第1部:資本の生産過程

第7篇:資本の蓄積過程

第24章:いわゆる本源的蓄積

第5節
工業への農業革命の反作用。
産業資本のための国内市場の形成



農業革命という、農村民からの生産手段・生活手段の分離過程が、どのように資本主義的生産のための“材料”を準備するにいたったかを、マルクスは、彼らの生産物の資本への転化を構造的に考察することによって、明らかにしている。

農村民の収奪と追放とは、……まったく同職組合的諸関係の外部にあるプロレタリア大衆を繰り返し都市工業に供給した……。耕作者の数が減少したにもかかわらず、土地は以前と同量かまたはより多量の生産物を生み出した。なぜなら、土地所有諸関係における革命が耕作方法の改良、より大きな協業、生産手段の集積などをともなっていたからであり、また、農村賃労働者の労働の強度が高められただけでなく、彼らが自分自身のために労働する生産場面がますます縮小したからである。[773]

すなわち、農村民の一部分が遊離させられるにつれて、この部分の以前の食料もまた遊離させられる。この食料は、いまや、可変資本の素材的要素に転化する。追い出された農民は、この食料の価値を自分の新しい主人である産業資本家から、労賃の形態で買い取らなければならない。[773-4]

国内で生産される、農業から生まれる工業原料についても、事情は生活手段の場合と同じであった。それは不変資本の一要素に転化した。[774]

農村民の一部分の収奪および追放は、労働者とともに彼らの生活手段と労働材料とを産業資本のために遊離させるだけでなく、国内市場をつくり出す。[775]

以前の自営農民の収奪や彼らの生産手段からの分離とならんで、農村副業の破壊、マニュファクチュアと農業との分離過程が進行する。そして、農村家内工業の破壊のみが、一国の国内市場に、資本主義的生産様式の必要とする広さと強固な存続とを与えうるのである。[776]

本来のマニュファクチュア時代は、つぎに訪れる大工業時代の、技術と分業構造の基盤と、なにより労働者層と蓄積される資本を準備するが、ひとたび家内工業が主要形態であった産業部門に機械が採用され、大工業時代が本格的に到来することによって、

農村民の巨大な大多数を徹底的に収奪し、家内的・農村的工業――紡績と織物――の根を引き抜いて、それと農業との分離を完成する。それゆえまた、大工業がはじめて、産業資本のために国内市場全体を征服する。[776-7]



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