「カラマーゾフ」創作ノート14

2014年2月

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02/01/土
昨年の9月から書き始めた『新釈カラマーゾフ』は入力済みのものが600枚、メモはあと100枚ぶんくらいあるだろう。このところメモの量が伸びている。新幹線で書いたり、大学の入学試験の待機の時間に書いたり、メモを書く時間がたっぷりあるせいだが、ボールペンとノートがあればいくらでも書けるという状態になっている。メモをとるというのはどういうことかというと、登場人物が出てきて会話する、その会話を書き留めるというもので、たとえば頭の中に1時間くらいの対話だけのドラマを思い浮かべて、その会話をメモしていくということだ。描写もメモするのだが、ここでためらったとか、しばらくの間、沈黙が続いたとか、そういう簡単な「とがき」のようなもので、これを書く時に参考にしているのは、花登筺の名言「1時間のドラマは1時間で書ける」というものだ。これは小説でも同じことで、小説の中で1時間の時間が流れたら、それは1時間で書けるということだ。実際はそうではない。9月から書き始めて600枚書いたわけだが、その間の作品の中の時間の経過はまだ2日半だ。全体は5日間くらいの話になるのか。すると全体が1200枚くらいの手頃な作品になる。とにかく5ヵ月でここまで来たのだからあと5ヶ月で草稿は完成するのではないかと思っている。すると夏休みに全体の草稿をプリントしてチェックすれば9月ごろ完成かな。ほぼ1年でゴールに到達できるかな。というふうに楽観しているのだが、どうなるかはまだわからない。これから先に何が起こるか、具体的には何も考えていないからだ。といっても9月に書き始めた時は、もっと何も考えていなかった。書きながら考えているうちに、登場人物がひとりでに動き始めるようになる。だからこれから、わたしはただ登場人物が自由に発言するのを書き留めるだけだ。
さて、2月になった。土曜日だから休み。明日も休み。といっても1月、2月は受験シーズンだから、週末が入試でつぶれることも少なくない。来週も木曜日が入試なので一日待機ということになるので仕事が捗るだろう。本日は月に1度のマッサージ。マッサージをしてもすぐに体がこちこちになってしまうのだが、たまにはマッサージをしないともっとこちこちになってしまう。このマッサージは役者をやっている姉に紹介してもらったので、まあ、ちゃんとしたところだ。スポーツ選手も来るところで、役者なども「プロ」ということで、高い料金をとられる。わたしは体力を使う仕事ではないので割引料金だ。本当は仕事で疲れているのだが。木曜に目がおかしくなったのだが、本日は少し戻った。明日、もっと戻ることを期待したい。

02/02/日
日曜日は休み。ありがたい。土曜、日曜と休めるのは本当にありがたいのだが、明日の月曜日もどうやら休みのようだ。いつも月曜日は学科会なのだが、この時点で招集のメールが来ないところを見ると、どうやら休みになるようだ。とにかくスーパーボウルの日なので、午前中はどこにも行かない。目医者の薬がなくなるので心配したのだが、本日はほぼ回復した。薬はあと一錠ずつ(3種)あるのだが飲まずにおいて、今日はウィスキーを飲む。このままで昂奮して眠れないから。いよいよスーパーボウルだ。今回はぜひともマニングのブロンコスに優勝してほしいので、いまからドキドキしている。最強のオフェンスと最強のディフェンスの激突と言われている。この場合、最強のディフェンスが勝つのが通例らしい。しかしマニングは違う。そう思いたい。スーパーボウルはこれまで南部の温かいところかドームと決められていたのに、今回はニューヨークの野天の球場ということになっていて、雪や寒波が心配されていたのだが、直前の天気予報ではどうやら5度くらいでスタートするようで、雪も雨もないようだ。ということは、パスを投げるマニングに有利ではないか。シーホークスのウィルソンはモバイルQBと呼ばれている。自分で走っていくQB。つまりシーホークスはラン攻撃が主体だ。ウィルソンのパスは不正確なのでインターセプトのチャンスはある。もっとも守備の3列目が強いので、逆にインターセプトされる可能性もある。結局は運ということになるのか。これはまう、結果を待つしかない。仕事の話に戻る。入力作業が進んで、かなりメモに近づいてはいるのだが、まだノート1冊ぶんある。さて、大学の業務として、本日、来年度のシラバスの入力を終えた。去年の授業のを使い回したのでそれほど難しくはないのだが、来年度の前期だけある『古代ロマンの愉しみ』という特別の寄付講座の入力に手間取った。どうもコピペがうまくいかず、打ち込みは何だかかったるい。10年前のATOKを使っているせいかもしれない。ウィンドウズ7になじまず、ここぞという時に作動しない。いま一太郎の最新バージョンを注文してあるのでそのうち届くだろうが、辞書の移動などがスムーズにできるか心配だ。とにかくシラバスの入稿が終わった。成績の入稿も完了しているので、あとは学生たちの作品を載せる「文集」の入稿が残っているだけ。俳句と連句の入稿が終わっているのだが、現代詩と短歌はまだ数が揃っていない。ページがオーバーしそうなのも気にかかっている。自分のゼミの作品はすでに入稿しているのだが、他の先生方の教室の作品もあるので、ぎりぎりまで待つしかない。こういう雑用もあるし、来週は毎日、大学に行くことになりそうだ。文藝家協会の仕事で原稿を1つ書く必要があり、これは大変な作業だ。とにかく明日はスーパーボウル。その間は何もかも忘れて、試合に集中したい。

02/03/月
ついにスーパーボウルの当日になった。朝8時に起床してテレビの前に。いつも月曜日は授業があるのだが、もう2月なので授業はない。学科会もないので本日は完全に休みだ。コイントスでシーホークスが勝った。何となく悪い予感。後半の攻撃権を選択したので、前半はブロンコスの攻撃から始まる。リターンは15ヤードのところでストップ。また悪い予感。リターンせずに放っておけば20ヤードからリターンできた。さて、マニングが登場。オフェンスラインのセンターからスナップ。ここで悪い予感が的中。何とマニングが前に出てラインに声をかけようとした瞬間にスナップされてしまった。ボールは転々ゴールゾーンへ。セイフティーで2点献上。セイフティーの場合は相手の攻撃になるので、その攻撃でゴールの3点が加わる。たちまち5対0。ようやくブロンコスの攻撃になったが何と3ダウンアウト。次の相手の攻撃でまた3点とられる。8対0。歯車が狂ったまま戻らない。そのままずるずると22対0で前半を終わる。そして後半のキックオフでシーホークスはキックオフ・リターン・タッチダウン。これで勝敗は決した。こんな大差のスーパーボウルは見たことがない。しかもあのマニングがなすすべもなく敗れたのだ。呆然自失。しかし考えてみると、悪い予感の正体がわかってきた。最初の攻撃の時の観客席からのクラウドノイズ。これがすごかった。ここはシーホークスの球場ではない。中立のニューヨーク。マニング弟のジャイアンツのホーム球場だ。それなのにこのノイズ(QBの指示が聞こえないようにする妨害ノイズ)。シアトルから大挙して応援団が来ているのだろう。それで声が届かず、マニングが前に出て指示を出そうとした瞬間にスナップされてしまったのだ。シアトルの攻撃の時にはノイズはなかった。デンバーからの応援が少なかった。貧しい田舎町のデンバー。対してシアトルは西海岸、かつてはイチローもいた大都市だ。このクラウドノイズの差が勝敗を決めた気がする。というようなことを考えて反省しても仕方がない。いったん歯車が狂うと、やることなすことすべて裏目になるというブロンコスのプレーを見ていると、フットボールというのがメンタルなスポーツだということがわかる。これは人生の教訓になる。歯車が狂わないように、日々、最善を尽くすしかない。
さて、目医者に行って見てもらうと完全に治癒しているということで薬ももらわず。医者は秋葉原なのでヨドバシに回ってボイスレコーダーを買った。自分の講演を録音しておこうと思った。うまく行った時の講演の手順を憶えておけば、何回でも使える。それと、4月から前期だけの寄付講座というのをやることになっていて、ふだん語らないことを語るので、記録として残しておきたいと思った。入力作業も進んでいるが、メモの方も前進しているのでなかなか追いつかない。メモの方では主人公のコーリャの新しい面が見えてきた。いままでは「目撃者」としてただ見るだけだったのだが、このあたりから能動的な人物になっていく。それに変わって、新たな「目撃者」が出現する。この仕掛けは最初から考えていたことだが、どういうふうに切り替えるかが難しいと思っていた。それで割合にスムーズに行きそうで、流れがいい。まあ、うまくいく時はこんなものだ。自分の仕事の方は歯車ががっちり噛み合っている感じがする。フットボールが不運の連続だったので、見ているわたしの方は逆に運が向いてくる気がする。というふうにすぐにポジティブになるのが自分の長所だといえる。

02/04/火
大学。大学院生の修士論文の発表会。これに半日かかったあと、能楽資料センターの会議。これで一日を費やした。大学の学生たちの作品を載せる文集の校正を自宅でやる。大学の仕事で丸一日を費やす。まあ、仕方がない。夜中に少し打ち込みをする。

02/05/水
学部長会議。それだけ。あとはひたすら入力作業。

02/06/木
薬学部の入試。しかし学部長は全員が待機。早朝に出勤して入試本部に陣取る。例によってそこにいればいいというだけの仕事。ひたすらメモをとる。入力作業もがんばってはいるのだがどんどんメモが増えていく。

02/07/金
本日は休み。明日、大阪で講演があるのだが、大雪の予報。明日、早起きして切符の変更をして早めに行くことも考えたが、切符の変更にかかる時間も考えるとかなり早起きしないといけないので、本日中に大阪に行ってホテルに泊まることにした。誰も考えることは同じようで講演会場の梅田の近辺のホテルはすべて満室。試しに新大阪のホテルをあたると空室があった。これでいい。夕方まで自宅で仕事をしてから東京駅へ。窓際の席に変更できた。ハイボール缶2つを友にひたすらメモをとる。軽く酔った感じていい気分だ。新大阪の駅で弁当とハイボール、おつまみなどを買って、徒歩でホテルへ。駅前のホテルで見えているのだがその前に車が行き交う広場があって、少し迷った。部屋に入る。ビジネスホテルだが机も冷蔵庫もある。ビールが飲みたくなったので自動販売機で買う。風呂に入ってからビールを飲んだら眠くなってそのまま寝てしまった。

05/08/土
よく眠った。ひさしぶりにたっぷり寝た。起きて開会式のテレビを見ながら仕事。チェックアウトを延長して12時まで部屋にいた。新大阪駅の喫茶店で軽く昼食。それから地下鉄で梅田へ。講演を終えて新大阪へ。山陽新幹線には遅れが出ていたが始発の列車のチケットなので定刻通りに出発。東京は暴風雪とのこと。前の列車がつかえていて、新横浜のあたりから徐行運転。結局、40分遅れで到着。動いているのは山手線だけというので、秋葉原から歩いたのだが、ふだんなら5分で行ける距離が猛吹雪のため15分くらいかかった。八甲田山みたいだった。この新居に引っ越して初めての大雪。点検のために夜中に停電ありとのこと。軽く飲みながらテレビを見ていると映らなくなった。アンテナの「点検」が始まったようだ。早めに寝る。

02/09/日
日曜は休み。このところ何度も入試があるので日曜でも休みにならないところがつらい。来週は週末が土日ともに入試になっている。本日は貴重な休日。昨日の雪がまだ積もっている。皇居の緑の中に宮殿の屋根が白く浮き出して見える。初めて見る眺めだ。夜は近所のカレー屋に行く。インド人(たぶん)がやっている店で焼きたての大きなナンが出てくる。雪が積もっている日曜のせいか、客はわれわれだけ。さて、本日はひたすら入力作業をやっていたのだが、なかなかメモに追いつかない。来週は比較的に時間がとれるので何とか入力作業を先に進めたい。

02/10/月
大学。授業はもう終わっているのだが学科会がある。議題が多く3時間くらいかかった。いまは学生たちの『創作集』を作る作業もやっていて、研究室でゲラが届いていたので自宅に持ち帰ってチェック。おい、学生諸君、誤字脱字が多いぞ。本来は入稿前にチェックすべきところだが、入稿の時にはスタイルを整えることで疲れてしまうので、文字のチェックはゲラになってからにしている。スタイルを整えるということでまずチェックするのが、段落の頭の一字下げ。そんなことは当たり前なのだが、ワードなどのワープロソフトは親切な設定になっていて、改行をすると自動的に一字下げにしてくれる。これが実は罠なのだ。画面上は一字下げになっていても、実は本当は一字下げになっていない。そのワープロでプリントすれば確かに一字下げになるのだが、このデータを印刷所に送ると一字下げにはならないのだ。一字下げにするためには、確実にブランクを打ち込まないといけない。学生には自動的に一字下げにならない設定にするように言ってあるのだが、これはある程度、知識のある人でないと難しい。で、仕方なくわたしがブランクを打ち込む作業をする。あと、台詞のあとでは必ず改行するとか、「?」や「!」のあとにブランクを入れるとか、そういう調整だけして印刷所に送ることにしている。で、文字の修正は校正でやるのだが、一字も直さなくていい学生もいれば、ごく初歩的なワープロ変換ミスをする者もいる。漢字をよく知らない学生もいる。だから困るのだよ、ゆとりの教育は! などと慨嘆しながら作業を進めることになる。

02/11/火
本日は祝日。大学も休み。自宅でひたすら入力作業。すでに200ページ、600枚を突破しているのだが、ここまで物語の展開としては、まだ4日目のお昼ごろ(メモの方は夜中になっている)のところを入力している。入力がお昼ごろで、メモが夜中で、同じ一日のことではあるのだが、その間には濃密な時間が流れている。あんまり開きができると、自分でもわけがわからなくなるので、入力をもっと進めないといけない。夜中、テレビで五輪を見る。ハーフパイルの中学生と高校生はよくがんばった。女子ジャンプは風に乗れなかった。競技というのは運任せのところがある。

02/12/水
大学。判定会。いったいいくつ判定会があるのだ。とにかく学部長、学科長、入試担当者の3人で対応する。さて、本日は大切な作業がある。新発売の一太郎を入れるのだ。わたしはワープロソフトはずっとワードを使っている。だが変換には一太郎のATOKを使っている。歴史小説を書くので日本の元号や天皇の名前が出てくるATOKを手放せない。これまで使ってきたのはATOK2005というもの。これでウィンドウズXPという環境で長く仕事を続けてきたのだが、昨年、大学の研究室のパソコンが更新されてウィンドウズ7になったのを機に、自宅のパソコンもウィンドウズ7の入ったものに替えた。それで旧いCDロムでATOKを入れたのだが、いろいろと不具合が出た。ネットで調べると、新しい変換ソフトを買いなさいとか、そんな結論になった。それでもこれまで、何とかやってきた。ワードで原稿を書いている限りは問題がなかったからだ。ネットの検索ボックスに打ち込む時に不具合が出る。けっこうめんどうな作業をやっていた。で、新しい一太郎が出てATOKも新しくなったというので、ネットで購入した。9年前のユーザーでも、買い換えということで安く売ってもらえる。で、届いたソフトを大学の研究室のパソコンにインストールした。わたしはワープロ専用機の東芝ルポで仕事をしてきたので、ワープロ専用機からパソコンに換えた時も、ルポの使い勝手を残すために、キーの登録をいろいろいじった。そのため、パソコンを換える度に環境を整えるのに数時間を要した。しかし最近のソフトは改良が進んでいるようで、ただインストールするだけで、従来の環境はそのまま踏襲されるようだった。キーボードの配列と、漢字変換のデータ。どちらもわずかな狂いも許されない、わたしにとっては大切なものだが、これを引き継ぐのに昔はいろいろと手間がかかったのだが、今回はとても簡単だった。2005以降のものは、引き継ぎが自動化されているのだ。よかった。

02/13/木
床屋に行く。ハサミで5分ほど刈ると形が整い顔そりと洗髪、全部で15分ほど。効率がいいし1600円だ。以前世田谷区にいたころは1時間くらいかかっていた。あの無駄な時間は何だったのか。3500円だったし。夕方、イーブックジャパンの担当者と打ち合わせ。サイトへの応募作にコメントをつけることになっている。女の子が多いだろうと思ったが、意外に年輩の男性が多いようだ。とにかくいい作品があればネット上に公開するということなので、新人のデビューとし一つの通路ができるのではないか。軽く飲む。夜中は仕事。羽生くんのショートは完璧。カーリングは惜しかった。昨日入れたATOKは快調。異体字が出るのもすごい。2年前に経産省の補助金で異体字を出せるシステムの検討会の座長をしていたのだが、途中で補助金が切れてストップした。あれは何だったのか。これまではATOK2005を使っていたので、9年ぶりに更新したのだが、以前のはインターネットとの相性が悪かった。というか新しいブラウザに対応していなかったのだろう。で、いろいろと不便だったが、これで問題はすべて解決した。

02/14/金
朝から雪。先週土曜日の雪がまだ道路の隅に残っているのだが、その上に雪が積もる。午後4時からの文藝家協会での出版社との会合。一般の会員向けに電子書籍の使い勝手を体験してもらうという会なので、中止にするわけにもいかない。文藝家協会の所在地は麹町。いつもは快速で1駅の四谷から歩いていくのだが、本日は最寄りの麹町へ向かう。総武線で市ヶ谷乗り換えだが、御茶ノ水の駅に行くのに雪の積もった道路を渡らなければならない。それで濡れずに行ける千代田線に乗って日比谷乗り換え。歩く距離はあるが地下道なので問題はない。帰りも同じコース。帰りの千代田線は超満員だった。新御茶ノ水で下りて長いエスカレーターを昇ると、いつも通るソラシティーの地下広場に出る。ほっとする。今日の外出はこれだけなので入力の時間がとれた。民族主義者たちと議論をする場面。メモはそのあとの夕食会と、幹部会、そのあとのポーランド貴族グリネヴィツキーとの会話まで進んでいる。まだノート1冊以上のタイムラグがある。明日と明後日は入試で待機することになるのでメモが先に進んでいくことだろう。来週もがんばって入力作業を進めないと差が開いてしまうことになる。明日は朝が早いのだがフィギュア男子を見てしまう。金メダル。よくがんばった。

02/15/土
深夜まで降り続いた雪は雨になったが、中央線の快速が運休。総武線の各駅停車は動いているので三鷹までは行ける。豪雨の中をバスの発着所に並ぶ。チェーンをつけたバスが来る。大学までの直行バスだが、満員。何とか乗り込めた。外は豪雨。しかし冷たい雨なので雪は融けない。ほぼ定刻に会議室に着いたのだが、3時間遅れで入試を始めることになった。当大学が「メイン入試」と呼んでいる大きな試験で、本日と明日と、2日連続で8学部の入試がある。3時間遅れなのだが、学部長は入試本部に待機していなければならない。それから入試が始まり、さらに遅れてくる受験生のために、別室で1時間半遅れの試験もやったので、終わって入試本部が解散したのは8時近く。12時間近く大学にいたことになる。その間、他の学部長の人々と雑談しながら、ひたすらメモをとる。自分の仕事がかなり進むので、この待機の仕事は悪くない。午後は雨も止んだ。自宅に帰り着いたのは9時過ぎ。さすがに体は疲れたが、仕事ができているので気分は充実している。

02/16/日
本日は入試。最初から1時間半遅れでスタートすることになっているのだが、入試本部の集合は1時間遅れということ。それでも朝が楽だった。疲れたので昨日は早く寝た。ジャンプの2回目を見られなかったのだが、葛西の銀メダル。テレビのデータ画面に確認して自宅を出る。本日もひたすらメモをとる。

02/17/月
大学。教授会がある。そのあとの学科会。何だか疲れた。夜中、ジャンプの団体戦。長野オリンピックを想い出した。その前のリレハンメルで原田が失速する場面もリアルタイムで見ていた。わりとテレビはよく見る。テレビを見ながら仕事をすることが多い。

02/18/火
大学。大学院の会議。有明校舎と結ぶテレビ会議。15分で終わる。これのために往復2時間かけて大学へ行く。帰りの電車でメモをとった。三鷹の駅でホームに下りていくと、特快と快速が停まっていた。快速の方に乗った。老人席の端に空席があったこともあるが、特快は速すぎて仕事ができない。快速だと30分くらいかかるので仕事ができる。

02/19/水
大学。学部長会議。ふだんこの会議ではほとんど発言しないのだが、本日は発言の必要を感じたので、少し話した。内職が進まなかった。そのあと研究室で学校案内のパンフレットのための取材を受ける。2時間くらいかかる。帰りの電車でメモ。夜中に入力。メモも入力も大事なところに差しかかっている。作品社の高木さんにメールを送る。半分を超えたという報告。まだ先は長い。

02/20/木
大学。判定会議。15分で終わる。デンして帰る感じ。「デンする」というのは関西の方言だろう。タッチして折り返す、という場合のタッチのことを「デン」という。自宅を出て1時間で大学に着き、短い会議でまた1時間かけて自宅に戻ると、出発してから2時間半ほどで戻ることになる。異様に早く帰ってくるので、妻がいぶかる時に、「デンして帰った」と答える。このところそういう会議が多い。自宅で昼食のあとペンクラブの言論表現委員会。こちらはデンして帰るというわけにはいかない。

02/21/金
本日は休み。週末も休みなので久しぶりの連休。まず銀行に行く。何か手続きが必要ということで妻の指示どおりに用紙に記入して何やら手続きをする。それから北の丸まで歩いて、科学技術館でやっている何かの催しを見る。衣料品のバーゲンのようで、わたしは上着と靴を買った。今日は確実に一万歩歩いた。

02/22/土
本日も休み。嬉しい。入力作業。アリョーシャが教団の団員に対して講話をする。こういう講話をちゃんと書くことが大切。講話を書くということは、わたし自身が怪しい教祖になって話をすることになる。夕方、神田まで散歩。神田はいい街だ。昔、長男が生まれたばかりのころ、石油ショックというものがあった。トイレットペーパーが不足するというデマが流れてスーパーに行列ができたりもした。そのパニック状態の中で、粉ミルクが不足するというデマが流れた。長男が生まれたばかりだったわたしは、念のために粉ミルクを買いに行くことにした。勤めていた事務所の同僚が、神田に医薬品の問屋があり、そこで買うと安いと教えてくれた。勤めていた職場は浅草橋で住んでいたのは吉祥寺。秋葉原で乗り換えて神田に行くと、確かに駅前に医薬品の問屋が並んでいて、2キロ缶が8つ入ったダンボール箱を買った。車をもっていない時期で(免許もなかった)、その箱(16キロ)をかついで電車に乗り、吉祥寺まで帰った。あの店があるかと思って駅前をぐるっと回ったのだが、医薬品の問屋などはなかった。考えてみるといまの薬屋はチェーン店ばかりだから、問屋など必要ないのだ。それからふと、自分が神田で粉ミルクを買ったのは何年前だろうと考えた。その粉ミルクを飲んでいた長男がいまは40歳になっているのだから、40年前ということになる。40年前の店があるはずもなかった。その16キロの箱をかついでいたわたしは25歳だったのだと思った。だからどうだということはないのだが、まるで昨日のことのように、その16キロの箱の重ささえよみがえってくる気がする。

02/23/日
本日も休み。日曜だから当たり前だがこのところ週末がつぶれることが多いので、週末に休めるのは喜ばしい。妻と日本橋まで散歩。のんびりと休日を楽しむ。

02/24/月
本来は休みなのだが、大学で発行する創作集のゲラの整理のために大学に行く。ページも入ってこれですべて責了に出来る。手が離れた。今年も充実した文集ができた。

02/25/火
大学の研修旅行に参加。大学構内にバスが来ている。乗り込んで山梨県へ。文学関係の名所をめぐる旅。まずは太宰治ゆかりのカチカチ山。最初の計画で三島由紀夫記念館に行く予定だったのだが雪で行けないとのことでカチカチ山にした。本日の宿も太宰治ゆかりの湯村温泉の明治という旅館。学生につきあって夜中まで飲む。

02/26/水
県立文学観、横溝正史記念館、恵林寺、太宰治旧邸跡などをめぐる。

02/27/木
県立美術館。そのあとワイナリーでワインを飲む。一年生は飲めないので気の毒。大学に到着。あー、疲れた。

02/28/金
まどみちおさんが亡くなった。偉大な詩人であった。わたしは昔、短い評論を書いたことがあった。それがまどさんの目にとまったようで、御礼の手紙とともに、薩摩揚げが送られてきた。律儀な人だったのだ。「ひわ」は好きだ。『男が泣ける歌』にも最後に「びわ」を載せた。さて、起きると次男が来ていた。明日の朝来るはずだったが、休暇がとれて一日早く来た。鶴岡からの深夜バスが秋葉原に着くので、歩いて来られる。昼過ぎには次男の家族が品川に着いて、次男はお台場に遊びに行った。こちらはひたすら仕事。彼らはお台場のレゴランドに行っていたようだ。われわれは車で迎えに行って、晩飯をいっしょに食べた。2月は短い。「カラマーゾフ」は順調に進んでいる。大学の仕事も何とかこなした。体調もまずまず。いい感じで進んでいる。



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