善鸞03

2022年03月

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03/01/火
さて短い2月が終わって3月になった。1月からノートのタイトルを『善鸞』としたのだが、ようやく一昨日から執筆を開始したという状況だ。この二ヵ月間に資料はかなり読んだ。ただ善鸞がどのような宗教活動をしたのかはまったく見えてこない。鎌倉幕府と妥協してある程度、陽の当たる活動をしていたことが伺える。浄土の教えは京では禁教とされていたが、東国でも弾圧が始まっていた。その弾圧する側の幕府と良好の関係があったとすれば、親鸞の直弟子たちからは異端というか、敵ということになる。まだ具体的には何も考えていないのだが、とりあえず書き始めて、書いているうちに主人公のキャラクターを造形していくことにしたい。書いていれば主人公に親しみがもてるし、そのうち書き手が主人公に憑依していくことになるだろう。長い作品になる。今年一年はかかるだろう。さて、本日は理髪店に行く。あとはパソコンの前に座って『善鸞』を執筆。京にいる間のことは前著『親鸞』をなぞるだけなのでどんどん先に進んでいけるのだが、急ぎ過ぎるとキャラクターを見失うことになるので、慎重に、これでいいのかと考えながら進んでいる。親鸞のそばには下間宗重という武士だった蓮位と、高田派の真仏の弟子の顕智の二人だけで、もしも善鸞が初めて東国に赴くということになれば、顕智が案内役になったのではと思われる。このあたりのことは資料が残っていないので、作者のぼくが勝手にストーリーを作ってもいいのだが、もう少し資料を確認してから先に進めたい。

03/02/水
スーパーボウルが終わってFootballのことをしばらく忘れたいという思いはあるのだが、ブレイディーがどうやら引退してしまうようなので、いまから20年前のスーパーボウルのことを書いておきたい。ニューヨークのツインタワーのワールド・トレード・センターが飛行機の体当たりによって崩壊したシーズンの終わりのスーパーボウルだった。勝ったのがペイトリオッツ(愛国者たち)。よく出来たストーリーでアメリカ中が熱狂した。しかも対戦相手がモンタナのあとを受けて人気絶頂のQBカート・ワーナー率いるワーナーブラザーズと呼ばれたセントルイス・ラムズの軍団で、綺羅星のごとくスタープレーヤーがいた。対するペイトリオッツは全員が無名。そもそもこのシーズン、ペイトリオッツがスーパーボウルに進出するとは誰も予想していなかった。シーズン始めの先発QBはブラッドソー。大遠投が得意のQBで、時に神がかった逆転勝ちをすることがあったが、インターセプトも多く、前半は勝ったり負けたりの成績だった。そのブラッドソーが負傷して代わりに先発となったのが、前年にチームでもドラフトの最下位くらいで入団した無名の若者だった。それがブレイディーだった。しかしこの若者は短いパスは正確で、若いのに状況判断がよく、インターセプトもファンブルもない堅実さだった。このチームは若手が多く、ディフェンスのチームプレーで競り勝って、ぎりぎりでプレーオフに進出した。当時ぼくはスティーラーズのファンで、コーデル・スチュワートという、当時は珍しいモバイルQBを応援していた。カンファの決勝は降り積もった雪の中での死闘だった。ディフェンス合戦でロースコアの闘いの中で、ブレイディーが負傷したため、スティーラーズの楽勝かと思われたのだが、控えに回っていたブラッドソーが登場。大遠投が復活して、ペイトリオッツがスーパーボウルに進出した。復活したブラッドソーを先発に戻すか、軽微な負傷だったブレイディーを先発させるのかが注目されたが、どちらが出てもラムズが相手では大差で負けるだろうという風評だった。ヘッドコーチのベリチックは、将来を考えて若いブレイディーに経験を積ませるために先発に起用した。負けてもともとというくらいの気持だったのだろう。開始直後からカート・ワーナーのパスが決まって攻め込まれた。ところがゴールゾーンでインターセプトがあり、ディフェンスがそのまま敵陣のゴールゾーンに到達して、ピック6となった。次のラムズの攻撃もインターセプトがあって、これはブレイディーが鮮やかなロングパスで得点を決めた。その後は両チームのディフェンスが頑張って、14点差で第4クォーターに突入した。そこからカート・ワーナーのパスが決まり出して、残り1分半で同点に追いついた。ペイトリオッツの頑張りもここまでかと思われたのだが、この残り1分半は、まるで全盛期のブレイディーのような冴えたパス攻撃で前進し、残り数秒で48ヤードのゴールキックが決まってペイトリオッツの初制覇となった。蹴ったのはまだ若者だったピナティエリだった。ピナティエリもこのキックで英雄になった。去年引退するまで、つねにナンバー1のキッカーだった。ぼくはいまでも、シーズン途中でブラッドソーが負傷しなかったら、ということを考える。ブレイディーは先発することによって体験を積み、急速に実力をつけていった。出場機会がなければ大成することもなかったのではないか。運命としか言いようがないが、ブラッドソーの怪我が癒えてもブレイディーを先発から外さなかったベリチックの判断が、ブレイディーを育てたのだろう。この2002年のプレーオフのことを想い出すと、当時ぼくがファンだったスティーラーズのコーデル・スチュワートのことが心に残った。モバイルQBは怪我が多く、大成しなかった。そのうちロスリスバーガーという、デブでまったく走れないQBが入って、スーパーボウルを2度制覇した。ぼくはスティーラーズが好きだったので、ロスリスバーガーもずっと好きだった。そのロスリスバーガーも引退した。寂しい限りだ。

03/03/木
今日から妻が大阪に向かった。昨年、義母が亡くなって、その後の対応がいくつか残っている。わが母が亡くなった時は、すでに資産ゼロの状態で高齢者施設に入っていたが、それでもかなり煩雑な手続きが必要だった。今回は自宅が残っているので、何度かに分けて残されたものを処分する作業を続けてきた。たいへんだとは思うがこちらは何の手助けもできない。さて、こちらは自分の仕事をするしかない。冒頭部分は書けた気がするのだが、何かが足らない。インパクトがないということか。善鸞という人物に最初から興味をもっている人はいないと思う。父の親鸞と再会するシーン。もっと火花が散るような緊張した対面にした方がいいのではないか。父に対する憎悪とか、そういうものが最初からあるという設定は難しい。憎いなら会わなければいいので、愛憎が交錯するという状態なのだろうと思う。ただ読者には状況設定が伝わらないので、ある程度の説明は必要で、しかし説明しすぎるとテンポが遅くなる。何度も読み返して修正していくしかないだろう。ウクライナの戦争は解決の方向性が見えない。歴史に残る一方的な侵略だが、これに対して国連は何の対応もできない。国連というものは大国が団結して、中東やアフリカ、南米などの小国を規制する機能しかもっていない。常任理事国が非道をなした場合の対応についてはシステムが準備されていない。小規模な核戦争も想定しなければならない。プーチンは病気なのか。老害なのか。70歳以上の高齢者に核の押しボタンをもたせるべきではない。ぼくも70歳を過ぎているけれども、昔と比べたら気が短くなったし、未来に希望がもてないと破滅的になる。ぼくの場合は、小説を書くことで、とりあえずこの作品が完成するまでは生きなければならないという、短期的な目標を設定しているだけで、作品が完成するとウツ状態になるかもしれない。まあ、いまはまだ『天海』の校正という作業が残っているし、6月発売なので、それまでは元気で生きていきたいと思っている。プーチンに希望はあるのか。もしかしたら最近日本では流行の兆しを見せている「拡大自殺」みたいなことを考えているのかもしれない。もしもヒトラーが核爆弾を所有していたら、自殺の前に爆発させていただろう。真珠湾を奇襲した軍隊関係者も一種の「拡大自殺」を考えていたのではないか。バイデンは老人だけれども、穏やかな人柄だが、それでも時に切れそうになっているのがわかる。ただいまの大統領がトランプでなくてよかったと心の底から思う。トランプは確実に「拡大自殺」しそうな人物で、プーチンとトランプが対決したら、地球が破滅していたかもしれない。

03/04/金
このところ『少年空海』と『天海』のゲラを読んでいたので、リビングルームのダイニングテーブルで作業をすることが多かったのだが、今月に入って『善鸞』の執筆を開始したのでパソコンの前に座っている。ワードを起動させると「2010」という文字が目に入る。12年も前のソフトを使っている。パソコンも10年以上は使っている。そろそろ新しいものに換えたいとは思っているのだが、文書の移動や初期設定の大変さを考えると、心の準備が必要だ。『善鸞』はこのパソコンとワードで押し切ってしまいたい。大学にいたころは研究室のデスクトップはウィンドウズ10に換えられてしまったが、設定をしてくれた人が老人向けにウィンドウズ7に近いレイアウトに変更してくれたのでストレスなく使えた。自分でやった設定は一太郎を入れただけだ。一太郎ではなくワードを使っているのだが、変換は一太郎のATOKを昔から使っている。それからオマケで付いているカレンダーを予定表に使っていた。定年退職になる前にずっと先までカレンダーをプリントしたら、90歳まで使えそうだ。もう予定などない寝たきり老人になっているだろうが。ぼくは35歳の時に東芝の専用ワープロを使い始めた。若い人にはわからないだろうが、専用ワープロというのはプリンターと一体となった機械で、紙にプリントはできるが、通信機能はなくデータを編集者に送ることはできない。書き下ろしの時はプリントしたものを編集部まで持参していた。そのうち印刷所にフロッピーを渡すということになり、かなり経過してから、編集者もパソコンを使えるようになった。ぼくもパソコンを使うようになったが、打ち込みには慣れた東芝のノート形の専用ワープロを長く使っていた。これはただ打ち込みをするだけで、プリンターはなく、通信もできない。ただパソコンで使えるフロッピーに変換できるようになっていて、フロッピーをパソコンに入れてプリントしたり、通信で送ったりしていた。思えば面倒なことをしていた。早稲田の専任になった時にノートパソコンを支給されたのでそのころからパソコンで打ち込みをするようになったが、その時に一太郎でキーボードを東芝の専用ワープロに近い配置に変更して打ち込むようになった。いまでもその方式を使っているので、漢字変換はスペースキーだが、右側の変換キーを押すとカタカナになり、左側の無変換キーを押すと平仮名になる。キーボードは平仮名で打っている。ただiPadではローマ字変換だし、iPhoneでは10キーで変換している。これ検索の文字を打ち込んだり、ラインに短い文章を書くだけで、小説を書く時は平仮名キーボードでないと打てない。1ストロークで1文字。それが身にしみついている。

03/05/土
パラリンピックが始まった。ロシアの選手は出場できなくなった。仕方がない。この戦争はロシアによる一方的な侵略だということは世界が認めている。これに対してロシアは自国民向けのテレビでは、ロシアに義があるような報道をしているらしい。これは第二次世界大戦中の日本の大本営発表と同じことで、当時の朝日新聞始め報道機関は軍部に同調して国威発揚の記事を掲載した。従って新聞記事というものは信頼できない。ぼくはスカパーと契約しているので、BBCとCNNは見ている。夜中になるとCNNは同時通訳がなくなるのでぼくの語学力ではアナウンサーの声は聴き取れないが、見出しの文字でだいたいのことはわかる。BBCはかなり遅くまで同時通訳がある。NHKもいまのところ正確な情報を提供しているように見える。第二次世界大戦ではナチスドイツはパリを占領した。もちろんアムステルダムではアンネの日記、ザルツブルクではサウンドオブミュージックが生まれた。ウクライナからも優れた文学作品が生まれることだろう。ぼくはドストエフスキーの四部作を書き替える作業をしたので、ロシアは第2の祖国だと思っている。ドストエフスキーだけでなく、バクーニンやクロポトゥキンの祖国だ。アルツィバーシェフやシェストフを生んだ国だ。だがキエフのことはあまり考えていなかった。認識が不足していた。皇帝暗殺の犯人の一人がポーランド人だということは小説にも書いた。皇帝を暗殺しても、皇帝の後継者がいる。その後継者を皆殺しにして革命に成功しても、レーニンやスターリンという皇帝が現れ、最終的にプーチンという皇帝が君臨している。共産主義国は軒並みに皇帝のごとき独裁者が支配している。プロレタリア革命という理念そのものが間違っていたのだろう。今月の『文學界』がアナーキズム特集をしているのが注目される。バクーニンはシベリアを脱走して横浜からアメリカ経由でロンドンに到達し、マルクスとともにインターナショナルを作った。ぼくの『新釈悪霊』では主人公のニコライ・スタブローキンがスイスのジュネーブでバクーニンと会食する場面が描かれている。そこには女性革命家のヴェーラ・フィグネルも同席している。いい場面を書いたなと自分でも思う。アナルコ・サンディカリズム。組合主義とでもいうものだ。プロレタリアート独裁ではなく、労働組合や生活協同組合の緩やかな連合体が国の方針を話し合いで決めていく。埴谷雄高も共産党の地下組織に入ったこともあったが思想的にはアナキストだった。『美しきものの伝説』という芝居で細川俊之が演じた辻潤がカッコよかった。大杉栄に妻の伊藤野絵をとられた人物で舞台上では一種のニヒリストとして描かれていた。ぼくの『続カラマーゾフ』にはクロポトゥキンが少しだけ登場する。無政府主義というのは現実的には難しいだろうが、生活協同組合というものがいまも活動しているし、生活者ネットワークという政治組織もあって都議会議員を出している。まあそういうところからでも何か始めた方がいいような気もするが、こちらは老人だからただ見守るだけだ。

03/06/日
妻が帰ってきた。前日は四日市の次男のところに泊まったようだ。次男は元気だったとのこと。

03/07/月
しばらく車を動かしていないので深川ギャザリアまで。『善鸞』はどんどん描けているのだが、ファーストシーンが長すぎる。30歳で父と再会するのだが、東国に出発するのは20年後くらいなので、まだ京都で長く物語が続いている。年月の移り変わりを立体的に描く必要があるのでファーストシーンはもっと短くしないといけない。

03/08/火
文藝家協会の評議員会、常務理事会、理事会、百周年記念事業記念誌委員会。午後1時半から7時まで、4つの会議。疲れたなあ。自宅を出る前に、『天海』の本ゲラが届いた。返しの締切が1ヵ月後ということで、それくらいかかりそうな作業ということで、これで疲れが倍加した。しかしまあ、作品が完成するまでのつらく長い作業に取り組めるというのは嬉しい作業だ。幸い、池田健さんとの対談の本と、『少年空海』とが、完全に手が離れているので、この一ヶ月をすべて『天海』に集中できる。頑張るしかない。

03/09/水
本日から『天海』の本ゲラに取り組む。まずはこれまでに見てきた白ゲラの赤字を本ゲラに書き写す。赤字を入れたページには付箋を貼っているので作業は簡単に終わった。あと章のタイトルに1つ疑問がついていたので散歩しながら考えた。章のタイトルは11文字に統一してあるので、いくつか案を考え、11文字になるかを検討。それらしいものが設定できた。さて、校正者のチェックはかなりたくさんあるので、1つ1つ対応していく。この作業は1週間はかかるだろう。編集者からの注文は主人公のキャラクターの強化というもので、これはかなり難しい。出だしは飄々としていて、名を随風から天海に改めたあたりから強気に出てくるのだが、出だしからもう少し濃いキャラクターにした方がいいかもしれない。さて、オフシーズンの間はFootballのことはなるべく考えないようにしていたのだが、各チームのQBの動向が気にかかる。QBというポジションは野球でいえばエース投手と頭脳派のキャッチャーと4番バッターを一人で兼ねたようなキャラクターなので、QBが変わればチームそのものが変貌する。まずパッカーズのロジャーズの残留が決まった。QBがいない状態になっているのはロスリスバーガーが引退したスティーラーズ、ワトソンとの交渉がこじれて昨年は出場しなかったテキサンズ、ブリッジウォーターでは勝てなかったブロンコス、フィッツパトリックが全休だったワシントン・コマンダーズ、ブリーズ引退のあとウィンストンが怪我をしたセインツ、ブレイディーが引退したバッカニアーズ、ジェッツから移籍したダーノルドが使い物にならなかったパンサーズと、7チームある。一方、ワトソンがトレードでどこへ行くのか、右肩を負傷してガロポロが移籍するのか、ブリッジウォーター、マリオタ、ウィンストンなどがどこかで先発できるか、不作といわれる大学から新人QBがドラフトで指名されるのか、というところが注目すべきポイントだったが、突然の大地の変動! シーホークスのラッセル・ウィルソンがブロンコスに移籍となった。ブリッジウォーターの控えだったロックと交換にオマケであと2人、さらに今年と来年のドラフト1巡指名権などを付けるという。とにかくラッセル・ウィルソンという働き盛りでスーパーボウル覇者のQBがブロンコスに入ることが決まった。これでAカンファの西地区は大激戦区となった。マホームズのチーフスもうかうかしてはいられない。ブリッジウォーターでもそこそこ勝っていたチームにラッセル・ウィルソンが入る。プレーオフ出場は間違いないし、地区優勝争いにも割って入るだろう。去年はスタッフォードとゴフの交換があり、前者はスーパーボウル制覇、後者はビリから2番目だった。交換でロックを受け取ったシーホークスだが、ドラフト上位のジャガーズやジェッツの去年採った新人QBがいるので、目をつけている新人が残っている可能性がある。ぼくはマリオタなんかがおもしろいと思っている。セインツはブリッジウォーターかな。ブリーズが怪我をした時に控えから先発に回って5連勝した実績がある。ウィンストンよりは確実性がある。ブレイディーがいなくなったバッカニアーズはどうするのだろう。右肩の手術に成功したらしいガロポロはどこに行くのか。そういうことを考え始めると心が乱れる。パーキンソン病だと伝えられるプーチンの動向も気になるのだが。

03/10/木
『天海』の本ゲラ。ざっと全体を見回してみて、校正者や編集者のチェックは細かいものだけだと確認。これはあとで直すとして、主人公のキャラの強化という課題に先に取り組むこととした。主人公は出ずっぱりなので、全篇をじっくり読んで手を加えていく。これには少なくとも半月はかかるだろう。春休みは仕事場に移動するので、気分を変えて作品を仕上げたい。本日はSARTRASの分配委員会。分配のシステムについてはすでに決まっているのだが、何やらいろいろと議論しなければならないことがあるようだ。またまたFootballの話題だが、昨日のラッセル・ウィルソンの移籍に続き、本日はコルツのウェンツのコマンダーズへの移籍が決まった。コルツはこの4年間、毎年先発QBが交替している。一昨年はリバースがぎりぎりでプレーオフに出場したものの引退。4年前はまだ若いラックが引退して翌年はブリセット。昨年はウェンツが移籍して前半は好調だったのだが、最終戦でビリのジャガーズに大敗して印象を悪くした。それにしても、次の選手を決めずに放出となったので、QBがいない状態になっている。ガルポロは利き腕を手術したばかりで回復するかどうかはわからない。ウィンストン、マリオタ、ウォーターブリッジ、トラビルスキーなど、多少の実績のあるQBと密かに交渉を進めているのか。今年のドラフトはQB不作と言われているが、それでも3人くらいはいるだろうから、新人で行くつもりか。

03/11/金
SARTRAS共通目的委員会。朝10時からなのでいつもより早起き。本日は大震災から11年目とのこと。当日ぼくは文藝家協会でどこかの役所の人と交渉する必要があって協会に向かっていた。三宿に住んでいたころで、半蔵門線の永田町の駅から地下道で南北線の方に回り、長いエスカレーターで地上に向かっている途中で異変を感じた。最初はエスカレーターが異音を立てたので故障だと思い、危険を感じたので駆け上がって外に出ると、世の中全体が揺れていた。高速道路の街路灯が振り子みたいに揺れていた。揺れが収まってから協会に向かい、相手も約束の時間に到着していたので話を始めた。大きな余震が何回もあったのだが、そのまま話を続けていた。一月に新年会があって、その時、協会の職員が、三田さんは余震の中でも平気で話を続けていた、と話していたので、職員の記憶にも残るくらいの、地震に鈍感な人物と思われたようだ。協会があるのは文春のビルだが、かなり古い本館と違って、協会が入っている新館は新しいビルなので、大丈夫だろうと思っていた。その時点ではまだテレビを見ていなかったので、あんな大きな地震だとは知らなかった。ぼくが小学生の時にチリ地震というものがあって大きな津波が来た。その記憶はあるのだが、今回は誰もがケータイやiPhoneのカメラをもっている時代なので、生々しい映像が残されている。大学生のころに田老という町に行ったことがある。チリ地震で大きな被害のあったところで、巨大な堤防が万里の長城のように延びていた。それを見て、ここではもう津波の被害はないだろうと思ったのだが、その堤防は完全に破壊されてしまったらしい。自然の脅威というものを改めて感じた。当日は交通機関がストップしたので、三宿まで歩いて帰った。翌日、妻は新幹線で大阪に向かった。老いた義父母を旅行に連れていく約束をしていたからで、関西方面は何ごともなかったように平常の生活をしていたらしい。こちらは妻がいないとコンビニで食料を調達するしかなかったのだが、弁当もパンも何もない状態が数日続いた。飢え死にしそうになった。スペインの長男からメールが来て、ヨーロッパでは日本の全土が壊滅したような騒ぎになっていると伝えてきた。原発の爆発があったからだろう。長男に教えられてフランクフルトの気象台のホームページを見るようになった。福島原発の放射性物質がどの方向に流れるかが時間を追って予測されていた。日本ではこういう情報を知らなかったのか、汚染物質が流れている方向に人々が避難していた。ヨーロッパでは日本は今後数年間は放射能の被害にさらされると報道されていたらしい。次男のところに就学前の孫が2人いたので、スペインに避難させた。ぼくの妻と次男の嫁さんも付いていったのだが、ぼくの妻はすぐに帰ってきた。そんなことをいろいろ思いだした。

03/12/土
歴時協会と打ち合わせ。本日は花粉が多そうなので外出せず。『星の王子さま』の39版が届く。これと『いちご同盟』は毎年増刷する。ありがたいことだ。

03/13/日
今週は多忙だった。ほぼ毎日会議があった。来週もスケジュールがつまっている。『天海』は第1章が終わった。何とか少しずつでも前進していきたい。

03/14/月
朝10時半からの会議。著作権情報センター理事会。これは報告を受けるだけの形式的なもので、1時間ほどで終わった。ウクライナの戦争は長引いている。当初は一気にロシアが攻めてキエフを制圧して属国として終わりと見られていたようだが、ウクライナ側の抵抗がもちこたえている。戦争が長引けばそれだけ犠牲者も増えるが、属国になるわけにはいかないのだろう。ロシアの無謀、非道は世界の知るところだから、軍事物資の支援がこれからも続くだろう。一人で扱える手持ちの対戦車ミサイルが効果を挙げているようだ。これは無償で提供されているようだが、アメリカなどが税金で製造したもので、軍事産業は利得を得ることになる。アメリカの天然ガス製造者もこの戦争を喜んでいるだろう。一方、ロシアから撤退した企業は大損害をこうむっている。物価の上昇で世界の民衆も困惑することになる。プーチンはいずれヒトラーのように断罪されることになるだろう。しかし対イラク戦争、その前のリビア制圧などと違って、米軍やNATO軍がロシアに侵入することはできない。ロシア内で政変が起こってプーチンを裁く以外に解決の方途はないのではないか。ロシアの軍艦が日本の周囲を航行しているようで、これはロシアの軍隊が疲弊した隙に日本が北方領土を侵略するのではないかと恐れているのではないかと思われる。日本は平和憲法で他国を侵略することはできないが、北方領土はどうか。すでにロシア人しか住んでいない地域だから、外国という認識をもっているということか。いま北方領土を攻めればロシアのミサイルが飛んでくるおそれがあるので、そんなことはしないと思うが、戦争ごっこをしたがる自民党議員が何人かいるようなので、警戒しないといけない。ところでまたFootballの話題になるのだが、ブレイディー引退撤回の噂が流れた。このところラッセル・ウィルソンとウェンツの移籍の報道があって、QBのトレードがどんどん進んでいく印象があったのだが、バッカニアーズにまったく動きがないので、まだブレイディーに未練をもっているのではないかと思っていたのだが、どうやら説得に成功したようだ。これでグロンコウスキーやフォーネットなど、ブレイディーとともに闘いたいというモチベーションをもった選手が残留する見通しが出てきた。バッカニアーズは戦力をほとんど落とさずに来シーズンに向かいそうだ。

03/15/火
ブレイディーの引退撤回に続き、本日はブリッジウォーターのドルフィンズ移籍の報。新人の時代にバイキングスの先発QBとして大活躍したブリッジウォーターの勇姿が忘れられない。大怪我をして再起不能と言われながら、セインツでブリーズの控えとして、ブリーズが怪我で出られない間、5戦に先発して5勝を挙げた。昨シーズンはブロンコスの先発QBとなり開幕3連勝だったが、途中で怪我をして失速した。ロングパスを投げるわけではなく、持って走るわけでもない、堅実なプレーヤーなので、控えとしては充分な安定感がある。ブロンコスにはシーホークスのラッセル・ウィルソンが入った。ブリッジウォーターが入ったドルフィンズには2年前の新人タゴバイロアがいるのだが、怪我をしやすいタイプなので出場のチャンスもあるのではと思っている。ロスリスバーガーが引退したスティーラーズには、ビルズでジョシュ・アレンの控えだったトラビルスキーが入った。元1巡指名QBで、ベアーズでは先発していたが、ロングパスが不正確で放出されてビルズで控えに甘んじていたのだが、活躍が期待される。あとはテキサンズのワトソンがどこへ行くか。マリオタとウィンストン、ガロポロの動向も気になるし、ウェンツを採ったコマンダーズ(昔のレッドスキンズ)は当然、昨シーズン全休のフィッツパトリックを放出するだろうから、これもどこに行くか。いま先発QBが決まっていないのは、ウェンツを放出したコルツ、ワトソンとの契約がこじれているテキサンズ、ブリーズが引退した昨シーズン、ウィンストンが怪我をしてQBがいなくなったセインツ、それにラッセル・ウィルソンを放出したシーホークスということになる。ワトソンがどこかに入り、ウィンストンが残留するとなると、あと2チームなので、ガロポロとマリオタで埋まりそうな気もする。さて本日は近くの医院で検診。血を採られた。夕方は日本点字図書館理事会。議長なので内職はできない。明日も雑用2件がある。

03/16/水
『少年空海』の見本届く。感じのよい装丁。タイトルがものものしい。正式タイトルは『少年空海アインシュタイン時空を超える』。自分の作品で一番長いタイトルは『やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる』と思っていたが、いま比べてみたら最長記録更新だった。本日は朝9時からの会議。ABJの監査委員会。状況の報告を受けるだけで1時間弱で終わったが、朝9時の会議は体にこたえる。ふだん10時起床のぼくが8時に起きた。我孫子の講演の時はもっと早起きだが。Footballの時期になれば月曜は4時くらいに起きるので、早起きは苦手ではない。10時には会議が終わっていたが、本日はもう1つ仕事がある。旺文社の文芸コンクールの挨拶録画。毎年、ホテルオークラで授賞式があって、その時は賞状を渡すだけなのだが、疫病流行のため宴会ができず、去年から選評スピーチを録画して贈ることになった。これは旺文社まで出かける必要がある。2回目なので慣れている。2分半のスピーチを3回ぶん。10分ほどで終わった。旺文社は神楽坂で新潮社より少し遠い。最寄りの駅は大江戸線なので、帰りは御徒町下車。徒歩15分くらいか。明日は午後の会議が1つだけ。日曜にリモートの講演があるが、これは雑談みたいなものなので、とくに準備することはない。来週も月曜日に会議が1つ。火曜には浜松の仕事場に行く予定。

03/17/木
SARTRAS理事会。年度末なのでいろいろと議題が多く時間がかかった。岩崎学術出版社の社長と担当者来訪。『こころって何?』の見本受け取る。この会社の入っているビルはぼくの自宅から見下ろすことができる。距離にして徒歩1分だが、会うのは初めて。本日の仕事はこれで終わり。今週は多忙だった。『天海』は主人公のキャラを少しふくらましたいと思いながら最初から読み返しているのだが、出だしのキャラが唐突で違和感があるのかもしれない。テンポよく語りたいという思いがあって少し展開を急ぎすぎているのかもしれない。ということで、文章を少しずつ挿入しながら徐々に主人公の風貌が見えてくるようにしたいと思っている。家康が長男を殺す場面も急ぎすぎているのでこのあたりはじっくりと描きたい。さて、昨夜は地震があった。震度4というのはこの集合住宅に転居して最大の揺れではないか。実に長い時間揺れていた。ニュースが延びていつもより30分遅れで始まったNHKの歴史番組を見ていたら地震警報が画面に表示され、やや遅れて集合住宅のあちこちがギシギシと軋み始めた。軽い揺れを感じ、けっこう長く揺れているなと思ったら、もう一度、警報の表示があり、今度はもっと大きい、という告知の直後に、ぼくのいる部屋も揺れ始めた。ぼくが住んでいるのは40階の高層ビルで、ぼくが住んでいるのは中層階なのだが、ビルの中ほどにバネが入っていて、建物全体がそのバネを中心に「く」の字に折れ曲がって振動を吸収する仕組みなっている。ということで、中層階の方が揺れが激しいということは、すんでから知らされた。揺れが激しいだけでなく、一度揺れ始めると震動がなかなか収まらないので、船酔い状態になってしまう。ここ数字、暑い日が続いて、軽いめまいを覚えるような状態だったので、足元がふらつくような感じだったのだが、揺れが収まってもまだ足元がふらついているような感じが長く残っていた。建物のバネが壊れたのではと思ったほどだ。

13/18/金
今週は多忙だったが本日は何もない。急に寒くなった。エアコンを入れる。数日前までクーラーをかけようかと思うほど暑かったのだが。

13/19/土
テキサンズのQBワトソンは、フロントとの契約がこじれてトレードの要求を出したまま、昨シーズンを全休した。去就が注目されていたが、どうやらクリーブランド・ブラウンズに移籍するようだ。ブラウンズには5年前のドラフト全体1位のメイフィールドがいる。全敗のチームをプレーオフ出場まで引き上げた功労者だが、昨シーズンは不振で、さらにレシーバーのベッカムとの関係が悪化し、ベッカムはトレードでラムズに移ってスーパーボウル覇者となった。まあ、ラムズにはクーパー・カップというナンバー1レシーバーがいて、ベッカムはナンバー2のターゲットになることで活躍できるようになった。ということでメイフィールドのせいではないのだが、ブラウンズのフロントはメイフィールドに限界を感じたのだろう。ということで、今度はメイフィールドがどこかにトレードされることになる。といってもQBの激しい移動はほぼ終了していて、メインQBが不在のチームは限られている。ウェンツを放出したコルツ、ラッセル・ウィルソンを放出したシーホークスくらいだろう。ジョーンズが不振のジャイアンツ、ウィンストンに限界を感じているセインツ、ダーノルドが不振のパンサーズあたりが手を挙げるか。パンサーズのダーノルドは、メイフィールドが1位だった時のドラフト2位の選手だ。確かその前の年はウィンストンが1位でマリオタが2位で、この2人はともに低迷している。それに比べればベンガルズのバロー、ドルフィンズのタゴバイロア、チャージャーズのハーバートのいた2年前は当たり年だった。さて、今年のドラフトはどうか。2人くらいはよさそうなQBがいるという情報が入ってきた。そのドラフトも来月末で、楽しみだ。

13/20/日
歴時作家協会の催しで、ZOOMでの講演会の講師を務めることになった。「女帝が築いた日本国」というテーマで、神話の話なのどをした。歴史時代小説のプロの作家や編集者の集まりなのだが、売れ筋の作品は戦国、幕末、江戸時代の風俗といったところで、神話や古代というのは、皆さんあまりご存じないようなので、この時代のおもしろさを語って、少しでもこの時代を書く人が出てこないかと期待している。『少年空海』を読んだという人の反応が届き始めた。評判はよいようで、こういうテーマでファンタジーを書く人はいないだろうから、まあ、狙いがよかったということだろう。

13/21/月
ウクライナ状勢はまったく進展しない。地震で脱線した新幹線も移動させるのに時間がかかるようだ。これに対して毎日Footballに関してはさまざまな情報が寄せられる。スーパーボウルにはラムズとベンガルズが進出したが、ラムズの守備で活躍したボン・ミラーはビルズに移籍した。バッファロー・ビルズは来期もプレーオフ進出は間違いないし、打倒チーフスのために着々と陣容を整えている。そのチーフスはスティーラーズからレシーバーのスミスシュスターを補強した。これでヒル、ハードマンと合わせて3本柱が揃った。これにタイトエンドのケルシーが加わるので攻撃陣は完璧だ。ただ残念なのはぼくが期待していたバイロン・ブリングルがはみだしてしまったことだ。ベアーズへの移籍。足が速くキャッチも堅実な生え抜きの選手だったので惜しい気がする。チーフスはランニングバックも強化したい。ラムズは負傷したベッカムに期待しているようで、昨シーズンは全休だったレシーバーのウッズを放出した。それ以外はスーパーボウル制覇の陣容がほぼ残るようだが、ブレイディーが復活したバッカニアーズとはいい勝負になる。数年間、Footballから干されていたキャパニックがシーホークスと交渉しているようだ。ラッセル・ウィルソンを放出にキャパニックが入ればほぼ同等の実力を発揮するのではないか。この段階で来シーズンのプレーオフを占うと、Aカンファ東はビルズが強い。北はベンガルズ。ブラウンズはワトソンが入ってもチームがまとまらないだろう。南はドラ1QBのトレバー・ローレンスの2年目に期待したい。大量の補強があってチーム力は倍増している。西地区はチーフスが強いのは間違いないが混戦になる。チャージャーズもしっかり補強しているし、ブロンコスはラッセル・ウィルソンが入った。レイダーズは現状維持だが、この地区は4チームともプレーオフ進出になるのではないか。Nカンファ東はウェンツが入ったコマンダーズとカウボーイズの争い。北はパッカーズ、南はバッカニアーズ、西はラムズ。Nカンファはおもしろくない。話題の選手がAカンファに結集したような気がする。

03/22/火
今日は仕事場に移動する予定だったが雪が降ったので順延。明日も道路の状況を確認してから出かけることにする。車のチェーンをもっていない。次男が大学生だったころはスキーに行くというのでルーフキャリヤをつけ、チェーンも用意したが、いまの車になった時は息子たちもいなくなっていたので、雪の日には動かさないことにしている。東名の足柄のあたりにチェーン規制がかかることがあるので、天気予報には注意している。仕事場は築40年の木造家屋なのでとても寒い。気温も確認してから出発したい。またもやFootballのニューズが入った。ファルコンズのベテランQBライアンがコルツに移籍。コルツは昨年採ったばかりのウェンツを放出したので、49ナーズがガロポロを採るのかと予想していたのだが、ライアンが狙いだったようだ。ライアンが売れたファルコンズはレイダーズの控えのマリオタを指名。ぼくはタイタンズにいたころからのマリオタのファンだったので、この移籍は喜ばしい限りだ。このところのファルコンズの不振はオフェンスラインの弱さがあるからだが、高給取りのライアンの放出で、ラインの補強ができるし、マリオタは走れるQBなので、戦力はアップすると思う。コルツも強力ランニングバックのテイラーがいるので、パスを投げるライアンとセットになれば得点力は上がるはず。セインツもウィンストンと再契約した。ワトソンの行き先がブラウンズと決まってから、パズルのピースが次々に埋まっていった。穴が開いているのはワトソンを放出したテキサンズと、ラッセル・ウィルソンを放出したシーホークスだけになった。まだワトソンの加入で出番のなくなったメイフィールドと、来シーズンは新人ランスを使うと決めている49ナーズのガロポロが残っている。これでぴったりピースが埋まるとドラフト新人の入る余地がなくなる。シーホークスに練習生でもいいからキャパニックに入ってほしい。黒人差別に対する政治的メッセージで数年前に干されてから、どのチームも二の足を踏んでいるが、遠投力のある走れるQBだ。ラッセル・ウィルソンと同等の働きはできるはず。そうなるとメイフィールドはますます居場所がなくなってしまう。ジョーンズが不振のジャイアンツはどうか。トルビルスキーを採ったスティーラーズあたりはどうか。バッカニアーズでブレイディーの控えで勉強するというのもいいかもしれない。ウィンストンはセインツでブリーズの控えとして勉強して、昨シーズンの前半は活躍できた。トルビルスキーはビルズのアレンの控えで勉強したと本人は語っている。ブレイディーは頑張ってもあと1年だから、控えとして勉強してみるのもいいかもしれない。

03/23/水
仕事場への移動は昨日を予定していたが降雪のため中止。本日も寒そうなので明日にした。『天海』の校正の作業は、校正者の手の入った本ゲラが届く前に白ゲラを貰っていたので自分で校正して赤字を入れていた。まずはこの白ゲラの赤字を本ゲラに転記。それから校正者のチェックをざっと眺めてみたが、大きな直しはないので、この修正は後回しにして、担当編集者からのサジェスチョンで主人公と家康のキャラクターをもう少し強化せよという要望に先に応えることにした。キャラの変更はけっこう大変だが、読み返してみると出だしのところがストーリーを急ぎすぎていて、キャラの設定が甘かった。ただ主人公には謎めいた印象が必要であまり説明しすぎてもつまらなくなる。ただまったく説明しないと読者がついていけなくなるということはあるので、少しずつ書き足すことにした。校正作業と同程度の挿入では収まらない「別紙挿入」の箇所が全部で9箇所あった。昨日までは7箇所だが本日2箇所追加。これで別紙挿入は完了。別紙はワープロで打ったものをプリントして添付。仕事場にはプリンターがないので、自宅にいる間にこの作業が終わってよかった。締切までにはまだ時間があるので、仕事場から戻ってから新たな挿入はプリントするつもりだったが、これですべての挿入をプリントで確認することができる。雪のおかげで段取りがよくなった。

03/24/木
仕事場に移動。厚木の手前まで混んでいたので海老名で休憩。沼津で昼食。浜松でパンを買う。浜松は温暖な感じで快適。まずはiPadを開けてWi-Fiが使えるかを確認。Footballのサイトにつなぐとビッグニュースが飛び込んできた。チーフスのスーパーレシーバーのタイリーク・ヒルがドルフィンズに移籍。涙、涙の衝撃ニュースだ。QBのマホームズ、タイトエンドのケルシー、レシーバーのヒルの3本柱の1つが欠けてしまう。4年連続のカンファ決勝という偉業があれば全体のサラリーが上昇するのは仕方がない。レシーバーはスティーラーズからスミスシュスターを入れたのだが、3番手のプリングルを放出してしまったので1枚足りない感じがする。ただ見返りでドラフト1巡の指名権が貰えたので、ランニングバックとレシーバーの新人をとればいいだろう。ドラフト一巡はQBとディフェンスの強化が中心となるので、いい選手が残っているはずだ。

03/25/金
浜松でののどかな日々が始まった。浜名湖の見える庭の側のテラスで、ウグイスの声を聞きながらのんびりと午前中を過ごし、鷲津までドライブして昼食。100円ショップなどに寄って帰ってくる。^鼻湖の湖岸の桜が二分咲き程度。さて、校正作業に取り組む。大量の修正を加えた白ゲラと、校正者のチェックの入った本ゲラを1ページずつ付き合わせていく。まず修正を書き込んだ上で、校正者のチェックに応える。校正者のチェックは正確で、ほぼこれに従って修正する。見落としがあってはいけないので神経を使う。数ページやっただけで疲れてしまった。出だしのところでかなり修正を加えたのでこれを転記するのがたいへんだ。中盤になると、どかっと大量に挿入する箇所が多くなるのだが、これはすでにプリントにしてある「別紙」を用いるので、別紙が入る箇所を示すだけでよくなる。この種の作業に慣れるということもあるはずだから、明日からは順調に進んでいくはず。本日は初日なのでとても疲れた。この作業は仕事場にいる間に完成させたい。この仕事場には大きなテーブルがあるので白ゲラと本ゲラを付き合わせる作業がやりやすい。こういう作業は、この作品を限りにしたいと思っている。

03/26/土
朝から雨。風強し。テレビのニュースでは北陸の方でトラックが横転したり屋根が飛んだりしているが、浜松はそれほどではない。とにかく外に出ることができないので、ひたすら仕事。作業には慣れてきた。別紙を挿入するところはプリントを入れるだけなので気持がいい。

03/27/日
午前中に作業。1日2章というペースで進む。午後は庭の草取り。疲れた。実際に作業をしたのは1時間半ほどで、草を取った面積も限られているのだが、老夫婦の作業はこれが限界。大相撲の優勝決定戦。若隆景を応援してしまう。毛利の三本柱。小早川隆景に因んだ四股名。プロ野球も始まったが興味はわかない。どうでもいい。Footballのトレードの話の方が面白い。チーフスが心配。タイリーク・ヒルがいなくなると、QBマホームズは翼をもがれることになる。スミスシェスターとスカンティングというB級のレシーバーが加入。ハードマンは残っているが、プリングルとロビンソンがいなくなった。明らかに戦力ダウン。同じAカンファの西地区には、ブロンコスにラッセル・ウィルソンが入った。ハーバートのいるチャージャーズも戦力を強化している。地区優勝も微妙になってきた。Aカンファではヒルが移ったドルフィンズが他にもトレードで明らかに戦力アップしている。3年目のタゴヴァイロアは不安定だが、控えQBにブリッジウォーターが入った。ビルズも戦力アップしている。ベンガルズも攻撃ラインを強化した。ブラウンズにはQBワトソンが入った。さらに、2年目QBトレバー・ローレンスのいるジャガーズも大幅戦力アップしている。トレードというのは、人が異動しているだけだから、全体に戦力アップするわけではないのだが、サラリーキャップがあるので、ギャラの高い選手の多いチームは誰かを放出しなければならず、ギャラの少ない若い選手が多いチームは思いきって補強ができる。要するにドラフト3年目までのQBが活躍しているチームは、QBのギャラが安いので、高給取りのレシーバーを補強できる。ベンガルズ、ドルフィンズ、ジャガーズ、チャージャーズなどが該当する。ペイトリオッツも新人QBが活躍しているのだが、ここは高級取りを入れずに、数年後にピークをもってくることを狙っているようだ。さて、この時点になってもQBが定まっていないチームはどうするのか。スティーラーズはビルズの控えだったトルビルスキーで行くようだ。ワトソンを放出したテキサンズはまだ空白のまま。たぶん49ナーズのガロポロの手術後の回復状況を見ているのだろう。ジャイアンツは不振のジョーンズのままで行くのか。セインツはウィンストンのままで行くようだ。パンサーズもダーノルドで行くしかない。ファルコンズはライアンを放出してレイダーズで控えだったマリオタを採った。ぼくはこの選手を応援している。ただライアンの不振は周囲の選手層がレベルダウンしているせいだが、マリオタは自分で走れる選手なので状況は変わるだろう。シーホークスはラッセル・ウィルソンを出して換わりに貰ったロックで行くのか。ということで、ちょっと厳しい状態なのがテキサンズとシーホークスだろう。残っているQBはガロポロとメイフィールド。穴2つにピース2つ。だがまだドラフトが残っている。ただ今年は即戦力が期待されるほどの新人がいないようで、たとえば来年のことはわからない超ベテランのブレイディーとロジャースの控えに新人を入れるとか伸び悩んでいるジョーンズやゴフと競わせるために新人を入れる程度だろう。

03/28/月
浜松も桜が満開になっている。仕事場は丘の上にあるので、居ながらにして桜を眺めることができるのだが、気賀の都田川沿いの桜が有名なので行ってみることにした。ところがふだんはスイスイ流れる道路が渋滞していたので、花見は止めにして西気賀の駅にあるレストランで昼食。この店は、40年前に仕事場を建てた時に、別荘地の管理棟にあるレストランでシェフをしていた人が独立して開業した店で、同じメニューが引き継がれている。40年間、慣れ親しんだ味で、浜松に来る度に一度はこの店に来ている。シェフはぼくより年上で、いずれはリタイアすることになるだろう。まあ、こちらも仕事場に来るだけの体力がなくなるかもしれないが。

03/29/火
ウクライナの戦争が始まって一ヶ月経過した。第二次世界大戦や中東戦争と違うのは、誰もがスマホをもっていて画像をアップできる時代になっていることだ。ロシアがいくら大本営発表みたいなことをやっても、画像が正確に惨状を伝えている。とはいえロシアと中国の国民はNETが遮断されているようで、世界の人の認識と大きくズレた認識をもっているようだ。そうなると第二次世界大戦中の日本国民と同じ状態で、東京大空襲があっても、原爆を落とされても、自国の状態を正確に把握することができなかった日本国民と同じようなことになっているのだろう。情報を遮断された人々が、民族主義、全体主義に陥って、戦争が拡大される惧れがある。人類はヒトラーの時代からいささかも進歩していないのだろう。さて、自分の仕事は順調に進んでいる。本人はそう思っているのだが、加筆修正によって作品がよくなっているのかどうかは、自分では判断できない。ただ努力はしているので、わずかでも成果があればそれでよしとしなければならないだろう。本日も校正の作業を続ける。半分は過ぎた。仕事場にいる間に作業を完了し、東京に戻ってから読み返したいと思うが、雑用もあるのでややシビアな状況だ。

03/30/水
昨日、夜中に寝酒を飲みながら、お江の方のイメージが弱いと気づいた。前から気になってはいたのだが、主要なストーリーには無関係などで、少し書き飛ばした感じがしたのだが、主人公が家光を囲い込んでいく過程で、産みの母親のお江の方との衝突はあったはずで、そのあたりを無視するのはまずいと思い直した。で、本日は妻と志都呂イオン(浜松最大のショッピングモール)に行く約束をしていたので、妻が買い物をしている間、外気の気持より風が吹いているテラスでノートにメモをとった。ゲラを持って行くわけにはいかなかったので、どこに挿入するか未定のまま、必要な主人公とお江の方のやりとりを書いた。自宅に帰ってゲラを検証。挿入すべき場所がすぐに見つかった。白ゲラに直接書き込んでいく。もう一箇所、天海と秀忠の会話を別の箇所に挿入。これで流れがよくなった。まだ白ゲラに書き込んでみただけで、明日、本ゲラに転記すればこの作業は完了する。

03/31/7木
『週刊現代』の取材を受ける。『少年空海』について2ページで紹介してくれるらしい。ありがたいこと。担当編集者とライターの方から質問を受けたのだが、お二人とも本をしっかり読んでくれて、おもしろいし、わかりやすいと言ったいただけた。よかった。紹介記事が出ると本屋さんがいい場所に置いてくれりることがある。版元さんにも喜んでいただけると思う。さて、3月も本日で終わり。『少年空海』が本になり評判もいいようなので安心している。ZOOMで取材を受けるのは初めてだが、3人だけで話をすると相手の顔が見えるし、手を挙げて発言を求める必要もないので、実際に会って話しているような感じで語ることができた。『天海』はまだ校正が終わっていないが、追加挿入する部分の原稿はできているので、あと少しでゴールに到達できる。6月発売は決まっている。大長篇なのでどれほどの読者が読んでくれるかわからないが、自分としては初めての戦国末期のものなので、新たな読者との出会いを期待したい。天海という人物の名は広く知られているが、天海を描いた作品はほとんどない。しかしこの時期の有名人が揃って顔見世をする作品になっているので、自分としては手応えを感じている作品だ。


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