家内と待ち合わせてランチ。場所は福屋の裏の方にある「Very Berry Soup」という店である。洋風スープを主菜にしたランチである。もう学校も冬休みなのだろう。若年層の女性ばかりであった。(いつもはおばさんが主体らしい。)流石にスープの味は良い。何が使ってるのか判らないがいろいろな味がして深い。それから丸善の本屋に寄って本を買って、中央図書館まで歩いて、予約してあった本を借りて、岩波「世界」8月号を書庫から出してもらって、この間のビジネス展望(NHK)で内橋克人が引用していた伊東光晴の「安倍・黒田氏は何もしていない」をじっくり読んだ。

      日本の株の売買は殆どが海外のファンドで、それも一秒間に何回とかいう売買を繰り返してゲームをしている。(日本で参画しているのは野村證券が最大であるが、それも100位程度というくらいである。)株価はそれで決まってしまい、安定させると儲けにならないから、絶えず変動させている。日本人は長期保有が主体であるが、時価での決算が法律で規定されて以来、その保有株価によって企業決算が左右されるようになった。株高に転じたのは民主党政権時代であり、その理由は海外ファンドが投資のバランスをアジアに向けたためである。つまり日本の経済とはあまり関係が無いし日本人の投資行動とは尚更無関係である。そもそも株の売り買いが差益を求めている以上、実体経済とは直接相関しない。それはあまり良いことではないので、以前は株取引に税をかけることで売り買い頻度を抑制していた(頻度が高いので小額でも効果的である)。しかし、自国の金融業界に妥協した米国政府がどうしてもこれに応じない。

      円安については、金融庁のドル・ユーロ買い介入が原因であり、これも民主党政権時代に秘密裏に進められていた。秘密ではないのだが、先物と現物をうまく組み合わせて判りにくいように進められていた。そのための円資金は短期国債で賄われていて、その発行には国会の承認が不要である。本来このような介入には米国政府が障壁となるのだが、日本政府が入手したドルはそのまま米国債の購入に使われているから、財政難の米国政府も抵抗できなくなっているのである。民主党政府も自民党政府も知らない。官僚が勝手にやっている。そ

      ういう次第で、アベノミクスの「第一の矢」は株高にも円安にも無関係である。そもそも金融緩和によってお金が経済活動に廻っているわけではない。単に市中銀行の日銀当座預金残高が増えているだけである。昔からよく言われていることであるが、金融政策は非対称である。好況時に金融を引き締めればお金が足りなくなって抑制効果があるが、不況時に金融緩和をしても使い道のないお金がダブつくだけである。だから以前はダブついたお金で海外への投資が行われていた。しかし、海外でも金融緩和が行われてゼロ金利になると、海外投資の意味はなくなり、本当に使い道がなくなったのである。輸出企業の収益向上は円安と海外での健闘によるもので、国内市場は縮小する一方である。これには藻谷氏 を引用して生産年齢人口の減少が主要因としている。ただ、それを組み込んだ経済理論については現在検討中ということらしい。「第2の矢」については別誌(「都市問題」2013年6月号「人からコンクリートへ」の政治経済学)で論じているらしい。また読んでみようかと思う。

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