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 「夜明けのうた」と言えば、戦後派の人はいずみたくが作曲し、岸 洋子が歌った歌を思い浮かべるであろうが、戦前における「夜明けのうた」は、「国民歌謡」の代表的名曲と言われるここに掲げるこの唄であった。
 歌詞は7番まであるが、メロディーはここでは4番までしか演奏していない。したがって、全部歌う場合は、6番までは1ないし3番までと同じように歌い、演奏の中では4番に相当する所を7番として歌われたい。

夜明けの唄

作詞 大木敦夫
作曲 内田 元
唄  藤山一郎
1.霧は晴れるよ 夜が明ける
  風は囁く マドロスに
	起きよ船出だ 帆を揚げよ
	海に真っ赤な 日が昇る

2.星も消えるよ 夜が明ける
  風は囁く 鳥の巣に
	起きよ歌えよ 飛びたてよ
	森に真っ赤な 日が昇る

3.稲はそよぐよ 夜が明ける
  風は囁く 若者に
	起きよ野に出よ 耕せよ
	畑(はた)に真っ赤な 日が昇る

4.草は朝露 夜が明ける
  風は囁く 牧場にも
	乳を搾れよ 積み出せよ
	柵に真っ赤な 日が昇る
5.火の見櫓に 夜が明ける
  風は囁く 鍛冶屋にも
	打てよ鳴らせよ 金槌を
	村に真っ赤な 日が昇る

6.高い煙突 夜が明ける
  風は囁く 工場にも
	鐘を鳴らせよ 朗らかに
	街に真っ赤な 日が昇る

7.嬉し楽しや 夜が明ける
  鐘は囁く 家々に
	みんな目覚めよ 勇みたて
	今日の希望の 日が昇る





1936年(昭和11年)