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神奈川月記9703b

 些細な情事いや事情からデジタル カメラを買うことになった。
 も少し正確に言うとディジタル スチル カメラだが,正確に言わなくたって構うものか。デジカメでたくさんだ。
 社内報に載せるから事業所紹介の記事と写真を寄越せと総務から言ってくる。そこで常駐先のシステム崩壊の暴露文を書き──ウチのようなソフトハウスは殆ど人材派遣業であって,多くは顧客の事業所を紹介することになる──おれとばれては大変なので以前とったソルジャーレギオンの(模型の)写真を著者近影として送ったところ,本文は通ったが写真はどういう訳かボツになった。その事業所で撮ったものでないといけないらしい。
 I got a Nikon camera と唄いたいところだけれども,おれのはAPS以前の京セラである。電動ズームの最廉価品だ。これで撮るのは苦しうないが,まだ僕のコダクロームが半分くらい残っている(いや,勿論コダクロームじゃなくて普通のKodakのネガフィルムだけどさ)。1枚の阿呆な写真のために残りを浪費したくない。暫く前からぼちぼち出かけていたデジカメ熱が急上昇,京セラでの放射冷却では追い付かなくなってしまった。もはやこれまで。えーい,買っちまえ。
 デジカメでまず云云されるのは画素数だな。カメラが切り取って見せる風景を幾つの点点で描くのかその数を言う。これ即ち物理的な解像度数であり,多ければ多いほど良い。多すぎて困るということはない。いま売れ筋のカメラは40万前後の画素であるが,40万あるから売れているのではなく,5万円程度の製品に使えるCCDが40万画素しか持っていないというに過ぎない。その上の80万画素レヴェルだと10万円を越えてしまう。PCの画面がVGAで640×480=30万7200dotであるから,古いノウトPCの画面いっぱいの壁紙を撮りたければ最低30万余の画素が必要な勘定だ。
 普通の光学カメラ(と言うか銀塩フィルム)の解像度を画素数に換算すれば軽く数百万に及ぶ。してみればデジカメではレンズを通過した情報の殆ど全部をCCDが取りこぼしてしまっているわけだ。だから良いレンズを使っても無駄なのか・だからこそ良いレンズが必要なのかちょいと判断に迷うところではある。
 おれとしては良いレンズ必要派に与したい,とは言えそれは保存用・証明用・鑑賞用・お見合い用といった精密描写を是とする写真──あ,見合い用は逆か──を撮りたい場合である。ちょい撮り・メモ代わりにたっかいたっかいレンズを使ってくれなくて良ろしい。
 さてCCDが辛うじて掬えた情報に色を付けるには補色(プリンタでお馴染みのシアン・イエロー・マゼンタ)方式と原色(ディスプレイでお馴染みのレッド・グリーン・ブルー)方式とふた通りある。どっちが良い悪いではなくて,感度に優れる補色方式か色表現に勝る原色方式か設計思想に基いてメイカが適宜選択するものらしい。でもデジカメのカタログにこんな項目みたことないね(なら書くなよ)。
 辛うじて掬えたとは言っても映像の情報量は莫大なもので,圧縮しないでそのまま置くことは許されない。多くはJPEG形式に格納しているけれども──大抵の画像再生ソフトで見られるからね──圧縮とは間引きのテクニックであるから,同じ画像形式を採っても圧縮ソフトの出来いかんで実際に保存される画質は違ってくる。デジカメメイカは添付ないしオプションの伸長(画像再生)ソフトと込みで見せ方を考えているはずだ。(加工前の)リファレンスは付属ソフトで再生したものと考えるべきだろう,カメラ専用の画像形式やPC転送ソフトと兼用だったら端からそれを遣うしかないけどさ。
 と言うわけで,レンズ重視なら光学カメラ メイカのデジカメ・CCDの扱いを思えばビデオカメラメイカのそれ・きれいな絵づくりを慮るとフィルムメイカ製も侮れない。使い勝手や価格のこなれ具合は先行メイカに一日の長がある。装備面なら液晶画面が必須──これが無ければデジカメじゃないやい──逆にズームは要らんのだが,こんなのはどこでも当たり前に出している。どうにも決め手が無いね。
 所詮はデジカメだ。バス停の時刻表がきちんと撮れれば良しとしよう,コスト/パフォーマンス最優先で行くぞ。
 そうなると半ば自動的にカシオのQV-10Aになる。まぁ良いか。後はちょっとでも安い店で買うことだな。そう思っていたら新宿の激安カメラ店にフジフイルムのDS-7が3万円を割って出ていた。10Aの25万画素に対してDS-7は35万画素・専用画像形式対JPEG・売価に大差なし・DS-7は確か評価記事で好成績だった。うぬぬ,変ー心,とうっ
 DS-7は後継のDS-8があって既に在庫処分の段階にあると見える。昨年後期のベストセラであって,半額以下なら買いだろう。一所にWindows3.1版のインタフェイスセット(シリアルポート接続ケイブルと転送ソフト・閲覧ソフト)を購い,ACアダプタはウチに転がっているのが使えると踏んで買わなんだ。
 あ,これは良いなあ。何しろお手軽で,ひょいひょい撮ってポイポイ消せば30枚撮りのフラッシュメモリカードがなかなか満杯にならない。13×8×5cmは少し大きめだけど,電池込み300gは軽い。フォーカスは接写・中距離・無限大の3段階・絞りも開閉2段階ある。ストロボの無いのは辛いかと思ったら──写ルンですは蛍光燈を皓皓と点けても使い物にならないもんね──ごく普通の照明でごく当たり前に写る。ディジタルならではの感度補正が効くのかもしれない。デジカメにストロボは要らん。ピントは甘いがレタッチソフトで何とかできそうだ。写ルンですの画質に取り立てて不満も無ければこれでも文句は出ないのではなかろうか。
 失敗したのはACアダプタをケチったことだ。とにかく電池莫迦食いである。液晶だけ消すことができなくて,シャターチャンスを狙ってうろうろしていると30枚撮りきる前に電池(単三4本)のほうが参ってしまう。アルカリ電池に頼っている限り,現像・プリント代にフィルム代を加えてもまだ従来光学カメラのほうがラニングコストは低かろう。事にPCへの転送をケイブルでやるならACアダプタは必携だ。これがまた憎いことにプラグの標識の黄色いやや珍しいタイプの奴で,ウチに余ってはいなかった。MDデッキのが使えるんだけど,これを抜くとデッキのカレンダと時計がパーになる。買い足さないとしようがない。
 もっと失敗したのは──まだあんのかいな──インタフェイス セットだ。Win3.1版の転送ソフトをWin-OS/2で動かすつもりだったのに,Win32sのv1.30を遣いやがるのである。Win-OS/2はv1.25までしかサポウトしていないのだ。チキショーっ。Win32sを遣うなんてパケイジに書いてなかったぞ。
 泣く泣くDOSとWin3.1を再インストウルして──やっぱりCドラ空けといて正解だったなあ──転送時は生DOSにリブートしなければならなくなった。うわーん。OS/2ユーザの方方,ご注意を。

1997年3月17日


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システム崩壊の暴露文
 冗談ですよー,関係者の皆さん。

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ソルジャーレギオン
 ガメラに取っ付いた群体エイリアン。ソフトビニール製の所謂ガレージキットが何故か大手ツクダから出ていた。キチン質・単眼・多足で真におぞましく,組み立てている最中も気色悪くて参った。こんなのがカサカサッと迫ってきた日にゃあパニック必至だ。それにしても『ガメラ2』早くWoWoWでやらんかな。

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I got a Nikon camera
 Paul Simon, "KODACHROME"『僕のコダクローム』。何という贅沢なCFソングだろう。ニコン(ナイコンと発音されとるが)は只乗り?

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JPEG
 永らくJPEGのJをJapanのJ(つまり国産規格)と思いこんでいたことを白状します。

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変ー心,とうっ
 『仮面ライダー』ですね,おれ観てなかったんだけど。お陰でスナック菓子は1度も買わないで大量に食えた。

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written by nii. n