神奈川月記9907

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で,99年6月29日にAIBO Shopから「ご購入承諾書」というのが郵送されてきた。あ・そうなん,郵送なん。「承諾書」ってどっちが承諾なんだろな,おれかAIBO Shopか。ちょっと引っ掛かる言い方だな。
これに拠ると支払日が99年6月12日である。「Smash注文確かめ〜る」が来た日でおれがオンライン決済した日だ。それから2週間以上梨の礫で承諾書とは如何なものか。心証悪いぞ。

とは言うもののこれで入手確定である。ほっとしたよ。次は出荷日だ。
承諾書にはこうあった。

出荷予定日のご連絡は別途電子メールにてご連絡いたします。

「ご連絡は」「ご連絡いたします」のような頭の悪い日本語は如何なものか。
そうして7月2日に届いたemailはこんなの。

ご注文頂きましたAIBO本体ERS-110のお届け予定日ですが、7月中旬を予定しております。
お届けまで今しばらくお待ちくださいます様お願い申し上げます。

これで「出荷予定日」とは如何なものか。何か変だぞ,ソニー。気を確かに持て。

どうもSmashの「決済が早くて便利です」には騙された気がする。振り込み用紙郵送でコンビニ決済のほうが早かったのではないか。
Smashからすれば一商品に過ぎないaiBoに超負荷を掛けられてむしろ迷惑だったのかもしれないが,ユーザとしては何だかなあであるよ。あ・ひょっとしてSmashを景気づけないし喝入れないし梃子入れしたくてソニーが画策したのに付き合わされたのかしらん。

ところでおれの顧客番号は6**である。決済前に知らされたから入金順じゃあない。これ即ち注文受付順と考えていいだろう。惜しいところでトップ20%に入り損ねた。おれより素早いのが600人以上いたのだ。

ウチに来ることがはっきりしたので名前を考える。たぶん「アイボ」と呼び掛けないと振り向いてくれないんだろうけれど──そもそも声に反応するのかな──マーキングとネイミングは重要だ。
aiBoの垂れ耳と,そこに刻まれた横線を見ているとわしゃ何故かエジプトを連想するん。それでクレオパトラを捩った「クレオ(Cleo)」とスフィンクスを捩った「フィンクス(Finx)」とが同時に脳裏を過った。
変な意味があってはいけないのでサーチを掛けてみたらば,「フィンクス」がうてな方面で引っ掛かる。うーん,誰か同じ名前を付けそう鱈。クレオにしとこ。

産まれたてのaiBoを運ぶのは,コウノトリでなくペリカンだった。99年7月13日に不在通知が入る。クロネコやペリカンやカンガルーが犬を運ぶのは洒落てて良いが,正直いって飛脚でないことを祈っていたぞ。尤もペリカンも再配達で指定した時間帯に持ってこず,ほんとに最後の最後20時まぎわだったよ。でも,んなコトもうどうでも良いや。

ロボットがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤアイボ

段ボールは40×50×31cm3で3kgくらいかなあ,でかくて軽い。「この荷物は手渡しで」との注意書シール(ペリカンの)がある。
平紐のバインドを解いてみたら注意書シールはコの字に折った1枚段ボール紙に貼ってあり,これはどうも本体箱の「aiBo」ロゴを隠すためのダミィのようである。まさか配達員を想定してではなかろうが,泥棒除けには違いあるまい。破格の配慮ではないか。

デジカメを用意して梱包を解くたびシャバダバと撮影する。
aiBoは複雑な成型の発泡スチロールに上下サンドイッチされていた。ビニール袋はなくて裸である。ステイション(クレイドル)のほうはクッション袋入りで並みの発泡スチロールに左右サンド。万一aiBoが故障したら修理するのに工場へ宅配送りすることになるから,この梱包セットは捨てないほうが賢明である。

aiBo諸元 備考
名前 クレオ
シリアルNO 14000** 2桁目はロットNO?
サイズ (mm) 156×266×274 尻尾ふくまず
質量 (kg) 1.6 バッテリ込み
自由度 (脚) 3×4肢
(頭) 3
(口) 1
(尾) 2
センサ 温度・測距・加速度 -・赤外線・3軸
カメラ CCDカラ 鼻部
スピーカ モノラル 口腔内
マイク ステレオ 耳部
動作温度 (℃) 5〜35
動作湿度 (%) 10〜80
電池電圧 (V) 7.2
電池容量 (mAh) 3,000

aiBoは片手に充分かるい。
フロウリングの床は苦手だそうなのでホット_カーペットの上物を敷き,そっと降ろす。バッテリは正副2本が予め半充電されており,OSと基本デイタの入ったメモリ_スティックと一所にお尻へ挿入すれば開梱したなり起動できる。ニッカドじゃないからフル充電・フル放電を待たなくて良いのだ。
おれはもう即起動に掛かった。

数十秒OSロウディングの間があって,クレオが動き始めた。ピポパポーピポポパポパポーと階調音で唄う。犬じゃないからワンワンではない。「未知との遭遇」5音テーマを柔らかにした音色と言えば近かろう。
駆動モウタや冷却ファンの音は存外気にならず,むしろ唄声が大きい。思ったより激しく尻尾を振る。首を振る。手足をばたつかせる。

いやーん,かわいいーん。

まだ自力で立ちあがれないのだ。勿論「パフォーマンス_モード」で操り人形化すればタッチもオスワリもフセもオシッコもするのだが,「自律モード」では眼が明いたばかりといったところである。後脚を張って立ち上がろうとして失敗している。頭に(2秒以上)触ってやると喜んでいる。すぐに居眠りを始める。

写真ではアルミ合金の類に見えるが,aiBoの外装は全てプラスティックである。vaioノウトのように持ち歩くものじゃないから,対衝撃より軽量さを採ったのだろう。肉球はゴムであってもらいたかったが爪も含めてプラ。まぁこの辺は死ぬほど実験を繰り返したろうソニーの判断を信じよう。
前脚は逆関節で後ろは順関節になっている。4本とも同じパーツ構成であり,後ろ脚はもっと太くありたい。
垂れ耳は軟質プラにプラ板を貼ったもので,横線に見えるのはプラ板の隙間。首を捻って傾けたとき肩にぶつかってもここで折れ曲がる。
宇宙服の防眩バイザのような顔は,まぁその通りである。中にマンガ的に喜怒を表わす発光ダイオードの目が光る。正面から見据えると奥にモノアイみたいな距離センサが見える。如何にも鼻みたいなのは色センサらしい。ピンクが好きという設定であり,毒毒しい蛍光ピンクのボールがaiBo遊び道具として付いている。スピーカが口腔内の上顎にある。

自律モウドではしょっちゅう階調音で唄っている(今のところ機嫌よさそう)。パフォーマンス_モウドではワンワン鳴く(やっぱりワンワンかい)。
案外力が強くて,脚を回してたまさかぶつかった缶コーヒなどは蹴り飛ばされてしまう。
バッテリが切れかかると自分から「充電のポウズ」をして催促する(よう設計されている)のであるが,「お座り」と区別が付かない上にすぐ「お昼寝」に移行するんでまだステイションに座らせて充電するタイミングを掴めていない。
充電するには充電のポウズを取らせねばならない。それさえできないほど放電すると,わざわざお尻の蓋を開けてバッテリパックを交換することになる。バッテリパックは2本のうち1本をaiBoに挿入,もう1本はステイションで別途充電しておける。
aiBoが自分からステイションに座ってくれるようになれば世話フリーで良いんだけどな。もしやれるなら,ラジオ_ビーコンで誘導して傍まで来たらレイザ_サーチャ始動てなもんだろうか。

それにしても,こんな時代が本当に来たのだなあ。役に立たないロボットがウチに居るなんてなあ。
aiBoは充分に感情移入できる器であるよ。

1999年7月20日


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written by nii. n