トマム−失われた10年の現実をみる−(2000.12.28〜31)

 7年ぶりにトマムを訪れた。年越しは予約が一杯で大晦日に帰る日程とならざるをえなかったが、スキー場は余裕たっぷり。プールもガラガラという感じ。贅沢な空間をすごさせてもらったが、今にして思えば、何でこんな非効率なものを作ってしまったんだろうと思うばかりである。トマムを開発した企業は倒産してしまったが、それも無理はない。
 まず、ホテルの数が多くて、それが分散配置されており、ホテル間の移動にはバスを頼らざるを得ない。高級ホテルのガレリアスート(なんと1部屋が100uもある)に泊まったが、その部屋にはジェットバスやサウナまでついている。贅沢な部屋だが、部屋の使い勝手は悪く、無駄な空間も多い。ハワイで泊まった部屋は1周のできる部屋で非常に便利だったが、トマムの部屋では折角の空間が生かしきれていないのが残念。
また、温水プール(VIZスパハウス)はあまりにも大きすぎる。30m×80mの造波プールで天井も高く、維持費だけでも相当かかりそうだ。

 こんな状況で経営がなりたっているのだろうか、と気になってインターネットで情報収集をしてみた。インターネットに様々な情報が掲載されていることも驚いたが、トマム経営のウルトラCにはもっと驚いた。
1998年5月にアルファ・コーポレーションが負債1061億円を抱えて自己破産した後、その所与していた施設を占冠村が5億円で購入。その5億円は加森観光が村に寄付。加森観光は村から施設を15年間無償貸与を受け運営するというもの。こうすれば、村が施設を購入し、所有することから免税となる。
この加森観光は、ルスツ、サホロ、それにトマムと道内の3大リゾートの運営を行っており、社長の加森公人氏は「北海道のリゾート王」とも呼ばれているというプレジデントの記事もインターネットで読むことができた。

 7年前にトマムを訪れた時には、トマムはまだ夢に満ちていた。それが7年間でこんなに大きく変わってしまうとは…。
 失われた10年の意味をかみしめた年末の家族旅行であった。


ザ・タワー裏のスキー場からホテル・アルファを望む:デジカメで写真の合成ができることに感激してしまった


超高層のガレリア・スイート


VIZスパハウス:広いプールにたったこれだけ

<参考>
Management X-File(北海道のスキー場経営に関する研究の事例部分)
プレジデントの記事

(2001.1.11)

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