2023.05.10
夕方から JR で広島駅に出て、ちょっと蕎麦を食べてから、東区民文化センターまで歩いた。今日はちょっとめまいがするのでゆっくりと。図書館がまだ開いていたので、『週刊文春』を読んだ。池上彰と西浦博との対談。尾身会長は精いっぱいやっていたが、政府の顔を立てておかないとスムースに事が運ばないから、というので妥協していた。残念ながらこれが日本の感染症学の限界である。学会が社会の中で同等の権威を持っていない。日本の集団免疫の現状は去年のイギリス位で、イギリスではそれから2回位感染波に見舞われたから、日本もまだあるだろう。マスク位無害で有効な手立ては無い。マスクの推奨を止めたのは政治的パフォーマンスだろうが、これには大反対である。ただ、国民は賢いから安易には従わないだろう。第5波についてはオリンピック対応で政策の功罪が明瞭に出ていたから、これからじっくりと解析する予定。等々。

・・・ところで目的は『Flute Quartet BACC-QUAR Concert vol.10』であった。広島在住の酒豪4人である。数えると僕が聴くのは3回目。コロナ禍で4年間演奏会が開けず、やっと元に戻れて、川本真梨江さんは最初の挨拶で涙ぐんでいた。聴衆は100人弱位だろうか。なかなか盛況である。いつもフルート合奏としては新しい曲(他の楽器の為の既存曲の編曲)に挑戦していて、それ故に完成度はイマイチではあるが、面白い。

・・・今回の大曲は前半最後のモーツァルトの交響曲41番(ジュピター)の第4楽章。フーガの面白さや美しい和声もあるが、やはり面白いのは川本真梨江さんの Bass Flute の音である。必ずしも美しいとは言えないかもしれないが、倍音に富んだユニークな音色で、多分この人にしか出せない音だろうと思う。もう一つの大曲はプログラム最後、バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ2番「シャコンヌ」。まあ、確かに4人で合わせるので仕方ないのだが、表現の幅は狭くなる。指揮者も付けて、もっとテンポの変化があった方が良かった。その代わり、フルートカルテットなので、宗教的な雰囲気が強い。ふと気が付くと亡くなった母のことを思い出していた。

・・他の曲もそれぞれよかった。タイトルだけ書いておく。ワーグナー、歌劇「ローエングリン」より、第3幕への前奏曲;グリーグ、組曲「ホルベアの時代から」より、前奏曲、ガヴォットとミュゼット、リゴドン;リムスキー=コルサコフ、交響組曲「シエラザード」より「若い王子と王女」;レスピーギ、リュートの為の古風な舞曲とアリアより、イタリアーナ、シチリアーナ;フォーレ、パヴァーヌ。

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