陸上最大の肉食獣、ホッキョクグマ。 地上最強の野生動物クマ「BEARS」新刊発売中
この血塗られた顔のホッキョクグマは、まさに陸上最大・最強の肉食獣そのものだ。 自然観は、各人各様だろうが、わたしには、このような姿のホッキョクグマが美しい。 北極圏の過酷な自然を息抜き、次代に生命をつなぐ・・・ワイルドライフの使命を 極限までつきつめる肉食獣の誇り高い姿がある。
冬季、ホッキョクグマの雄たちは北極海でアザラシ狩りをして暮らし、雌たちは雪穴で子供を生んで育てる。
福田は母グマが子グマをつれて、雪穴から出るドラマチックなシーンを撮ろうと決意した。
案内の研究者から問われた。母グマは警戒心が強い。貴方は安全をとるか?成功か?」
すかさず、福田は”成功”と答えた。
「ならば、ひとりで待て!」
母グマが子育てをする雪穴から60メートルの場所に雪ブロックを積み、その中に潜んだ。
母グマは子グマをつれて斜面を降りてきた。じゃれ合いつつ、私が潜む雪ブロックへ近づいてきた。
20メートルまで来たとき、シャッター音に気づき、母グマの目の色が変わった・・・
福田は信号弾ピストルを握って立ち上がると・・・巨大な顔・・・躊躇なく撃つ。
命中!クマは後退したが、怯むことなく、身体を揺らしつつ、再び迫ってくる。
福田は薬莢を抜き、新しい弾をこめて撃つ。しかし不発・・・母グマの掌が福田の右足を叩く。
絶望!突然、研究者のアドバイスが蘇る・・・「動物の言葉で喋れ!」
福田は両手を揚げて”フシュー(俺に構うな)!”母グマは、小便を漏らして、後ろへ飛び退いた。
そして・・・福田は命拾いした。
イヌイット製のトナカイ服を着る。マイナス40℃でも平気・・・最高の防寒服 背後の山は、ホッキョクグマが育児穴が集中するドレム・ヘッド山
この事件は、わたしに深い反省をうながした。もしわたしがホッキョクグマに殺されていたら、
間違いなく、あの親子も殺されていた。人間を殺した野生動物は生き延びることが許されない。そしてコーチネス、
協力者、関係機関、家族に、どれだけ迷惑をかけただろうか?
でもいつの日か、わたしの身体から、この
襲撃トラウマが消えたら、ホッキョクグマが、地球温暖化と、どのように闘っているのか、自分の眼で確かめたい。