「見果てぬ夢」創作ノート1

2012年08月

7月に戻る 9月 10月 11月 12月
08/01/水
8月になった。5人の孫たちはまだいる。あと数日だ。大学や公用があって、孫たちと時間をかけてつきあうということはできなかったが、それでも「じいちゃん」がいるということは伝わっただろう。さて、月が改まったのでノートのタイトルを変えた。先月までは「宇宙論」ということで、半年間、宇宙について考えてきた。途中でヒッグス粒子の発見?というような画期的な出来事があった。だが並行して『超自分史のすすめ』と小説『父のまなざし』を書き、『菅原道真の見果てぬ夢』を始めいくつかの作品の出だしの部分を試み、「カラマーゾフの兄弟」の原典を読み始めた。大学が1コマ増えたのと、電子書籍をめぐる会議が増えたことで、ハードなスケジュールが続いたが、何とか乗り切った。が、結局、宇宙論は構想を練っただけで、あまり進まなかった。ということで、この夏休みは、『見果てぬ夢』を書くことに集中したい。本1冊、来年の頭くらいに出したい。
スペイン娘たちの滞在計画について、こちらは正確には把握していなかったのだが、どうやら明日の夜に出発ということらしい。ということで、今夜は最後の夜なのだ。近くのゼストというメキシコ料理屋に行く。この店は26年前にわれわれが引っ越した直後にできた店で、オープンの日に行った記憶がある。夕方に編集者を誘って明るいうちからビールを飲んだ。明け方までやっている店で、真夏の明け方犬を散歩させると、お開きになった酔漢がぞろぞろと出てきた。孫も何度かつれていった。われわれは来年、引っ越すことを考えているので、孫をこの店につれていくのも今回が最後かもしれない。広い店なので子どもが騒いでも、まあ何とかなる。いい店だ。自宅に帰って花火をする。明日帰るとなると、何だか寂しい。

08/02/木
『見果てぬ夢』は現在、第2章の途中。第1章では在原業平について語られる。伊勢物語の雰囲気。伊勢物語で語られる業平の物語は道真と重要な関わりがある。摂関家の専横というのがポイント。従って、業平の悲劇を充分に語らねばならない。さて、スペイン3人娘が帰る日だ。2台の車に分乗して成田へ。涙、涙の別れ。長女は繊細な子で昼間から泣いていたのだが、最後は涙が止まらなくなった。3女と四日市の長男は同じ4歳で、まるで恋人同士のような別れ。出発ゾーンに入ったあともガラス越しにキスをして、大人だったらバカみたいだけど、子どもだから可愛い。長女は東洋的な美女、次女はスペインふうの美女、三女はとてもキュートな美女で、どれもわが孫とは思えない。残った四日市の少年たちと、しばらくの間、ぼうぜんとしていた。

08/03/金
スペイン娘が去って虚脱感。妻は疲れが出てダウン。まだ四日市組は残っているのだが、猛暑の中、どこかへ出かけていった。こちらは一人で仕事。導入部の在原業平の部分が少し長いと気になっていた。短くする努力を試みている。まず菅原道真を出しておいてから、改めて業平について語ってもいい。まだ文体が充分に定まっていない。小説を書く時はいつも出だしで苦労をする。この苦しみが快感だといってもいい。何とかなりそうだという手応えは感じている。ほぼ真夜中に近い時刻に、長男から電話があった。昨夜の最終便で出発して、二十四時間以上が経過したその時刻に、スペインの自宅に到着したという知らせ。パリのドゴールで乗り継いで、バルセロナの空港に着いたという知らせは午後6時過ぎにあったのだが、そこから車で4時間はかかるピレネー山脈のふもとに近い場所。とにかく無事に帰りついたようでよかった。次男がまだいる。いっしょにオリンピックを見る。ピアニストの長男はスポーツにはまったく興味がない。次男とはよくいっしょにプロ野球を見に行った。

08/04/土
夏休みの期間に入って数日。『見果てぬ夢』は前進している。このオフの期間の前に、在原業平の事蹟を簡潔に描いた第1章を書いた。その最後のところにまだ少年の菅原道真が出てくる。その展開はいいのだが、少し長い。主人公が登場するまでにかなり長い物語が展開するのはどうか。ということで、第1章を削りながら、そこで削る部分を少しあとで、肉付けをして挿入する作業に取り組んでいる。在原業平の周囲の人物は、菅原道真にとっても重要な人物なので、しっかりと押さえておきたい。次男一家はまだいる。次男といっしょにテレビを見る。昨日は女子サッカー、今日は男子サッカー。両方ともベスト4。卓球やバトミントンなんかも見た。仕事はちゃんとしている。

08/05/日
四日市の孫、帰る。これで1ヶ月におよぶ孫との生活が終わった。孫といると気分が活性化するが、徐々に疲労していくことも確かで、嵐が去ってほっとしている。明日と明後日、まだ公用があるのだが、それで完全にオフになる。『見果てぬ夢』は順調に進んでいる。在原業平と菅原道真の人生がうまく絡まっている。高子、淑子という女傑のような人物と、愛妻の宣来子の対照もこの作品のポイントになる。主要登場人物はそれだけなのだが、周囲に多くの人物がいる。しかもすべてが姻戚関係でつながっている。系図が必要だろう。

08/06/月
孫のいない平和な日。家の中に静けさがあることがまだ信じられない気分。本日は文藝家協会で打ち合わせ一件。豪雨の中、妻の車で出かける。用件を果たして自宅に帰る。あとは自分の仕事。作品の冒頭、まだ『伊勢物語』の筋を追っている。応天門の変という歴史的事件も、伊勢物語の展開の一部だ。まだ若者にすぎない菅原道真が、この事件をどのように認識するかというのがポイント。同じ歳の源能有という人物が少し深読みをする。『桓武天皇』を書いた時は、神王(みわおう)という魅力的な人物が登場して、直情型の山部王に冷静な見解を示す参謀のような役割をしていたのだが、こういう脇役は重要だ。少しあとに出てくる紀長谷雄はボケ役、能有はツッコミ役で、道真は中立の立場にある。そういうスタンスで話を進めたい。
夜中、女子サッカーを見る。次男が四日市に帰ってしまったので1人で見る。90分間、攻められっぱなし。それでも奇跡的に2点入って、2対1でフランスに辛勝。見ているだけで疲れた。

08/07/火
先月の初めに有明のビッグサイトでシンポジウムに出演した。予定の時間より早く着いたので、勤め先の大学の新校舎を見に行った。ビッグサイトから徒歩5分くらいのところだ。遊歩道をすすんで、道路にかかった橋を渡った先に新校舎がある。校舎を見ながら橋を渡り終えた時に、わずかな段差があって、足がカクッとなった。それ以後、時々足が痛むようになった。1ヶ月経ったいまもまだ痛んでいる。その恨みの橋を渡って新校舎に出向いた。大学院の入試面接。願書には教員を指名できる項目があり、わたしを指名した学生が2人いたので、面接を担当することになった。1人15分で2人。30分で仕事が終わった。恵比寿まで妻に車で送ってもらい、帰りは恵比寿からタクシーに乗った。電車は30分もかからない。本日の仕事はこれだけ。夜中の男子作家。惜敗。わずかなミスで2点目をとられた。3位決定戦は日韓戦になる。これはいささかシビアな闘いになる。

08/08/水
今日から完全にオフ。近所の医者で月に一度の検診。それだけ。『見果てぬ夢』は応天門の変。まだ100枚には達していない。このあたりで道真の個性を出しておきたい。

08/09/木
女子レスリングは3つめの金。女子サッカーは銀。男子サッカーと女子バレーは日韓戦。これでオリンピックも終わりか。大学が休みになっているので夜中のテレビを見られる。仕事をしながらテレビをちらちら見ていた。いい夏だ。昨日から、『見果てぬ夢』を最初から読み返している。文体が固まっている。これでいい。このまま先に進んでいけばいいだろう。応天門の変で、良房と道真が最初に対面するシーン。ここが第1章の山場になる。ここから道真の個性が見えてくる。

08/10/金
『見果てぬ夢』順調に進んでいる。文体が固まったのでもはや迷うことなく先に進める。次の山場は染殿のシーンだろうか。

08/11/土
長期のオフに入っているので週末は関係ないのだが、本日はマッサージに行く。先月初めに傷めた左足の膝の痛みが引かないので、妻が通っているマッサージにつれていかれた。マッサージは好きではない。体に触られるのは苦手なのだ。歯医者も嫌いだけれども。しかし痛みが引かないので仕方がない。2時間ほどマッサージしてもらって少し軽くなった気がする。

08/12/日
オリンピックも終わった。例年なら仕事場ですごすお盆休みだが、今年は三宿にいる。孫5人とすごした7月の疲れが残っている。来週、大学で模擬授業を担当するので、それまでは三宿にいる。『見果てぬ夢』第1章が終わる。全体を4章くらいと考えているので、もう4分の1ができたことになる。このペースで進めば、夏休みのオフの期間に草稿が完成するのではないかと期待している。

08/13/月
何ごともなし。どこへも出かけずひたすら仕事。

08/14/火
何ごともなし。ひたすら仕事。これでは昨日と同じだ。仕事場へ行きたいのだが、仕事場は丘の上にあって長い階段がある。それが不安。外を歩けないのでは行っても仕方がない。『見果てぬ夢』第1章終わると日曜日に書いたが実は終わっていなかった。藤原良房が臣下で初めて摂政になるのだが、そのことを印象づけるために登場人物に議論させることにした。そうでないとただのアラスジになってしまう。

08/15/水
よーく考えてみると、お盆を三宿ですごすのは初めてのことかもしれない。仕事場は三宿に引っ越す前からあって、夏休みはたいていそちらですごしていた。今年は大学もあるし、孫たちが8月の頭までいたので、仕事場に行けなかった。スペイン娘たちを成田に送っていった時、足を痛めた。結局、ずるずると三宿にいる。暑い。仕事場も暑いがまわりが木々に囲まれているので少しはましだ。景色もいい。しかし仕事ははかどっている。散歩にも出ずにひたすら仕事をしている。

08/16/木
今日はいちだんと暑い。散歩に出ないと運動不足になる。屈伸運動などをして、足の痛みを緩和させる。ある程度、歩いた方が痛みはやわらぐのだが、とりあえず屈伸をしてリハビリとしたい。第2章に入っているが、まだ基経が出ていなかったことに気づいて、2章の早い段階で基経を出すことにした。良房という巨大な存在が道真の最初の敵になるのだが、この人物はすぐに死んでしまう。実際の道真の敵は基経とその子息の時平なので、基経を早い段階で出しておきたい。道真は無力な下級文官だ。この下級文官のビジョンが、やがて時の権力者と真っ向から対立することになる。その政治的メカニズムをクリアに見せないと、小説としてのダイナミズムが出て来ない。基経も短気なところもある人物だが、年齢とともに良房に近づいていく。そういう時間の経過も的確に描いていきたい。

08/17/金
基経のファーストショット。少し浅いか。この作品の中で、悪役としては最も顕著な人物。わたしは基本的に悪人を書かない。悪人というイメージがわたしにはないからだ。わたし自身、悪人かもしれないし、善悪の基準がよくわからないということもあるが、人間を丸ごととらえようとすると、善悪という単純なモノサシは消えてしまう。しかし菅原道真が讃岐に左遷されるくだりは、明らかに意地悪の左遷なので、基経はその意味では意地悪な人間である。だからいやなやつとして登場させないと話が先に進んでいかない。わたし自身が、もしかしたらノーテンキな人物なので、ほんとに悪い人みたいなものを書けないかもしれないが、とにかく浅くてもいいから意地悪な人物というものは書けるだろうと考えている。

08/18/土
この1週間、どこへも出かけなかった。近くの床屋に行っただけだ。本日はマッサージ。先週も行ったが、今週は少し痛みが軽くなったかなという気がする。2日前からストレッチを始めたせいかもしれない。膝の屈伸をするとかなり痛いが、そのあとが少し楽になる。本日のマッサージも痛いのだが、この痛みは、楽になるためのハードルだと思えば、希望がもてる。大学の再会は9月の末だが、9月になれば文藝家協会の理事会とか、公用が始まるので、それまでにはふつうに歩けるようになっていたい。明日は大学のオープンキャンパスで模擬授業をやることになっているのだが、大学までは車で行くので、キャンパス内を歩いて移動できれば何とかなる。

08/19/日
日曜日だが大学へ。オープンキャンパス。足がまだ完全でないので妻に車で送ってもらう。正門前はすごい人混み。ラッシュアワーのように賑わっている。模擬授業。大教室が満杯になった。高校生の皆さんも熱心に話を聞いてくれた。とにかくこういう講演会の類は、時間までに自分を運ぶことが大切。義務を果たせてほっとする。妻は武藏境駅前スーパーにいるというので、バスで武藏境まで行って合流。昼飯を食べてから車で帰る。足の調子はかなりよくなった。このペースでリハビリを続ければ何とかなるだろう。

08/20/月
昨日、大学の行事をこなしたので、またオフの期間が続く。足はまだ治っていないが、仕事場に移動した。周囲には散歩コースがあるのでリハビリになる。こちらも暑い。軽井沢みたいな避暑地ではないので、東京と同じような暑さだが、景色がいいので気分転換になる。大学の先生方と『武蔵野学』という共著を出すことになっていて、本日から原稿を書き始める。

08/21/火
仕事場でひたすら仕事。日曜に大学に行ったので、『見果てぬ夢』のこれまで書いたところ40ページ(120枚)をプリントした。これを読み返してチェックする。それから大学で他の先生方とリレー形式で講義している「武蔵野学」の講義内容を単行本にすることになったので、自分の担当ぶんを書き始める。

08/22/水
近くの保養センターの温泉に行く。昼食つきで800円。足のリハビリのため。ついでに生ビールを飲む。「武蔵野学」完了(35枚)。プリントのチェックも終える。よく働いている。『見果てぬ夢』は応天門の火災をめぐってミステリーのように展開している。このあたり、これまでの自分の小説より面白いのではないか、と自画自賛している。

08/23/木
仕事場にこもっていると曜日の感覚がなくなる。仕事は進んでいる。「武蔵野学」は出版社に送った。プリントのチェックも入力を終えた。これからスピードをつけて前進していきたい。

08/24/金
ショッピングモールに行く。足のリハビリで散歩をしたいのだがあまりの猛暑なので、ショッピングモールを歩いてやろうと思ったのだが、節電のためか冷房が効いていない。スポーツショップで膝のサポーターを買う。電器店でパソコンの下に敷く冷却剤を買う。仕事場に来るとこのショッピングモールに行く。三宿にいると、こういう場所が近くにないので、お台場みたいなところに行くのだが、こういうショッピングモールは大きな電器店、スポーツショップ、本屋が、三点セットのように揃っていて便利だ。本屋は行かなかったが。

08/25/土
仕事場のリビングルームはかなり広い。ダイニング用の大きなテーブルがあって仕事もそこでする。西に面した出窓があって夕陽が見える。三宿の家は西に面した窓がほとんどない。西と北に隣家があるので、窓は東と南しかない。仕事場は細長い丘の上にあって、東西の眺望がいい。その西側の窓の網戸の網がなくなっていて、夜開けられない。このところ猛暑が続いて夜中もエアコンを入れるので問題ないのだが、そろそろ涼しくなる頃だ。築30年の木造で梁が下がっていて、網戸がはずれなかったのだが、友人の大工さんがジャッキをもって来てくれた。網戸がはずれたので、妻が網を買いに行った。もう夏も終わりで、最後の一枚を危うくゲットしたとのこと。網の張り替え作業を手伝う。『見果てぬ夢』も進んでいる。折り返し地点が見えてきた。ドストエフスキーの書き換え作業のような長篇は、なかなか折り返し地点が見えないが、こういう短篇(?)はすぐに折り返し地点が見えるから楽しい。まだ本格的に書き始めて1ヶ月もたっていない。今月中に第2章が終われば、あとはゴールを目指すだけだ。第1章は主人公の十代、第2章は二十代にあたる。ここまでは青春小説だ。ここから先は政治ドラマがより深くなっていく。『道鏡』は、女帝が最初から狂っていたので、恋愛という側面があまりふくらまなかった。今回も菅原道真は堅物なので、恋愛からは身を引いているのだが、在原業平の物語と重ね合わせることで、女性が活躍するストーリーになっている。『平安朝の悪女たち』でも書いたように、平安時代は女性が政治に関わる時代だ。今回は淑子が前面に出てくる。背後に在原業平の恋人の高子、さらに順子という人物も、小説には出てこないのだが、陰で政治を動かしている。こんな時代は他にはない。夜。突然、涼しくなった。エアコンを切り、窓を開けて寝る。早速、網戸が役に立った。

08/26/日
次男一家が日帰りで来る。先週の日曜日、われわれがまだ三宿にいた時にも、次男一家はこの仕事場に来ていたそうで、何か毎週来ているみたいだが、ここはリゾート地なのでプールがある。いちおう小さな滑り台みたいなものも設置されていて、孫たちは楽しんだようだ。孫たちが三宿を去ったのは今月の初めだったのだが、嫁さんの実家と、母方の田舎の会津に行っていたりして、次男は単身で会社に通っていたようだ。二歳の次男が急速にしゃべるようになっている。7月の初め、スペイン娘たちと合流した最初の時点から比べると、成田に送りに行った頃には急速にしゃべるようになっていたのだが、その8月の初めの時点から比べても、さらにしゃべるようになっている。次男(親の方)はまったくしゃべらない子どもだったので、二人の息子たちがぺらぺらしゃべるのは不思議。顔は父親にそっくりなのだが。

08/27/月
近くの温泉に行っただけ。あとはひたすら仕事。仕事場にいるのだから仕事をするしかない。

08/28/火
近くの道の駅に行く。山間の小川のそばで気持のいいところだったが、まだ猛暑が続いているので、山の中とはいえ、キリッと涼しいというわけにはいかなかった。帰りは山岳ドライブをした。といっても運転するのは妻だ。もう長い間、ハンドルを握っていない。いま左足が痛いので、運転はできない。わたしは免許をとった二十歳代の頃からずっと左足ブレーキなので、左足が痛いとピンチだ。かなり回復はしているのだが、まだ本調子ではない。『見果てぬ夢』は3章もかなり進んでいる。2章の在原業平の登場シーンだけ後回しにしているので、まだ折り返し地点とはいえないのだが、3章もかなり先に進んでいるので、全体の分量としては半分を越えていると思われる。ここから先がだんだん難しくなるとは思うのだが、登場人物のキャラクターがしっかりできているので、大きく行き詰まることはないと考えている。

08/29/水
昼食を兼ねて少しドライブしただけ。明日は三宿に戻る。10日ほど仕事場にいたことになるけれども、仕事はたっぷりできた。この1ヶ月で本1冊ぶんの半分ほどが書けたことになる。ただ草稿ができてから、修正に時間がかかるかもしれない。歴史小説は細かいチェックが必要になる。足もかなりよくなった。今日は下りの階段が苦にならなかった。ただ油断はできない。一度、ほとんど治ってから、また悪化した経緯がある。毎日のリハビリが必要だろう。

08/30/木
三宿へ戻る。第2東名。快適なドライブ。東京はものすごく暑い。10日ほど留守にしていたので、家の壁が熱を帯びいていて、エアコンをかけてもなかなか冷えない。まだ大学は始まらないが、文藝家協会関係の仕事は始まるので、明日から始動しないといけない。サービスエリアでの移動や荷物運びなどをしたが、足の痛みが出なかった。しかし本調子ではない。正しいアルキカタを忘れてしまった感じ。そろそろ散歩にも出てみたいが、この猛暑がおさまるまでは難しいだろう。『見果てぬ夢』は三宿に戻ったので、書く場所が変わるとどうかなと思っていたのだが、順調に先に進んでいる。業平の資料を仕事場にもっていかなかったので、そこだけ抜かして書いてきた部分を埋める必要がある。染殿での歌会の場面。実はこれまでにこの場面を2回書いている。『天神』と『なりひらの恋』。わたしが捏造した場面で史実ではないのだが、この歌会の年代が2つの作品で違っている。流れでいえば『天神』の年代を踏襲すべきだろう。少し迷うが、年代をあとの方にすると流れがわるくなるので、このまま押し切ってしまおうと思う。

08/31/金
仕事場では朝型になっていた。三宿に戻ったのだが、急に夜型にはなれず、朝目が覚めてしまった。文藝家協会で午前中の会議。猛暑だし足も悪いので妻に送ってもらう。帰りは歩いたが、足は痛まなかった。ただ歩き方がまだ思い出せないので何だかぎくしゃくした歩き方になってしまう。リハビリにはあとしばらくかかるだろう。『見果てぬ夢』は仕事場で予想以上に書けたので、これで充分。まだ大学は休みなので、何とか9月末には草稿を完了させたい。



次のノート(9月)へ進む 7月へ戻る

ホームページに戻る