループで泊まっていたらきっと不満だらけだったであろうが、サイクリングで汚れている者に取ってはお似合いだったかも知れない。結局、一番不満だったのは国民宿舎。食事が作り置きという感じで味気ない。設備は良かったのでグループ旅行には向いているかも知れないが、一人旅には不向きだ。

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