【"THE GARDEN "#7-2】      エデン(の園)の植物誌   西村正幸






〈エデンの園の植物誌によせて〉

INDEX GALLERY代表 岩野正英

 エデンの園にはいつも相反する2つのイメージがあります。1つは永遠に失われた理想郷としての庭であり、古代ギリシャのアルカディア、ヒマラヤ奥地のシャンバラ伝説。中国の桃源郷などがこれにあたります。もう1つは造り出されるものとしてユートピア(楽園幻想)であり、エデンの園とその後の庭の歴史は、全てこの2つの極の間で生まれてきました。






 では何故、庭園においては廃虚のように永遠に封印されてしまわないのかというと、庭における主役である植物に再生循環性という大きな特徴があるからです。人にとって植物とは、短い周期で生命の循環(枯れまた甦る)を目のあたりにできる存在であり、水や大気と土壌とともに地球エコロジー的システムを理解させてくれる大切なパートナーです。そしてこの植物を通してアルカディア的なものとユートピアとの間で、つねに庭は揺れ動いてきたわけです。植物との共感は、私たちの個的感覚を地球生命体の意識へと解放してくれます。このとききっと、〈神〉が熱い感情とともに私たちの心に流れ込んできます。われわれもまた、エデンの園にいるのです。



Exhibition #7 : END



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ジェームス・タレル
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(2000.3.1.掲載)