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神奈川月記9507b

冠省
日立は手持ちのフラッシュ メモリを使いつくし──こういうのに限って自分で作っていない──この夏のドル箱PHS受話器を暫く製造できなくなった。か・恰好悪ぅ。
この分ではと絶望感に囚われていたところへ,FLORA500TB今度の日曜日に送るから宜しくねんとの連絡が入る。納品まで1箇月というのは昨今なかなか良い成績らしい。ま,努力は買おう。
500TBはディスプレイ別売であって,おれは15in.のを別買せんとしていた。連絡の2日前に価格改訂があったそうで,納期遅れの詫びというのではなかろうが,1万5800円の追加で17in.のに換えられると言う。どうする。即答しなければ出荷が3日おそくなる。
聞くところによれば幸せは禿頭に一房の弁髪を戴き最大戦速で傍らを駆け抜ける。素早くかつ狙い過たず髪をつかまねば山のあなたの空とおくへ走り去り,ポン酢醤油のある家へ帰ってしまうのだ。15in.の選択は主として置き場所の情事いや事情からだったのだけれど,えーい,何とかならぁ,17in.戴きましょう。
実際には土曜日に来た。開梱ももどかしくセットアップ。PS/V Visionを追い立て,安物のガラステイブルの上にディスプレイとキイボウド・左横にミニタワの本体を床置きだ。マウスは右側の床に電卓埋め込みのマウスパッド(FLORAのおまけ)を敷いて操作する。キイボウドでは手首の位置が上がりマウスでは肘が落ち,猫背がしんどい。机と椅子の購入,再考の要あり。
ミニ タワのシャーシ・17in.ディスプレイとも堂堂たる体躯で好もしい。キイボウドは貧弱な感じだがタッチは軽く,僅かに粘る。リブートのスイッチが電源スイッチと同格に与えられており,うっかり触りそうで恐い。入力禁止の施錠あり。ハードウェアマニュアルが非常に丁寧な内容で,後の再設定の際おおいに助かった。
日立はロゴを変えたのか,灯台の地図記号に亀の子を載せたようなマークが消えている。あんな100年ちかいようなロゴを捨てるのは愚策であるぞ。
CREATIVE(SoundBlasterの会社)ブランドのアンプ入りスピーカが外付けで付いている。異様な軽さである。おれは長岡鉄男を師と仰ぐ「重くて硬いの偉い主義」であるから,こんな物に満足するわけにはいかない。ま,Visionの内蔵のよりはマシだが,いっそ付属しないほうが別途まともな物を買い足す踏ん切りがついて良かった。音質も吹けば飛ぶようなものだ。バスブースト必須。
さて肝心のスピードであるが,さすがにすばらしい。Windowsが立ち上がるまでの時間短縮は3分の2になった程度,しかしWinアプリの起動は呆気にとられるほど速い。スパンと開く。何のためらいもなくスクロールする。aviファイルがコマ落ちしない。うーん,キャロルからRX-7に乗り換えた気分だ。
尤もこのスピードは素直には喜べない。油の回らない荷物満載のリヤカーを不釣り合いに強力なエンジンで引きまわして,速い速いと喜んでいるような気がするのだ。問題はWarpである。
VisionからSCSIボードと外付けHDとを移植する。内蔵の730MB(Enhanced IDE・QUANTUMのLightening)とこの外付け340MBとで1070MB,ウチもいよいよGB(ギガ)である。
プリインストール モデルの常として730MBはまるごとCドラ1パーティションだ。これは放っといて340MBを皆HPFSフォーマットのWarpに充てよう。1年以上もつだろ。
WarpのインストールFDを突っ込んでしばし待つ。と,CD-ROM装置が見つかりませんでしたとのメセイジが出た。このWarpはCD版なので──CD版でも最初はFDを使うのだ──それが認識されないとなるとインストールを始めることさえできない。中途でフリーズしたのではないから,一所懸命やってみたもののWarpが適合ドライヴァを持っていなかったのだ。Ouch! 500TBのCD-ROMはサポート外製品か。
500TBの筐体を開けて型番のチェック。ミツミのCRMC-FX400と書いてある。Warpのマニュアルで要注意扱いのミツミ製品がいくつかあるけれども,本装置の記述は無い。リリース後の新製品かな。それなら専用のドライヴァを入手できなければおしまいだ。PeopleNiftyserveの会議室を探ってみたがそれらしいのは見当たらなんだ。くそ。しかし『OS/2 MAGAGINE』誌巻末に括弧つきで稼働機器一覧表に載っているのを発見,英語版Warpでは動いたらしい。それってんでIBMのファクスサーヴィスでもう少し詳しい一覧表を取り寄せ,必要なドライヴァを知る。ん? それならインストールFDに入ってるぞ。
こういう場合の処置は明らかにされている。FD内のシステム ファイルをいじってドライヴァのロウディング順を変え,不要なのを無効にする。駄目だった。縋る思いで雑誌付録のCD-ROMを漁り,最新版と思しき同名ドライヴァで更新,これでどうだ。やー,認識された認識された。ってWarp着手からここまでで4日たっておるのである。
やれやれ,外付けHDの初期化とパーティション設定に掛かる。この先頭にブートマネジャーを採り,残りはWarp用Dドライヴにしよう。これはWarpのインストーラで行なう。ブートマネジャーはPCのIPLのあと立ち上がり,DOSとWarpとどちらを遣うか選ぶ一種のメニュとなる。
ところがブーマネも取れなければインストール可能の設定も適わなかった。パーティションの作成と削除ができるばかりだ。パーティションを切っても「インストール可能」とならなければOSのインストール可能とならない。ただのデータ格納領域だ。
マニュアルを読み返したらブーマネはひとつ目のHD(ここでは内蔵Cドラ)にしか作れないことが解った。またOSは先頭1024シリンダ内に収めなければならないらしい。ところで1024シリンダって何バイトなのよ。
パーティションの切り消しができる以上インタフェイスに問題は無い。内蔵HD内で1024cyl使い切っていると見なければならぬ。えーと,ホストコンピュータだと1cyl 15trackで1trackがだいたい47KBなんだけど,あー,1024cylは722MBか。わあ,微妙なところですねえ。
CドラにDOSとWarpの共存(二重ブート)は可能だがHPFSフォーマットを遣えないのはおもしろくない。DOSの入るFATフォーマットではWarpの性能がやや落ちるのだ。ええー,んじゃCドラ割るのん。せっかくのプリインストールちゃらじゃんか。紙数が盡きた。以下,次号。

不一

1995年7月23日


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山のあなたの空とおく
えーと,誰の詩だっけ。三遊亭円歌? おれってほんと教養ねえなあ。

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ポン酢醤油のある家
明石家さんまのヒット曲,というかキッコーマンのヒットCF。おれの家にポン酢醤油など無い。

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長岡鉄男
AVの神様。と言うと巨根の持ち主みたいだけど,Audio Videoのほう。おれの敬愛する三賢人のひとり。大正15年うまれでもXデイはまだ先だろう。

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GB
非常に細かいことを言うと1GBは1073MBだから足りないのであるが。k(キロ)やM(メガ)は10の3乗ごとの補助単位名だから,本当は2進法のコンピュータ記憶容量に遣ってはいけないのだ。キロの場合2の10乗(1024)が1000に近いからってんで無理やり借りてるわけ(だから'K'も大文字)。

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written by nii. n