■ 保険申込の状況を知っていたか?

IYさんを被保険者、冨山さんを受取人とした保険申込を、T生命保険は受取人が被保険者の家族ではないことを理由に申込を却下したため、冨山さんは解約を申し込み、MK勧誘員も了承した。しかし、MK勧誘員は単独で保険会社本社との間で申込・却下を繰り返し、通算3回目にIYさんの妻INさんと冨山さんを受取人にした保険契約を、「生命保険の始期を昭和38年5月25日に遡及せしめて契約締結」した。MK勧誘員の証言によれば勧誘員が申込者への報告なしに単独で契約を進めることはよくあることだという。T生命保険から保険証書はIYさんが死んだ当日8月26日に発送されている。一審判決では、MK氏から契約成立をきかないとしても、知ることはできたはずだ、としている。

もう一人の保険金受取人であったIYさんの妻INさんが契約成立を知っていたかどうかについては、IYさんが自宅で苦しみはじめた直後、「TTさんがIYさんに保険をかけていた」とIYさんの妻INさんが話していたと、IYさんの近隣住民NYさんが電話で話した、というIMさんとIAさんの証言があったが、NYさんはこれを否定(1965年2月10日NYさんに対する尋問調書)した。
また、事件の3ケ月ほど前に、問題となった保険の件でT生命保険の調査員がIYさん宅を訪れ、INさんに会っている。

保険に関するIN証言


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