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ベンチャー企業の経営管理

平成11年3月24日に開催された東京総研株式会社主催
「第20回 未公開株式研究会 テーマ:ベンチャー企業の経理の仕組み・作り方」
の講演録です。

T-4 パソコンベンチャーは特に破綻しやすい
 パソコンというものは生鮮食料品と同じようなもので、機種が古くなっても使えますが、商品としては機能的あるいは市場価格的に腐ってしまうものなんです。どれぐらい破綻しやすいかという例を探そうかなと、少し古めの日経パソコンという雑誌をめくっていましたら、NECのバリュースターというパソコンが、昨年9月27日の段階で27万8000円の店頭価格という記事がありました。スペックを見ますとPentiumU300MHzということで、本年3月2日にPentiumVが出ましたし、Celeronという廉価版のプロセッサですら366や400みたいのが出てくるご時世ですので、このパソコンは今ですと恐らく10万円くらいにしかならないのではないかと思いますが、そうすると17万8000円値段が落ちます。9月27日から今日まで、ちょうど計ったように178日ですので、17万8000円割る178で1日当たり1000円落ちるということです。1日10時間営業しているお店ですと1時間当たり100円落ちることになります。ですから、9月27日に27万8000円と値札をつけてお店開けたら、夕方には27万7000円になってしまうぐらい、いえ、機能は落ちないんです、半年経っても1年経ってもコンセントさえ入っていてスイッチ入れればちゃんと立ち上がるんですが、だれもその値段では買わないというのがパソコンです。1時間100円ずつ値段が下がっていく商品だということは、意外に認識されていません。だからアキアにしても在庫抱えてしまうんですね。
 安く叩き売ればいいんでしょうという理屈も一つありますが、たとえば1年前の200MHzのパソコンが100台あって、これを処分しなくてはならない場合、みなさんだったらいくらで買い占めてもらうかとちょっと考えていただきたい。明日でも会社に出られた時に仲間の方に200MHzのパソコン、いくらなら買う? と聞いてみると、2万かな3万かなみたいな数字が出てくるでしょう。たとえばアウトレットみたいなお店に叩き売るとなれば恐らく相当叩かれますので、2〜3万の販売価格だったら5000円とか8000円、そんな値段でしか売れないかもしれません。
 と考えますと、仕入代金を回収できないのはもう前提として置いてありますが、売るための店員さんの費用・配送コストといった販売コストを賄えるだろうかと、それくらい深刻な問題です。売ったってそれ以上コストがかかってしまうという、そういう商品です。そのため結局評価損立てざるを得ないということです。パソコンがかさばるものだということも一つあるかもしれません。  さらにもう一つ、短時間で大量に売らないと腐ってしまうわけですから、そのためには膨大な広告宣伝費をかけなければならないということもあります。ないしはただに近い値段で一旦ばらまく。一太郎バージョン3あるいはMS‐DOSの2.1の頃のようにただでばらまき、圧倒的なシェアを作ってしまう。または広告宣伝を強引に作るという形にしないといけないんですが、パソコンベンチャーは売上が小さいんですね。先ほどのアキアの事例ですと200億くらいの売上が目標だったそうですが、月刊でいつくもあるパソコン関連雑誌に全部カラーで広告入れて、12ヶ月というと恐らく億単位になります。ハードディスクとかモデムとかそういう周辺機器の会社では売上は10億から20億、ぷよぷよというゲームで倒産したコンパイルでせいぜい売上は数十億です。パソコン本体を扱う会社の数百億の売上で年間数億円の販売費というのは、恐らく相当の負担だろうと思いますので、脆弱な企業体制なのにものすごいお金をかけて、リスクのある商品を扱わなければならないのがパソコンベンチャーなんです。

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