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ベンチャー企業の経営管理 平成11年3月24日に開催された東京総研株式会社主催「第20回 未公開株式研究会 テーマ:ベンチャー企業の経理の仕組み・作り方」 の講演録です。 U-2 資料の整理と仮勘定 飲食店のチェーンです。そうしますと店舗の数だけ店舗の売上金を入金する預金口座があるわけで、預金管理をするだけでも結構大変になります。店舗開発の子会社があったもので、出店しますということで地主さんに保証金を払い、店舗の建物を建ててもらって賃借するという場合には、先に保証金が出てきます。ということになりますと、本社から店舗開発の子会社にお金がドンと振り込まれて、そこから店舗開発の形で資金が使われるというような形で流れているわけですが、結局、各店舗からの預金残を吸い上げてそういう形でお金が流れるというのがよく見えなくなってしまう。 なぜかというと、当時の経理課長の管理がずさんで、整理ということができない。会社のほうも今年20億、翌年30億、その次の年が50億という感じでどんどん成長していくので、仕事の量が爆発的に増えていったのは確かですが、その時にSOSを出さずに、徹夜してでもなんとかこなすという状況に追い込まれてしまうんですね。我々が監査で伺ったりすると、無精髭生やしてボーッと出てくる。徹夜ですかと聞くと、「そうなんですよね」。引き出しの中にコップと歯ブラシ・歯磨きが入っていたりする。という感じでやっていきますと、本来管理者って何をしなくてはいけないかとか、振り返って考える時間が精神的になくなってくるんだと思うんです。そうなると余計に追い込まれていくので、徹夜までしてこなしてボーッとした頭でまた翌日の仕事をする。そうなってくるとぐしゃぐしゃになってしまい、机の上が散らかり放題。忙しくて電話もどんどん入ってくるしということで、とりあえずもらった資料は机のどこかに積み上げる。これを繰り返しますとどうにもならなくなるんですね。 私の同僚が非常に面倒見のいい男というか、呆れ果ててとうとう手を出したというか、監査はいいから机の上を片しましょうと手伝いはじめたんです。そうしましたら、1〜2ヶ月前に依頼していてなかなか見つからないと言っていた資料が出てきたり、先月の日付の小切手が出てきたり。その払いどうなっちゃったんですかね。1ヶ月も遅延して、その会社の信用問題はどうなったんだろうと不安になってしまうほど、そんなものが出てくるんです、実際に。 実は霞ヶ関のお役所へ行くと似たような光景を見ますが、恐らく東大を出られた頭なのでわーっと積み上がっていても管理できるんでしょう。下から10センチぐらいのところにはあの資料があったはずだというようなことがわかるのかもしれませんが、凡人が同じことをすると破綻します。野口悠紀雄教授が「超整理法」という本を出されましたが、大蔵省は狭いから上に積み上げていたが、一ツ橋の教授になったら一部屋もらえてゆとりができて横に積んだ。古いものから徐々に並んできて、引っ張り出したらすぐにわかるじゃないか、便利だねっていう話で、発想としては大蔵省の管理のままですが、あの管理を凡人がやっちゃいかんということです。ところが忙しくなって追い込まれてくると、どんどんそうなってしまうんですね。 それで、その時に「経理は整理」という格言を作ったんです。語呂合わせみたいなものですが、本当に経理というのは情報処理です。営業部から売上のデータが入ってきて、購買部から支払のデータが入ってくる。それぞれ、どれだけ売れてどれだけ支払って利益がどれだけ出たという情報をアウトプットしなければならない部門なんです。ということは、情報をいかにきれいに整理するかが大事です。コンピューターであればファイルやデータベースにきちんとデータを流し込むようなプログラムを組めばいい。手作業でやる部分はクリアフォルダーやファイル、バインダーなどを駆使して資料をきれいに整理すること、これが必要なんですね。パソコンでもフォルダっていうコンピューター用語が出てきますが、紙の発想ですね。同じことを手作業できちっとやらないと情報のアウトプットはできないんですが、そこの基礎を学ばないままに経理をやっている人がいる会社では、容易に破綻してしまう、ということです。 「ベンチャーの経営管理」目次へ ベンチャー支援メニューへ |