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神奈川月記9601b

冠省
いくつかの些細な情事いや事情からファクス電話機を買い換えることになった。今日ここで言いたいのは,家庭におけるファクス電話機の3大要素て何?ということやねんね。それはぁ,メモや調べもののできるハンズフリーとぉ,本の中程もコピイ/送信できるスキャナ別体構造とぉ,うきなっすしはぴゃらんくぬやないかー。はよ持ってこいボケェ。
落ちつけ落ちつけ。もう一度あげてみよう。

  1. ハンズ フリー(いわゆる手ぶら)で電話を掛けられる。
  2. スキャナ別体で本やLPジャケットなども送信(コピイだけじゃ駄目)できる。
  3. 送信原稿を複数枚(せめて5枚)セットできる。
  4. 留守電機能が無い。
  5. B4送受信可能。
  6. 自動裁断とアンチ カール。

こんなとこかな。優先順ではあるがa.とb.は同格だ。それから5万円は出したくない。
現用機は90年6月に買った東芝のパブリックで,c.・d.・e.を満たす。12万円くらいのを展示現品598で購ったものだ。ひとり暮らしを始めて幾星霜,初めて引いた電話でもある。a.やb.の機能は望んでもまだ市販されていなかった。
a.とb.を兼ね備えた機械は意外なことに存在しない。激安店ともデパートともつかない店の電器フロアで途方に暮れてしまった。ここでどっちを落とすかと悩むとき,a.とb.の闘いだとほとんどサンヨーとシャープの一騎打ちといった様相を呈する。おれの抱かれたい企業ランキングならシャープに軍配が上がるけれども僅差であるし高位じゃない。割と純粋に機能で決めることになる。この店では展示品を好きなだけいじれ,買うと決めたらそこに備えられた名刺大のPOSカードをレジへ持っていく方式である。すばらしいことに各機器のマニュアルも閲覧用に置いてある。
いやー悩んだ悩んだ。a.またはb.だけの機種なら3万円台前半であり,a.またはb.+コウドレス子機のが45k円台後半からあった。実のところa.はコウドレス受話器で充分代替できる気がする。b.について言えばデジカメで撮影してPCからファクス送信するほうがオトコマエであろう。
しかしなあデジカメとビデオ キャプチャ ボウドは近近かうつもりなんだからb.のトマソン化は必至だよなあ。でもa.だけっていうよりひと踏ん張りしてb.+コウドレスだよなあ。f.もあるしなあ。こいつはお買い得だけどNECだから厭だなあ。この辺のハンディスキャナはコピイしかできないんだよなあ。それなら意味ないなあ。送信もできる奴はメモリ保存するから5万円こえちゃうんだよなあ。このa.の奴は安いよなあ,所ジョージだしなあ。えーい,フル装備の機械をいま買えないんなら後で拡張すりゃあ良いや。スキャナはやっぱりPCの世界だ。どうでもコウドレスが欲しけりゃ単体の電話機を足すんだな。とにかくいちばん安いのにしよう,a.・c.・e.で3万2000円だもんね。
たっぷり半時間は費やしたと思う。半ば思考停止,ようやく踏ん切ってレジに向かいPOSカードを差し出すと店員のたまわく「あ,在庫きらしてます」。わー。これには店内に居た客全員が転けた。『くっしゃみ講釈』の八百屋かおまえは。あんまりな展開に腰が砕け,唐辛子も買わずに帰った。
1店や2店では現在出荷されている機種をすべて見ることはできない。ムラタかブラザーがどんぴしゃなのを作ってやしないかと町の電器屋さんも覗いてみることにした。あっ何ということだ,狭い店の片隅に昨日あきらめた機械が298で置いてある。うぉうおーと叫んで(心の中でね)すかさず浚った。
サンヨーはSFX-S1TA,30×23×13cm^3のA4ファイル サイズ・3.3kgである。B4を扱うのに最小だろう,非常にコンパクトだ。一度に5枚セットでき,標準品位で毎分A4紙4枚を送信する。最大9600bpsと書いてあるのが何だかおかしい。「手ぶら」なのは良いが,d.に反して留守電つき。送信電話番号を頻度順に憶えていて再利用でき,外出先からの留守電操作やポーリング受信といった諸諸の付加機能のほか日本テレコムの回線と比較して安いほうを遣う選択機能まである。こんなのが3万しないとはあたしゃ呆れる。
おもしろいのは「きっかけ」ボタンという奴で,押すと「ヒンコン・ヒンコン」と貧困なドアの呼び出し音が鳴る。うっかり厭な奴の電話に出てしまったらおもむろにこれを用い「あっ,誰か来たみたい」などと嘘をついて切ってしまおうと言うものだ。憎いことにウチの呼び鈴と同じ音色だった。なななな何て便利なんだ。あ,ここに書いたらあかんがな。またブラックリストやワイトリストを作って受信する電話番号を制限することもできる。あ,これも書いたらあかんがな。
さて肝心の手ぶら機能であるがどうもよく判らない。と言うのは掛ける度に調子が違うのだ。受信と送信と2chじゃないようで,あっちとこっちと同時に喋っていると相手の声はぶつ切れで聞こえる。0.n秒かでスイッチングしている感じだ。このぶつ切れ具合が毎度ことなるんだな。こちらの暗騒音を拾うんだろうと思ってテレビやエアコンを消してみたりマイク孔を塞いでみたりしても駄目なときは駄目。翻ってステレオ鳴らしまくりでスムースなこともある。スピーカ周りの接触不良かな。なまじ「手ぶら」があるもんでオンフックは省略されている。時報や天気予報もはらはらしながら静かーに拝聴せねばならん。
個人でファクスなんて何に使うのと5年半前からさんざ言われた。留守電なしにファクスだったからウチに電話を掛けると取り敢えず10円おち,そうしてファクススタンバイと知れる。けっこう評判わるかったのだ。だっておれ留守電きらいなんだもんよ。
このごろ電話機を買い換えようと言う人は大抵ファクス電話にするから利用率が上がってきている。でもまぁ本屋やレコード屋に発注しといたブツの入荷のお知らせを受けるのが多いかな。おれから発信するときは相手が居ようが居まいがいきなり走り書きのメモを送る。よくやるのは好きなマンガの1頁を破りとってフキダシの台詞を直し──修正液とボールペンでね──登場人物に用件を話させるという手法だ。もちろん如何に元のキャラと台詞を活かすかが勝負で──誰との勝負だ──うまくはまると莫迦受けする。やってみなさい。
そうだ,非常に奇妙なことがあったのだ。本体のカレンダと時計を設定しようとしたその時に年月日時分まで合っていたのである。ほんの数秒の誤差だ。電源コードを差し込みバックアップ用の電池を入れてモジュラケイブルを繋ぎ,すぐさま117を押したんで通電した瞬間の表示は見ていなかった。最初に時報を聞いたのは確かなんだけど,まーさか電話機がこれを聞き分けて自動設定するわきゃんない,おおお。1月12日の20時などという時刻だったのだ,電源投入・計時開始で偶然かさなる日時ではない。展示現品じゃないから予め合わせてあったはずがない。自分では絶対にセットしなかったし開包段階で如何なる電源も入っていなかった。不思議でしようがない。中のこびとさん,腕時計でもしてるのか。


仕事場のPCにはMosaicが入っており──ディスプレイの一部に掛かっているのではないぞ──いつでもWWWを見ほうだいだ。
むろんダイアルアップなどではなく,勤め先のメイカのサーヴァから外海に出ていける。昨今ゲイムは固より仕事上役立つ便利ユティリティであっても各自PCに無断でインストールすることは固く戒められているのであるが,これは頼みもしないのにおれのような外注作業員にまで配布されてきた。どうぞお遣いということらしい。太っ腹。
非常に線が細くマシンも非力なのでたっぷり待たされぽんぽん落ちるがタダより安い物は無い。英文のペイジもじっくり読め,欲しいフリーソフトがあると仕事場で当たりを付けておいて──そのURLをASAHIのおれのIDにメールし──ウチに帰って最短時間でダウンロウドてなことができる。仕事の上では全く遣わない。
いつ誰が何分つかったか調べる気になれば調べられるのだろうが,デフォルトのホウムペイジからURLの直接入力でどこへでも行けて(FTPは駄目) YAHOOもリンクしている。もしお咎めがあっても,つい出来心でで済むだろう。裏は花色木綿
これでインタネットの何たるかを少しく学習できた。今日ここで言いたいのはぁ,インタネットの3大要素て別に無いやんか。ウチでもASAHIへのPPP接続に成功した。テレホーダイの都合があるんでAラインを採り,BBSでもPPPでも同じ電話番号をコールしている。
しかしながらおれの14kbpsのモデムではとてもじゃないが遅くてかなわんということが判ってしまった。Warpのおまけに付いているWebブラウザはMosaicと同じで,画像を全部とりこんでしまうまで画面が固まっている。画像をロウドしなければ随分マシになるんだけど,それでは魅力半減だ。てな次第で,ISDNについて研究してみたい。

不一

1996年1月23日


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今日ここで…
フジテレビ『ごっつええ感じ』の『MR.BATAR』。松本は外国人(白人か黒人)が外国人であるというだけで持てることがよほど悔しいと見える。

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くっしゃみ講釈
講釈師がそれと知らずして阿呆の恋路を邪魔してしまい,寄席興業の最中に阿呆から報復を受ける噺。サゲは超難解,解説なしに理解することは現代人には不可能である。おれの聞いた中では意外や笑福亭鶴光のが一番おもしろい。

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るわきゃんない,おおお
Southern All Stars『My Foreplay Music』の1節。Foreplayなんつって通じるのかな。よく聞けば猫の水のむ音でなし(古川柳)

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裏は花色木綿
 『出来心』のギャグ。空き巣ねらいに入られた家賃滞納男(盗られる物など何も無い)がこれ幸いと大家への言い訳に遣う噺。

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