アムールトラが徘徊するシホテ・アリンの山々には、パルナシウス属のチョウが4種いる。オオアカボシウシバシロチョウ、
アカボシウスバシロチョウ、ウスバキチョウ、ヒメウシロバチョウは氷河期時代から生き抜いてきたアゲハチョウの古い
仲間だ。
純白のヒメウスバシロチョウは別として、真紅の紋がある三種のパルナシウスは、きわめて局地的に
分布するので、専門家に案内してもらわないかぎり、滅多に見られない。しかも棲息地まではせまく
、五百メートル四方の草原、あるいは一キロ程度の渓流沿いの草地に限定される。
そこは氷河期時代の太古から現在まで、そっくりそのまま伝わっている貴重な小空間なのだろう。
燦々と陽をあびながら、あちこちでフワッ、フワッと舞うパルナシウスに見惚れるたびに、
ぼくは悠久のときに身をゆだねて至福のときをすごす。
日本とロシア沿海地方の昆虫は共通種が多く、日本で絶滅危惧種クモマツマキチョウが、 ロシアでは普通種であり、いっぽう日本で普通種のツマキチョうが、ロシアではレッドブックに記載されている。
Parnassius nomion
オオアカボシウシバシロチョウ
Parnassius eversmanni
ウスバキチョウ
Luehdorfia puziloi
ヒメギフチョウ
Papilio maackii
ミヤマカラスアゲハ
Araschnia levana
アカマダラ
Melitaea aurinia
チョウセンヒョウモンモドキ
Apatura iris
チョウセンコムラサキ
Melanargia halimedek
シロジャノメ
Limenitis populi
オオイチモンジ
Anthocharis cardmines
クモマツマキチョウ