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神奈川月記9501

冠省
アイワがMDデッキを出してこないので怪訝に思っていたら,遅れた言い訳か妙な機能をみやげに付けて来た。
MDの録音時間は今のところ最大74分である。無論のことステレオであり,左右2チャンネルの音をリニアに並べて──だから非常に細かいことを言うと,ひとつの音を再生するとき右と左とで時間差が生じている,はず──録っている。右用の74分と左用の74分とが1枚のディスクに収まっているわけで,これをえいやとモノラル録音にしてしまえば148分分の情報を記録できる勘定だ。左右を同時に鳴らさないで順番に,出力だけ両チャンネルに渡してやれば良ろしい。
アイワ機の最大の特徴がこれで,同社の規格破りかと思ったらMDの基本仕様と言う。モノ録したディスクを従来デッキに掛けてもちゃんと倍密再生するそうだ。
まぁレンタルCDのコピイなんかじゃ無用の機能だね。ぱっと思いつく使途は2時間超級の退屈な会議録か。キイマンの発言に適宣トラックマークを打ち込んでおけば後の編集や原稿おこしが楽かもしれない。外にモノ音源でも構わないものとなると,さよう,落語がある。
落語を録音する媒体はカセットかMDに決めてある。カセットでも噺を途切れさせないとすれば最長が150分テイプの片面=75分間だ。現実におれの持つ噺で74分を越えるものは僅かにふたつ。いずれも圓生師で,『品川心中』は76分と55秒・『松葉屋瀬川』が83分37秒である。前者はCDだからノンストップ,後者は市販カセットであって遠慮無く途中で折り返してある。
こんなのが放送に載る気遣いは無いのだけれど,今後の救済策として長尺MDは悪くない。ただMDについておれはビクター機でないとまずいのよ。MDはトラック毎にタイトルを打ち込めるのだが,英数字の他にカナをサポートしているのは何故かビクターだけなのだ。これこそが規格破りなのかな。でも「シナガワシンジュウ(原文半角カナ)」ならまだしも「SINAGAWA SINZYU」なんてインディケイトされて許せますか,ああた。
待望のデイタMDはいざ出てみたらちょっと期待はずれだった。デイタMDに求められる最大の関心とは何か。音楽MDとの完全互換に決まっているではないか。音楽MDにデイタを入れられデイタMDに音楽を入れられるようでないと,何てかひってかひ,ずるい。FDの代わりならMOにだって務まる。デイタMDが128MBのMOをいくらか凌駕したところで──はて,230MBのMOドライヴに128MBディスクは掛かるんだろな──全く新しい媒体を採用する気にはならないぞ。バックアップ用に高品位MDを作るのは良えわい,ちょいとした受け渡し用に音楽用MDを使えたって良いやんか。そんなにエラレイトの上がるもんじゃないでしょ。
パソコンでオウディオやビデオの編集をコントロウルするようになるのは時間の問題だ。半年以内にデイタMDが定着しないとソニーはまた媒体の徒花を咲かせることになろう。


からあるのはあった。小学館『紅い花』とか『ゴルゴ13』とかあったよね。数年前にちくま文庫が創刊されるや水木しげるの古いのなんかが復刻されて喜んでいたら,いつのまにか『天才バカボン』と『どろろ』が文庫になっている。や,ありがたや。と思う間もなくこれを嚆矢にドドドドドドドという調子で作品が文庫化されるようになった。どどどどどういうこと?
文庫化されるのが玉石混淆で,どうも作品を吟味している様子がない。きっと版権を獲得できた順に垂れ流しているのだ。ちょっとでもヒットしたらすぐ真似するいつものパタンが見苦しいぞ。
文庫版のマンガはサイズの点から観賞には不利である。映画をテレビで観るのと同じで迫力が無惨なまでに減退してしまう。それでも絶版作品が復刻される分には諸手を挙げて賛成だ。愛蔵版とか言ってハードカヴァにしたのよりは読みやすくて好ましいしね。
いちばん嬉しかったのは大島弓子の『綿の国星』だな。文庫版ならあの忌まわしいビニルの封印が掛かってないんでまず中身を見られ,次いでさりげなく買える。おれも少女マンガに偏見を持っているクチで,名作と言われるものでも今さら手を出しにくいのよ。気掛かりなのは『綿の国星』4巻で全エピソードが網羅されているのかどうかだ。
おれ,リリースしてもらいたいマンガあるんよね。15年くらい前に少年マガジンでやってた『青春改札口』で,かざま鋭二だったと思うけどな。それから今を時めく小林よしのりの『異能戦士』・ジョージ秋山の『パットマンX』・関谷ひさしの『ストップ!にいちゃん』・吾妻ひでおの全部。原稿が残っているのかなあ。そう言えば江口寿史の『パパリンコ物語』は単行本になったことあるのかしらん。


時事ネタも入れとくかな。後で読み返すときに味がある。
94年は青森沖の地震で暮れ,八戸で震度7。核燃料サイクル施設は異状なしとの報告だ。本当か。横浜も長いストロウクでゆさゆさと揺れた。
いま考えた去年の五大ニューズ。社会党が政権を得た途端に変質して日本の野党は日本共産党(この組織だけは名前を変えた方が良いと思う)のみとなった。松本で毒ガスが生成され,宅八郎が道交法違反ごときで逮捕される(より悪質なビートたけしに比べて何たる待遇差だろう)。朝鮮人少女への迫害・ザイールへ自衛隊出兵。お先真っ暗・八方塞がりでござる。


何だ何だ何だちくしょう,またPCMプロセッサの調子がおかしくなったぞ。去年でたのと同じ症状だ。トラッキングエラばかりで録再ともまともに動かない。この野郎,クリスタル交換してやったじゃねーか,忘れたか。
おかげで圓生師は『紺屋高尾』を冒頭3分とり損ねた。1時間超級の完全版だったのに。慌ててMDに繋ぎ換えたんでい。莫迦。
PCM録音しといた落語やポップスは昨春いっぱい掛けてカセット乃至MDに落とし直しているから今後決定的に障碍となることはない。しかしベータカセットを使って最大5時間の一気録りができるPCMシステムはダビングマスタに打って付けなのである。3時間に渡る「ラジオ深夜便」の演芸特集などはMDでもカセットでも録りきれない。なるべくなら失いたくないんだ。
また直しに出すか,悔しいなあ。ソニーの野郎,1年足らずで壊れるような修理をするねい。前回の修理に対する保証期間の過ぎているのが憎らしいじゃねーかなあ。


えー,人間の縁というものは,不思議なもんですな。
新年から職場が変わって,と言っても前に居た所へ戻って,と言っても前のシステムをリファインするプロジェクトに移って,畢竟ぜんぜん知らないコトを新たに覚えることになりそうだ。こりゃ参ったね。
そこはひとりに1台パソコンが割り当てられる豪奢な環境であり,提出する文書はすべてWORDかEXCELで作成されねばならない。いずれも最新版が配布されている。文句たれつつもおれはWordPerfectを私用しているからWORDも一から学習だ。ちょうど表計算ソフトを物色中でEXCELを入れようか迷い道くねくねだった。そのうちMS OFFICEでも買うかなあ。だってEXCEL単体よりOFFICEパックの方が断然やすいんだもんよ。川崎の本屋さんに寄った帰り,小さなパソコン店が目に留まった。そうだBJプリンタのインクカートリジを買っとかなきゃ,秋葉原まで行くのん面倒臭いからORGANIZERがあったらついでに買っちゃおうかな。にゃっ,MS OFFICEありますね,しかも乗り換えパケイジその上CD-ROM版だあ。
MS OFFICEは正価7万8000円,これでも安いと言えば安いのだが,乗り換えパケイジだと4万円になる。買うときに他のワープロまたは表計算のアプリのユーザであることを証明する必要はない。ただし導入するマシンに他社製ソフト(対象アプリは箱に明記してある)が入っていないとOFFICEをインストールできない仕掛けだ,尤も既存のアプリが違法コピイのものであっても(多分)大丈夫なんだろが。あ,乗り換え版をインストールするからと言って乗り換えられるアプリが消去されてしまうようなコトはない。そのまま継続使用できるからご安心を。
すごーく悩んだけれど買っちゃった。んで,この月記を急遽WORDにコンヴァートして書いているところ。でも今回だけだ。いやぁ,正直言って(まだ?)WordPerfectの方が「日本語」ワープロらしいなあ。WORDは実質的に左横書き文書(まさにビジネス文書)しか相手にしてないみたいだ。個人が楽しみに綴る分にはおもしろみを欠く。
CD-ROM版にしてつくづく良かったと思うには,FDだとどうやら28枚組みらしい。それも本体だけで,付属フォントはFD6枚・FEPが2枚のようだ。CD内のディレクトリがそんなふうに分かれてた。そんなに差し替えるのはいやいやえん。CDドライヴ持っていない人はすぐ付けなさい,身のためだ。
MS OFFICEに付属のフォント3書体を載せようとしたら,Cドライヴがまた満杯となって失敗した。DOSとWINDOWSの外に大物というとWordPerfectくらいのもんなんだけどなあ。
また壁紙やスクリーンセイヴァを消し中小アプリの引っ越しをやって何とか押し込んだが,後はどうしようもないぞ。いっぺん大掃除("FDISK"してDOSから再インストール)するかなあ。IBMのCD ShowCaseに隠しファイルがあって「ファイルマネージャ」では消せなかったのが無性に腹立たしい。

不一

1995年1月6日


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圓生師
6代目 三遊亭圓生(故人)。古今亭志ん生と共に戦後を代表する不世出の名人。パンダのランランと同じ日に亡くなったので死亡記事の扱いが不当に小さかった。死因は弟子円楽の権謀に乗せられての過労死である(おれの解釈)。

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紅い花,ゴルゴ13,天才バカボン,どろろ
順につげ義春,さいとう・たかを,赤塚不二夫,手塚治虫の作品。

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少年マガジンでやってた『青春改札口』で,かざま鋭二だったと思う
少年マガジンは講談社の週刊マンガ雑誌。しげの秀一『バリバリ伝説』終了以来おれは買っていない。(97/08/05記)『青春改札口』はしのはら勉だった。(98.1/16記)

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ラジオ深夜便
NHKラジオ第1放送の夜通しぶっ続け帯番組。土曜25時過ぎに演芸特選をやっている。貴重なエアチェックソースである。(97/08/05記)

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迷い道くねくね
渡辺"ブルー"真知子のデビュ ヒット『迷い道』の一節。

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written by nii. n