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<伊方原子力発電所>
(いかたげんしりょくはつでんしょ)

伊方原発・場所 <基本データ>
所在地
愛媛県西宇和郡伊方町九町コチワキ3-40-3
運転開始日
1977年9月
事業主体
四国電力

<原子炉設備の概要>
 
原子炉型式
営業運転開始
定格出力
備考
1号機
加圧水型軽水炉(PWR)
1977.09.30
56.6万kw
 
2号機
加圧水型軽水炉(PWR)
1982.03.19
56.6万kw
 
3号機
加圧水型軽水炉(PWR)
1994.12.15
89万kw
 



九州の主なカルデラと巨大噴火 <佐田岬半島と伊方町>
 四国の地図をじっくり見たことがある方ならば、西端に直線的に突き出たやたらと細長い半島に興味を示した事があるかも知れない。愛媛県・佐田岬(さだみさき)半島であり、根元の八幡浜から突端の佐田岬まで約32km。半島の山の背には国道197号(メロディーライン・別名「頂上線」)が通る。みかん畑の中、海が右に見えたり左に見えたりする特異な区間であり、また快適なドライブコースである。先端に近い三崎の町からは、四国・九州間の最短ルートである「国道九四フェリー」が運行され、1時間10分で大分県佐賀関まで行くことが出来る。この航路もまた、国道197号の一部である。
 かつては半島の基部から先端にかけて「八幡浜市」「保内町」「伊方町」「瀬戸町」「三崎町」と5つの市町があったが、平成の大合併により、前者2市町と後者3町が合併。伊方原発のある地域には2005年に新「伊方町」が誕生し、人口1万2千ほどの町となった。町名には「佐田岬」という知名度のある名前をさておいて「伊方」という名が使われ、また合併後の町役場は旧・伊方町内の庁舎がそのまま使われることになるなど、原発があり財政力も豊かな旧「伊方町」が前面に出た合併だったといえよう。

<伊方原発の概要>
 四国唯一の原発で、四国内では他には高知県窪川に建設する計画もあったが頓挫している。敷地面積は約86万平方メートルで甲子園球場の面積の約20倍。うち、15万平方キロメートルは海岸埋立地。1994年12月には3号機が運転を開始し、3基合計で電気出力は202万キロワット。福島原発事故の影響で運転がストップする以前は、四国4県の総電力のうち約4割をこの原発で発電していた。また3号機は2010年3月から炉心の一部にMOX燃料を使うプルサーマル運転を開始している。


伊方原発・交通 <交通>
 四国電力が運営するPR館としては「伊方ビジターズハウス」が、国道197号沿いの原発に最も近い地点にある。道の駅「きらら館」という土産物を売る店が隣接している。ビジターズハウスの脇からひたすら下る坂道があり、これを下り終えた地点が伊方原発の正門。また、町役場庁舎向かいの「伊方町中央公民館」の中に「伊方原子力広報センター」があり、ここでも原発に関する展示物を見学できる。こちらは愛媛県の認可を受けた公益財団法人で「官」の立場から原子力発電をPRする施設といえよう。

●「伊方ビジターズハウス」まで
 伊予鉄道「松山市」駅(JR松山駅ではない)より、伊予鉄道バス(八幡浜・三崎特急線)三崎に行きにて「伊方ビジターズハウス」バス停下車すぐ。所要2時間11分、1日3往復。またこのバスはJR予讃線・八幡浜の駅前も経由する。八幡浜駅前から「伊方ビジターズハウス」バス停まで所要32分。
 さらに、これとは別に八幡浜駅前から国道197号経由で三崎まで行く路線バスがあり「伊方ビジターズハウス」バス停にも止まる。所要38分、1日3往復。
 上記のバスはいずれも、国道197号(メロディライン)を経由し、伊方町役場の前は通らない。役場へ行くなら「新伊方」バス停で下車し15分程歩く事になる。
●伊方町の中心部である「湊浦」地区や町役場へ行くなら、JR予讃線・八幡浜駅のロータリーから「伊方(町役場前)」まで行くバスが1日数便出ている。所要50分で1〜2時間おきに出ている。途中から国道197号から離れ、山がギリギリまで迫った海岸沿いの小集落をウネウネと曲がりながら時間を掛けてゆく、旅情豊かな区間。なお、下記の伊予鉄道のページの「駅・停留所名から検索」のページからはなぜかこのバス便は検索できない(松山市からの特急バスは表示される)。『伊予鉄道トップページ→運賃・時刻表・路線図→路線バス時刻表→八幡浜管内』とたどってゆくと八幡浜から伊方へ向かうバスの時刻が分かります。

伊予鉄道のページへリンク

●効率よくまわりたいならやはりタクシーを使うべきであろう。町役場のある湊浦地区にはタクシー会社が1軒ある。役場からビジターズハウスまで約5km。私は途中、原発の良く見えるスポットまで寄り道してもらって、料金は2,500円ほどだった。


<地形図で見る伊方原発付近の変遷>
1971(昭和46)年5月発行の地形図より

まだ原発は影も形もない。海岸には崖が迫り、わずかな平地に集落が立地している。山肌には果樹園の地図記号が一帯に広がり、当然にミカンの栽培が盛んであったろう。クルマの通れる道は半島の南部にあるが、つづら折りの急坂・急カーブが続く悪路で、四国内でも有数の交通の不便な場所であった。半島内での交通は船舶も広く利用されていたものと思われる。
2014(平成26)年11月現在の電子地形図より

半島の稜線部に国道197号(佐田岬メロディライン)が通る。見るからに良く整備された快適そうな道である。その他の道路網も整備され、北側には、約100mの等高線に沿うような県道も整備された。原発は高さ数十メートル程もある山を削り、また海を埋め立て建設された。さぞ巨大な土木事業であったろう。その他、ミカン栽培が盛んである事は変わらない。

使用地形図・1/25000湊浦(1971年5月30日)、電子国土地形図(2014年11月現在)国土地理院発行


<伊方原発PR館「伊方ビジターズハウス」訪問記>
旅行日 2013.2.20

八幡浜駅から伊方町役場前へ向かうバス
八幡浜から伊方へ向かうバス車窓から
↑今回の旅の出発点は、JR予讃線・八幡浜駅。とっても何箇所か廻った後でしたのでもう昼を過ぎていました。伊方町の役場前まで行くローカルバスです。
↑バスの車窓から。国道197号という立派に整備された道があるのですが、このローカルバスは国道は通らず半島の南側の小集落を結ぶウネウネ曲がる細い道をひたすら走り、旅情を感じさせます。
伊方町役場
伊方町中央公民館
↑バスに乗る事50分、終点の伊方町役場前で下車。左側の6階建ての建物が町役場庁舎。この中には原発非常時に行政側の拠点となる「オフサイトセンター」も入っています。右側のレンガ色の建物は「生涯学習センター」、その間にチラッと見えるのが「伊方町中央公民館」。いずれの建物も、この町の財政力の豊かさを表すような立派さ。
↑町役場庁舎の向かいにある「伊方町中央公民館」。1〜2階に「愛媛県伊方原子力広報センター」があり、原発関係の展示物を見学できるのだが、私が訪れた時は改装工事中で中へ入れなかった。皆さんも訪れる際は、必ず事前に確認しておきましょう。
伊方原発全景
伊方原発付近から見る風力発電所
↑ケチな私はタクシーを使いたがらないのだが、バス便がひどく不便な所なので仕方がない。町役場の前から「ビジターズハウス」までタクシーを利用する。寄り道して、原発建屋の良く見えるスポットまで行ってもらった。原発についての是非はともかく、巨大な建造物を上方から眺めるのは気持ちの良いものだ。途中には原発に反対する立て看板もチラホラ見られたが、タクシー運転手に気兼ねして撮影できなかった。
↑同じ場所から。私もいろいろ巡ってきたが、なぜか原発のある所には、風力発電所も立地する場合がひじょうに多い。海岸沿いの風の通りの良い場所で、周囲に人家が極めて少ない所に建設し易いという事で両者は一致するのだろう。
伊方ビジターズハウス全景
伊方ビジターズハウス・四国電力のマーク
↑ここが四国電力の運営する「伊方ビジターズハウス」。訪れる人も少ないようでなんとも平和そうである。PR館にはお馴染み、展望台もある。道の駅「きらら館」がすぐ隣にあり、お土産を買うならそちらへ。
↑「四国電力」のシンボルマーク。略しで「よんでん」。なぜか「しでん」とは呼ばない。「」という語が縁起が悪いからか、「市電」と混同されるからかは分からない。
伊方ビジターズハウスのシンボルキャラクター「フッキー」
伊方ビジターズハウス・原子炉格納容器の模型
↑ビジターズハウスのシンボルキャラクター「フッキー」。頭の上はマーガレットのような花びら状になっている。
↑さっそく館内を見学。「原子炉格納容器」6分の1サイズの模型。左のオレンジ色に光るのが原子炉ですね。なぜか内部からライティングされており、あまりリアルであるとは言えません。
伊方ビジターズハウス・タービン・発電機の模型
伊方ビジターズハウス・使用済み燃料プールの模型
タービン・発電機の模型。これもちょと迫力が足りないなぁ・・・。
使用済み燃料プールの模型。
伊方ビジターズハウス・中央制御室の模型
伊方ビジターズハウス・放射線が人体に与える影響
中央制御室の模型。
↑放射線が人体に与える影響を展示・解説しているコーナー。
伊方ビジターズハウス・展望室から見る伊方原発
伊方ビジターズハウス・上関原発建設が予定されている長島も見える
↑ビジターズハウス内の展望室から。山肌に隠れ全景は望めず、やや不燃焼。やはり、先ほど2,500円かけてタクシーを利用し、良く眺められるスポットまで行ってもらって良かった。
↑北側、伊予灘の向こうには山口県を望めます。この日も冬晴れのお天気の良い日でした。原発建設の是非で住民が激しく対立している、上関町の長島と祝島も向う側に見えます。
伊方ビジターズハウスより・宇和海、九町側を見る
伊方ビジターズハウスの隣、道の駅「きらら館」
↑同じく展望室より南側、宇和海に面した九町(くちょう)の集落。伊方原発に一番近い集落です。世間では原発の是非をめぐって大騒ぎしていますが、冬の日を浴びながら、そんな騒動など知らないという言うような穏やかさ。
↑ビジターズハウスに隣接して、「きらら館」という土産物を売る町営の施設があるのですが、残念ながら眺める時間が足りません。
伊方ビジターズハウス・見学記念のティッシュ
伊方ビジターズハウス前バス停
↑来館記念の「ティッシュ」。
↑「伊方ビジターズハウス前」バス停と国道197号(佐田岬メロディライン)。大変よく整備された道で快適なドライブが出来そうです。路線バス(上り便)は「松山市駅」行き特急バスと「八幡浜駅」行きが日に3便ずつ。ここから帰路につき松山市街まで向かいます。所要2時間11分のはずが、渋滞の影響で結局2時間半ほど掛かりました。



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