神奈川月記9412b

冠省
32bitを舞台に家庭用ゲイム機のハードな戦い，例によって互換性無用のバトルロイヤルだ。
おれはよくゲイム小僧に間違われるのだけれども，反射神経はオジギ草のレヴェル・判断力はサル・記憶力はトリであって，殆ど全てのコンピュータゲイムにおいて落伍者である。古今東西The Best of Computer Gamesというと「スーパーマリオカート」に落ちつく。これは150ccクラスまで完全優勝の栄冠を勝ち得たからであって，調子に乗って買った「首都高バトル'94」などRX-7を駆りながら２代目キングを破ることもできずに挫折した。
マリオカートを制覇できたのは，たまたま暇と機会があって習熟でき「赤甲羅」のような逆転アイテムのあったお陰だ。もちろんゲイム自体の出来も良く，分けてもＢＧＭがすばらしい。ベストラインを１回でも外したらもう勝てない凡百のレイシングものと違って，好い加減なライン取りでも挽回が可能である。おとなが子供を相手にしても退屈しないようにという任天堂の配慮だろう，そう簡単には置いて行かれずに済む。エンディングロウルもセンス抜群。いやあ，ゲイムとはかくありたい。
今うちにあるＴＶゲイム関係はスーファミのみ。きっかけは「ジョジョの奇妙な冒険」のゲイム化である。原作に心酔するおれとしては買わずに居れん。ディオは割と簡単にやっつけてしまって「STAR FOX」「スーパーマリオカート」「ぎゅわんぶらぁ自己中心派」「ドラゴンクエストⅤ」「スーパーボンバーマン」「機動警察パトレイバー」「首都高バトル」と来たものの，完結できたのはマリオのほか自己中とＤＱⅤだけ。ＤＱⅤはエンディングの後も秘密（「ゲーマー」には常識以前なんだろが）の迷路を持っており，そっちのほうは未完である。明らかに適性が無い。ジョジョとパトを除いてみんな中古屋に売っ払ってしまった。機械そのものは戴き物なので捨てられない。残したソフトは原作関連のコレクションといった意味合いが強く，ゲイム自体はおれのようなへぼが見てもクソゲーである。
おもしろいのはやはり元来人間どうしでやるゲイムを移植したものだ。麻雀やオセロ・将棋の類である。おれはオセロとバックギャモンならめったやたらと強いが，将棋は飛車角・金銀落ちしてもらって手も無く負ける。碁に至っては白痴である。石の生き死にが皆目わからない。思うに19路四方の盤上に替わり番こに石を置いていくだけの，これ以上シンプルなルールはあり得ない。したがってツキや偶然のつけ入る余地の無いまことに厳しいゲイムである。
何を隠そう以前ファミコンに手を出したのは囲碁を覚えようとしたためだった。また日本囲碁連盟監修の通信教育を受講した身の上である。それでも頓挫した。もう１回トライすっかな。今からやってりゃ爺いになったとき町内チャンピオンくらいにはなれるだろ。
さて32bit機，どこがどうなろうと知ったこっちゃない。興味なし。１台しかないＴＶをゲイムと放送と切り替えるのは面倒くさいの10乗である。これからはどう考えてもパソコンでゲイムだろ。
去年の暮れに入れたPS/V VISIONは二度三度とモデルチェインジを繰り返し，今や性能1.5倍・価格は半分という体感格差になってしまった。バンドルソフトは実用的だしね。
For Windowsのアプリを選ぶ際Microsoft製でないものというのは，おれにとってかなり大きな要件である。ワープロ・表計算・ＲＤＢの３種の神器において彼の社はいずれもスーパヒットを放ち，連携の都合からしても彼の社で纏めれば間違いは無い。しかし１社に染まるのはおれの趣味でなく，ワープロはWordPerfect・表計算は無し・ＲＤＢはBorlandとうまくばらして八方美人に治めてやった。
そうしてMicrosoft抜きの連合軍を組織して悦に入っていたところがである，Novellを中心にWordPerfectとBorlandがつるみ，勝手にＭＳ包囲網を敷いてしまった。何てコトしやがる。結局１色に染まっちまったじゃねーか。これではいかん。飽くまでおれの意思で統治されねばならんのだ。
こうなるとExcel買うたろかとふと迷う。カセットやビデオのインデクスカードは表計算ソフトで作るほうが楽なんで安いのを物色中なのだが，非ＭＳに絞るとあまり良いのが無い。Lotusが名実ともに好敵手No.１なのだがいかんせん高価であり，どうも1-2-3は１表が最大256行らしくて，それでは実用にならんのよ。ワープロソフトには超高価ブランドの外に数千円のシンプルソフトも散見されるのであるが，表計算にはそうした小品佳作が見受けられない。最もパソコンらしいソフトであると思うのだが，選択枝は存外さびしいのだ。
商売柄おれは日立のワークステイションを多用するのだけれど，これに載るOFIS/POL（秀作である）という表計算ソフトと連携できそうなのが日立ダイレクトのメニュにあった。いっそ買っちまうか。しかしなあ，日立だからなあ，個人ユーズの使い勝手はちと期待できねーんだよなあ。
おれの中で32bitと来れば次世代ＯＳの話である。Windows 95には食指が動かなくて，今のところOS/2が最有力だな。PC DOS J6.3/Vを償却したと感じたらOS/2 Warp 3.0に移行・VISIONで暫く遣ってみてどうにも重いようならDELLのPentium機かＩＢＭのPower PC機に乗り換える，とまぁこういう青写真である。DOSよさらば。
とは言うもののDOS系の良い囲碁ソフトない？

てな次第でアーマライトM-16A1を入手した。
土曜日にわざわざ渋谷まで出張って──おれは置いてあると確実に判っている店に行く──フルセット・肩掛け用ストラップ・190連射マガジン（標準は60連射，実銃は30発である）・野戦用ローダ（ＢＢ弾補給具）・ＢＢ弾1000発を購う。ＢＢ弾は精度にうるさく，６mm・0.25ｇ弾が１発40銭である。本当はサイトスコウプも一所の予定だったのに，さくらやの仕入計画の甘さゆえマウントキットを得られなんだ。フルセットには本体のほか8.2Ｖバッテリと充電器・ローダ・弾づまりのメンテ棒・照準の調整ノブ・ＢＢ弾200発が付く。
中継基地にした仕事場でたまらず開梱して試射しようとしたら，バッテリが完全な未充電状態でうんともすんとも言わなかった。本体は実銃と同寸の982mmで，背負って単車で運べると踏んでいたのに箱込みだとヘルメットを大きく越えてちと危ない。箱は捨てて帰っても苦しうないが，いくら日没後とはいえ裸で（銃がね）走っていたら職質必至だ。窮して花鳥くん・風月くんのふたりにクルマで送ってもらった。な・なんて迷惑な奴。
重量は実銃より１kg弱かるく，それでも2.5kgあって片手に重い。正確な射撃にタフな肉体が不可欠であることが実感される。眼前ではプラスティックの地が見えてモデルガンと知れるが，フルスケイルのボディはかなりの迫力だ。合州国でこれを持ち歩いたら直ちに本物で迎撃されるに違いない。標準装備のマガジンはグリップより下にはみ出してしまい，オプションのショートタイプの方が扱いやすい。
無知を露呈するに，おれは「アーマライト」が銃の名前と思っていた。ありゃ社名なのね。Fairchild社を親会社に持つArmalight社が開発したAR-15の製造権を，Colt社が買い取ってM-16と名付けたのだそうだ。恐らく世界中に最も普及しているライフルだろう。初代の量産開始はもう30年以上も前なのである。
寝坊して１時間過充電したバッテリをストックに収納しての試射。安全装置は勿論あり，セミオートで単発・オートで連射できる。わあっ。あ・危ないぞ，これ。段ボールやスチロールを苦もなく貫通しスチール缶は弾型に凹む。オートでは14秒で190弾うちつくし，着弾の纏まりが想像以上に良い。肉厚のスチロールを的にするとＢＢ弾どうしが激突してカチ割れる。動作音が大きく，ダカダカいう音は実銃を思わせ近所に気兼ねだ。如何にも良からぬコトをしている気にさせる。射撃の反動は無いに等しい。はっきり言って殺傷力があり，鼠くらいならきっと殺せるぞ。
電動ガンはユニットの小型化が課題であろう。拳銃だとまだ苦しい（オプション装備ふうに擬装したのが一応ある）。実用的なのはやはりライフルやサブマシンガンだ。
東京マルイのエアガンにはホップアップシステムと称する弾道補正機構が組み込まれている。ＢＢ弾は球形なので気流抵抗による失速が早い。そこで弾に回転(バックスピン)を与え，浮力を付けて有効射程距離を延ばそうというものである。スピンの強度は可変。ここで射出パワを上げないで射程を延ばしたところがミソである。玩具の性格上メイカは安全対策に非常に気を配っている。合州国に輸出してあげたらどうだろう。
えっと，ホップさせるにはＢＢ弾が或る程度いびつでないといけない筈であるが，一方で直進弾道を求めるに真球度が高くあるべきだ。その辺の兼ね合いはどうなってるのかな。

てなコトを言っていたら，来たよ来ました。ＩＢＭからVisionグレイドアップのお誘いだ。
これ，なかなかすばらしいね。初期型のVisionを最新型のそれと同等のスペックにしておまけソフトを付ける（MS-Worksは無しね）サーヴィスである。こけっこう安い。宅集配のための基本料が１万5000円，これにバックアップCD-ROMが付く。あとはCPUをSLC2(66MHz)に換装するのに１万円・内蔵ＨＤの500MB化に３万円・ＴＶチューナボウドに２万9000円・MPEGボウドに４万6000円の工賃込み費用が発生する。基本料金は集配の度に掛かるのでなるべく１度で済ませたい。
どうしようかな。40秒考えた末に何もしないことに決めた。まず第一におれが後から追加したメモリとSCSIボウドを外すのが面倒臭い。CPU換装はクロックが上がるだけでコプロは付かない・チューナは要らん・MPEGはまだ早い。２週間もマシンが無いと寂しい。
本当はCD-ROMにバンドルされる「筆ぐるめ」のせいだったりする。おれ，もう「筆まめ」を正規に入れてるんよね。ダブるのは精神衛生上よろしくない。近頃はやたらとアプリをおまけに付けてあるんで，かえって手控えたくなる。そのぶん本体を安くしてちょうだいよ。

前のプロジェクトで一所だった甘木が社運を憂いて転職することになり，その送別会に行って来た。会社関係の集まりには高率で拒絶反応を示すおれであるが，これは気にくわぬ奴がひとりも居ない有志の会である。土曜日夜の有楽町は愚か者どもでいっぱいだ。会は17時から24時まで盛況でまことにあらまほしいものであった。
ただし問題がひとつ残った。グリーンの綿パンにグリーンのスウェタ・グリーンのダウン・ブラウンのトレッキングシューズという出で立ちにCAMELで貰った帽子を被っておれが到着したところ甘木の野郎開口一番，「ＰＫＦご苦労さまです」とかましてくれた。アーミィ入っているそうである。わお。
おれは兵器は好きだが軍隊は大嫌いである。自衛隊にも違憲性を感じているのにアーミィまで言われては適わない。この組み合わせ，扮装解決の手段としては永久にこれを放棄しよう。
この日に着ていたのは下着の半袖シャツを入れて上４枚である。おれは普通のつもりでいるのに甘木は厳冬期でも３枚しか着ないと言う。え，ブルゾンやジャケットの下にスウェタ着ないのん。おれなんざバイクに乗るときにゃ更にベストも入れて，なんならウインドブレイカも追加するぞ。下はパンツ（おれはブリーフ派である）とジーンズだけだけどな。
この時期仕事へ行くにはシャツとＹシャツとベストとスーツで，コートは無しだ。魔法の絨毯みたいな厚手のウールは持っているのだけれど，重いんでなるべく着たくない。また今ごろそんなのを着ていたら雪が降った折りに凍死する。薄手の綿コートでも買えば良いのだろうが安っぽいデザインのばかりで，サラリーマンみたいで厭なのだ。

全く酷い１年だった。去年はもっと悪かった。おれの半生で文句無く最低最悪の2年間だ。なべて事態が好転しますように。世界に平和を。星に願いを。すべての人の心に花を。おれに愛を。
某信用調査会社のシステム開発に回されてあまりのキビしさに身の危険を感じ，辞めさせろと喚き出社拒否を繰り返ししてようやく離れることになった。１年掛かりである。嬉しい嬉しい。で，次はどこへ行けば良いの。てめえが前に居たとこだ。そ・そうなん。
新年から仕事場は大森に，と思ったら鹿島田に移り，通勤時間は半減する。おれの属する会社からは単独で行くのでこれも嬉しい嬉しい。
おとなじゃねえなあ。

不一

1994年12月24日

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・世界に平和を
望み薄である。

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・星に願いを
カーペンターズにもあったような気がしますが，ここはアグネスチャンのヒット曲。詞は松本隆かな。

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・すべての人の心に花を
喜納昌吉＆チャンプルーズの名曲。カラオケで唄いたいが難しい。

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・おれに愛を
望み薄である。

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神奈川月記9412b

written by nii. n