The Conti入院g Story of Bungalow Bill 第7章

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【過去の下つゆINDEX

 2018.1/5(金)    5 

1日目 【胆管嚢きゅうのれす】

今度は消化器内科に入院である。おれの死因は多臓器不全でまづ間違いないだろう。

今回は5日間の予定で,先の27日の通院で決まった話だ。総胆管に落ちて十二指腸近くに詰まった胆石を,経口の内視鏡操作で除去する手筈である。内視鏡的逆行性膵胆管造影法というらしい。

朝食を抜いていつもどおりのクスリを飲んで――おっと,きのうから抗血液凝固剤(循環器内科)だけは中止――9時前にウチを出る。ついでにごみを出しておく。総合受付で手続きを済ませ,自販機で無料の白湯を貰って食間の薬(呼吸器内科)を飲み,そうして病棟(消化器内科)に上がるのだった。

六人部屋の病室の5人目だったのが,当日退院の方が続いてじきにふたりになった。それでも窓側のベッドはくれず,ドア側の先客の隣で部屋の真ん中である。

病衣に着替えてつくねんとしていたら10時過ぎに薬剤師がやってきて今回つかう点滴剤の説明をしてくれた。内服薬はない。

身体測定して175.3cm・68.9kg。腕輪IDを巻かれ,問診票を書くうちに左腕に点滴ルートが設営され,電解質と抗生剤の点滴が2本立てで繋がれた。ここからは水飲みも禁止になる。

胆石除去は入院したきょうやるのだ。

11時にお呼びが掛かってからトイレに行かされて小便(以降Pと記す)をする。処置室までは歩いていき,帰りはベッドとのこと(そりゃそうだ)。途中の待合で胃の洗浄剤というのをカップ1杯飲んだ。

喉麻酔は少量のシロップを注射器でピッと水鉄砲のように飛ばされただけだった。それをしばらく溜めてから飲みこむ。気管支の麻酔とえらい違いだ。寝台では何と俯せで,顔を横に向けてマウスピースを銜え,「眠くなるクスリ」を点滴に混ぜられたところで他愛なく眠ってしまった。激痛で目が覚めるという夢を見たような気がするのだが,もうわからない。気がついたら病室に戻っていた。果たして石は本当にあったのだろうか。

14時半ごろ胃が猛烈に痛くなり――これは夢じゃない――堪らずナースコールを押す。鎮痛剤を点滴に入れてもらうまでずいぶん長く感じた。この痛みは何だ。おれはこれで死ねるのかな。

うとうとして20時にPに起きる。時間的に安静解除済みだ。腹痛は治まっているがシクシクする。20時? あれ,おれはきょう朝から何も食べてないんだが,夕飯もなし?

24時半に大量のP。排便(以降Qと記す)を試みて空振り。きのうINGRESSのミッションで歩きすぎたのが効いており,全身ぎくしゃくして困る。

29時にまた大量のP。目が覚めたときに入院したことを完全に忘れていて,日の暮れるまでウチで寝過ごして病院に遅れたのかと大いに焦った。

今回もちこんだ入院セットを書きだしておこう。

結果的には耳栓が不要だった。ジツに幸いである。むしろおれの掻く鼾で迷惑を掛けたかもしれない。さらに何度か目覚めに絶叫したんじゃないかという不安がある。術後ねむっているあいだは実写映画のような(つまりふつうの)夢をずっと見ていて,ここんとこ夢らしい夢はご無沙汰だったから懐かしいくらいであるが,いかんせん悪夢のイメージ断片ばかりで死神13を連想する。

あ,蓋付きコップも出番がなかった。紙コップの使いまわしでコト足りてしまってな。しかし基本入院セットから外すには及ばない。傘もリストに入れといたほうがいいな。入院が数週間に及ぶとなると,爪切りとポメラが追加になる。

 2018.1/6(土)    6 

2日目【膵臓つかれて疲れて膵臓】

5時半に採血。36.7℃。二度寝して8時になっても朝ごはんが来ない。途切れることなく続いている点滴が飯代わりになっている。何とレギュラの服薬もなし。空腹を感じているわけではないからいーんだが,そんなことより腰痛が酷い。

9時の回診に拠れば,合併症でちょっと膵炎の気があるそうである。数字は悪くないから恢復するだろうとのこと。内視鏡が膵臓にストレスなのは既知の問題である。食事はあすの昼からだそうだ。水は飲んでもよくなった。

ふつうにQ。Pと血痰。Dルームに移動してINGRESSとPokémonGOを開けてみたが,リーチ可能なポータルがなかった。これでまた連続Hack記録が断たれ,ついでにモチベーションも切れたと感じる。

10時に清拭のタオルを貰ったとたんにレントゲンへ行くよう言われ,とぼとぼ歩いていくと受付に誰もおらず灯りが落ちていてびっくり。そうか,外来やすみなのか。撮影室から直接呼ばれて腹部の1枚を撮る。病室に戻って清拭の続き。

11時36.9℃・86-84mmHg。12時になったら入院時に預けたクスリが飯の代わりに返却されてきた。服薬は自己管理で,ただしクスリのパケイジ殻を看護師がチェックするそうだ(それだと間違いがわかっても手後れであるが)。

12時半と15時にP。点滴は日に何度も交換されてぶっ続けである。16時半に看護計画表を貰って署名する。

17時にQ。97-66mmHg。19時P。21時P。

消灯は21時半である。いつも22時にしていた服薬を前倒す。入院して初の服薬だ。Dルームの無料お茶サーバから貰った白湯がめっちゃうまい。ここで点滴が終了。おお。

23時に起きてP。26時に起こされて点滴再開。えー。

26時半Q。絶食も2日になると?軟便に変わった。気分悪い。27時点滴終了ー。

 2018.1/7(日)    768.9kg

3日目【晩稲ビビック】

けっこう繰りかえし見ている,ローカル線の旅の夢が現われた。帰路の電車で何駅も何駅も乗り過ごし,引き返すために同じホームの反対側に移ったがその路線図に目的の駅の名前がない。満員のアニメのラッピング列車がやって来たのを敬遠し,がら空きの次のに乗る。どこにも着かないことを半ば理解しながら長シートに坐って陽光を浴びている。

6時に採血。ひどい寝汗。

投薬メモ
備考
ブイフェンド 3 3 食間
プレドニン 1
プレドニゾロン 4
タケキャブ 1
レルベア 1
アレンドロン酸 1 週イチ
ビソプロロールフマル酸塩 2
エリキュース 1 1

8時P。抗血液凝固剤が復活して服薬フルセット。消化器内科としては内服薬がなく,点滴オンリーである。

9時Q。絶食3日目だのにまだ出るね。9時半の清拭でパンツを穿きかえる。血痰出る。

10時に服薬。37.1℃・97-57mmHg。点滴再開(何か悪化したからではない)。

昼食きたーーーー。Oh, 「軟食」.... 全粥・味噌汁・鶏と玉子の煮物・高野豆腐・オレンジ。お粥さんは米粒のはっきりしたとろみ纏いタイプがふつう盛りで,塩や出汁の味付けなし。おかずは一般食と同じだろう。スプンが附いていたので皆それで食う。60時間ぶりの飯だなあ。

13時半P。歯磨き。

16時に看護師さんが食事指導に見える。揚げ物と塩分を控えろというごもっともなお話。えっ,アイスクリームだめなの? ふだんの食事を訊かれたので素直にコンビニ弁当とCOMPと答えたが,後者をご存じなかった。

17時半P。

夕食は全粥・吸物・鯖味噌焼き・里芋・大根サラダ。

19時半に歯磨きとクスリ。

20時半99-54mmHg。点滴終了。

21時Qちょっぴり。21時半にクスリ。消灯。

23時と25時に起きてP。寝るたび変な夢を見る。

 2018.1/8(月)    8

4日目【ヒデキ胆石】

7時Qちょっぴり。まだ出るか。

朝食は全粥・味噌汁・鶏なし筑前煮・しらす大根おろし・牛乳180mL。

8時クスリ。11時からのシャワーを予約する。おれしか入ろうとしてないな。この病棟は妙に空いてる雰囲気だ。

10時36.8℃・97-57mmHg。点滴再開。

Dr.来。胆石はみっつ取ったそうである。おお,空振りでなくて良かった。しょうじき見たかったし持ち帰りたいところであるが,そんなニーズはないのかしら。本当は胆嚢ごと切除したほうがすっきりしていいんだが,あいにくおれがステロイド漬けなのでいま手術はできない(切開した創が塞がらないの)。そして今さらながら入院診療計画書に署名する。予定どおりあした退院と決まった。

10時半クスリ。点滴終わって11時からのシャワーに備え,点滴ルート周りに防水処理(ラップ巻き)をしてもらう。点滴チューブに逆流した血が固まったようで,点滴ルート自体のハードポイントまでバラすうちにその血がぼったんぼったん垂れてシーツに赤い薔薇が咲いてしまった。まぁきれい。汚してすいません。

10分遅れでお風呂場へ。おや,予約表が満杯になっている。シャンプーリンスボディソープ。電動シェイヴァの動かない裏切りを,慌てず電池蓋を開けて乾電池をいったん出して込めなおし,観世音菩薩に祈ってスイッチを入れたらブイーンと唸りだして事なきを得た。接点バネが甘いのかね。パンツを穿きかえて戻ってきたらシーツが替えてあった。あれはすぐ洗わないと染みが残るわね。

昼食は全粥・吸物・鰆照焼き・大根と人参の煮物・小松菜。

14時半と16時にP。17時半36.9℃・107-63mmHg。全般に体温高め・血圧低めである。炎症ありそうね。

今回どうしようもない空き時間には Reader T3 内の電書を再読していた。L.ライムシリーズの『石の猿』『魔術師』『12番目のカード』を順に「消化」。もう一生分の本を持ち歩いていると言っていい。

夕食は全粥・味噌汁・ハンバーグ・キャベツサラダ。キユーピーの焙煎胡麻ドレッシングに再会した。肉はうめえな。

18時半クスリと歯磨き。

19時に最後の点滴開始。20時点滴終了。点滴ルートが外された。おー。

20時半P。21時半クスリ。消灯。23時に起きてP。

 2018.1/9(火)   9

5日目【たぃーん,です】

7時Q。この土壇場で何となーく右腹が痛いような違和感がある。

朝食は全粥・味噌汁・ベーコン巻き玉子焼き・湯がきキャベツ・牛乳180mL。最後までお粥さんだったか。

8時クスリ。Dr.回診でQの色を訊かれ,黒とお答えしたのは言いすぎだったか(それは消化管の出血を示唆するからな)。濃い焦茶色? ふだんよりは黒い。胆汁が景気よく流れてる証拠なのかな。そしたらおれはそうとう前から世界的な胆汁不足だったことになるのだけれど。

9時に腕輪IDを取ってもらう。着替えて退出の支度。ちょっと気分悪くてもっぺんQ。9時半クスリ。

退院説明をしてもらって退出のチェック&退出。お世話になりました。

自動支払機でクレジット払いして外に出たのが10時である。外がそんなに寒くなく,雨の上がったあとなのは幸いだった。歩きとおす気にはならず,電車で帰る。


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