石見銀山・温泉津/ スペーシア社員旅行(2007.6.15〜17)

石見銀山

  思いもよらない「登録延期勧告」で地元ガイドの人は「現地を知らないで机上で審査しているから」と怒っていた。普遍的価値の証明が不十分というのが理由だという。確かに、観光として整備されている部分をみると、他にもある歴史的町並みと大きな差はないようにも感じる。しかし、石見銀山の本質はそこではない。まだまだ、観光ルートとして整備されていないところにこそ、そのすごさがあるようだ。案内の最後に銀山公園にある立体模型を使って説明してもらって、改めてそのことを感じた。

事前の準備が不十分で、我々が石見銀山ガイドの会の人に案内してもらったところも一般的な観光ルート。そこも森林浴を楽しむには充分よいコースではあったが、ガイドの人の話を聞くと、もっと山の上を歩かないといけないと感じた。ただ、そのルート上にある大久保間歩の公開は来年秋。今回、歩いてもその中まで入ることはできなかったわけであるが・・・。

  石見銀山の最盛期には、この山の中に20万人の人が住んでいたというだから驚く(江戸時代の名古屋の人口は10万人で、江戸、京都、大阪につぐ大都市だった)。山の中をよくみると、石垣の後が一杯残っている。山頂を削って集落がつくられたともいう。そんな後を偲ぶことができたら、それはすごいと思う。
  現在、鉱山の後として唯一公開されているのが、龍源寺間歩であるが、全長600mのうち公開されているのは273m。途中から新しく坑道をつけている。地面にデコボコが全く無いので聞いてみると、世界遺産登録を念頭においてバリアフリーのために今年にはいってきれいにしたという。まわりがデコボコなだけに違和感がある。バリアフリーというのも悩ましいと改めて思った次第だ。


龍源寺間歩の入り口


龍源寺間歩の内部


山中に残る石垣



大森地区の町並み(重伝建)

温泉津

温泉で唯一重要伝統的建造物群保存地区に選定されているのが温泉津温泉である。日経トレンディでも2007ヒット予測ランキングの20位にとりあげられていた。今回、玉造温泉にも宿泊したが、大規模旅館が並び、団体が観光バスでやってくる雰囲気は私にはあわず、それに比べて、温泉津の落ちついた雰囲気はなんとも心地よかった。早朝、2つの外湯につかりにいくと地元のおじさんたちが話しの花をさかせていた。今日は波が高くて漁には出かけられないらしい。港が近いのもこの温泉の魅力だ。

  重伝建に選定されたのが2004年4月。電柱は多く、道路の舗装もつぎはぎのアスファルトが目立つ。この2つが改善されるだけで、町並みは格段とよくなりそうだ。赤い石州瓦が印象的でそんな屋根並みをみることができる高台はないかと愛宕神社に登ってみた。もう少し眺めがよくなるとこれも魅力は増すだろう。実は、町なかの薬師湯の3階のテラスから、屋根並みをみることができた。温泉につかった後、無料のコーヒーを飲みながら町並みを眺めることができる。このサービスも心地よい。

旅館の隣が歴史的建築物を改修して作られた焼酎と梅酒の店があり、みんなで訪れた。観光客ばかりかと思いきや、浴衣姿は我々だけで、地元客で満員だった。まだまだ、観光地化されていないところも魅力のひとつといえるだろう。こんな雰囲気がいつまでも残ることを期待したい。


温泉津の町並み(重伝建)



薬師湯旧館


3階のテラスからの風景



赤い石州瓦が印象的な屋根なみ

(2007.6.22)

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