2018.09.14
NHKスペシャル3回シリーズ『人類』のリメイク版

      今年3回に亘って放映された『人類』の内容をそのままに語り手を変えてまとめ直したのを録画してまとめてみた。前回は高橋一生がナビゲーターだったが、今回は人類滅亡後のアンドロイドが歴史を継承する、という形式になっている。最新の研究成果を取り入れていて、うまく映像化している。

第一話(ホモ・サピエンスまで)

・・・アウストラピテクス・ラミダス、440万年前、エチオピア、最初の二足歩行。
森林が疎らになったので、二足歩行で遠くまで食糧を探し、手に持って持ち帰ることが有利になった。雌を巡る雄同士の争いよりも、番を固定して協力し合って子孫を残すようになった。家族を持つ人。

・・・アウストラピテクス・アファレンシス、370万年前、タンザニア。草原となってしまい、危険回避の為に集団で行動するようになった。仲間を持つ人。

・・・ホモ・ハビリス、240万年前、石器を発明して肉を削いで食べるようになった。骨髄を食糧とした。道具を持つ人。(同時期のパラントロプスは頑丈な顎を持っていたため、道具を生み出せなかった。)

・・・ホモ・エレクトゥス、180万年前、コーカサス地方、大型草食動物を狩りしていた。二本脚で走る能力を獲得した。体毛が薄いために発汗によって体温上昇を抑えることができた。長距離ランナーだった。逃げる動物はやがて熱中症になる。歯の無くなった骸骨が見つかった。介護があったと考えられる。肉食により、腸が短くなり、脳が発達。思いやり。心を持つ人。アフリカを出て、アジアに拡がった。

・・・アフリカに残った人類は、その後、ホモ・ハイデルベルゲンシスとなり、ヨーロッパで寒冷適応してホモ・ネアンデルターレンシスとなったが、アフリカに残った系統はホモ・サピエンスになった。

・・・ホモ・サピエンスは、その後の19万年前からの寒冷化、乾燥化によって、南アフリカ南端(ピナクル・ポイント)に追いやられた。1万人以下になっていた。ここで好奇心に富む人達が貝を食糧として生き延びた。16万年前。

第二話(ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの比較)

・・・イスラエルのマノット洞窟。55,000年前のホモ・サピエンスの骨。すぐ近くにネアンデルタール人が住んでいた。脳の容量はネアンデルタール人の方が大きい。言葉も喋れた。装飾物等。動物の皮からの衣類。リソワールという皮なめしの道具。強靭な肉体と石器付き槍で大型動物の狩りをしていた。それに対して、ホモ・サピエンスは小型動物を捕えていた。43,000年前には、仲間同士で協力しあう狩りを進化させていた。アトラトルという投槍。飛距離が長い。石器を改良。集団サイズが大きかった。(ネアンデルタール人は家族単位で暮らしていた。)

      集団サイズによって、発達する脳の場所が違う。小集団では後頭部が発達して感覚的把握力に優れるが、大きな集団では前頭葉が発達し、社会性やコミュニケーションに優れる。それによって道具発明の成果拡散と改良が促進される。35,500年前、400人の大集団が見つかった。死者への埋葬品が見つかった。死後の世界を想像していた。宗教の発生。壁画。宗教儀式は大集団をまとめる為に有効であった。

・・・ハインリッヒ・イベント(17,500〜15,000年前、氷の塊が海に崩落して、気候が大変動)を助け合いで生き延びた。ネアンデルタール人は単独行動と大きな身体が仇となって滅びた。

・・・ホモ・サピエンス同士の争いが始まった。(これが人類滅亡に繋がる。)

・・・ネアンデルタール人のDNAが復元された。アジア人やヨーロッパ人にはその2%が含まれている。中東で混血があった。アフリカ人には無い。白い肌の遺伝子やウイルス耐性の遺伝子がその2%に含まれていた。

第三話(航海術)

・・・石垣島で、27,000〜20,000年前の人骨(白保人)発見。南方系の顔。海に潜っていた証拠が耳骨にある。東南アジア人に近い。当時はスンダランドで海面はもっと低かった。多数の遺跡が見つかっている。インドネシアで39,900年前の壁画を発見。これはヨーロッパより早い。台湾で30,000年前の石器。東ティモールの遺跡でマグロやカツオの骨。遠洋漁業をしていたことが判る。海部さんの台湾から石垣島への航海実験は草船、竹船で失敗。

・・・他方、極寒の地まで人類は進出していた。シベリアのヤナRH遺跡。マンモスやバイソンの骨。石器やアクセサリー。雪の上で獲物の足跡を追える。毛皮の防寒着を使っていた。骨で作られた縫い針が見つかった。工程の多い道具作り。ブローカ野が計画の為に使われていた。並べて関係付けるという能力において文法言語と共通している。ここがネアンデルタール人と異なる。つまり、チョムスキーの考えを支持している。

・・・オーストラリアの遺跡で石斧が見つかった。つまり丸木船が作れる。海部さんはこれで来年実験する予定。

 
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