神奈川月記9408

前月 目次 次月

冠省

【前号までの粗筋】
世界征服を目論むIBM-Microsoft軍団がいよいよ日本に魔の手を伸ばしてきた。ワード男・エクセル男らの猛攻に日本は大ピンチ! どうしたんだ,一太郎。一太郎がやらねば誰がやる。そんなことよりおれのウチではHDが急速に底を盡きつつあるのだった。

違法コピイはいかんと言うのに。いくら普段は遣っていないと抗弁しても,持っているなら即ち有罪だ。猫糞した100万円を銀行に預けているのと同じである。
犯罪行為に依らないタダのソフトというものはある。所謂フリーソフトとソフトハウスが宣伝のために配布している体験版・デモソフトという奴だ。
フリーソフトというのは一個人ないしグルウプが営利を目的としないで作ったもので,利用も配布も転載も自由で無料なソフトウェアのことである。詰めてフリーウェアとも言う。ソースの改変さえ自由な場合も多く,ただし飽くまでも著作権は制作者にあるから改変板を配布するのは御法度だ。言うなればコンピュータウイルスもフリーソフトであるが,これは勘定に入れない。厚意とささやかな自己顕示欲に支えられた成果物のみを指す。
必然的に玉石混淆であり,玉のほうは何十万円もするような市販ソフトに遜色ない。何とならば優れた設計者は職場でも家庭でも優れた設計をするからだ。フリーソフト作家は恐らく大半が同時にプロのソフト開発者であろう。
JW-CADという極めて優秀なフリーソフトに対してCAD協会が配布さし止めを提訴したことがある。あんな(凄い)のをタダで配るのは営業妨害であると言うのだ。非常に解りやすい事件なので大いに物議を醸し,ひと頃パソコン雑誌の投稿欄を賑わした。押し並べてプロならアマに負けない製品を作れと協会をけなしており,提訴を擁護したのはひとつも無い。でもまぁおれ,どっちの言い分も解るんよね。
ファイルの圧縮/伸長ユティリティLHAなどはもはや日本標準のアーカイヴァであり,少なからぬ市販ソフトがこれを遣ってFDに収めている。V-TEXTというDOSのテキスト表示モジュールはIBMがPC DOS 6.1/Vから正式に採用した。もしフリーにしていなければ作者は今ごろ億万長者まちがいなしだ。だからと言うのじゃなかろうが,最近はちょっとだけおカネちょうだいと言うソフトが増えている。これがシェアウェアである。ダウンロウドなり雑誌の付録なりで暫く遣ってみて気に入ったら作者に送金し,正式ユーザとして登録してもらう。作者は金を取る以上バグ潰しやヴァージョンナップを精力的にこなさなければならないし,ユーザサポウトにも責任がある。それでいて料金は数百円から数千円,お気付きの通り善意のシステム運営であるから無断使用していても発覚しない。シェアウェアの泣き所ではある。
さて,フリーソフト。まず先述のLHAは真っ先に入手すること。これが無ければ始まらない。おれが唯一ダウンロウドしてきたのがMopTermという通信ソフト。外はすべて雑誌の付録である。ビットマップ以外の画像ファイルを開けられるFARBに電子ブックを読めるDDWINがあり,使用可能なメモリ量をリアルタイムに監視するFREEMEMとCDプレイヤcccdpがある。cccdpはメディアプレーヤなんかと違ってカーコンポのCDを摸した恰好いい奴だ。メディアプレーヤと言えばVideo for Windowsのランタイム モジュールも入れてある。あとはDOS用の1ドライヴFDコピイ。こうして見るとあんまり入ってないねえ。何がHDを圧迫してるかなあ。シェアウェアでは秀タームを買おうかと考えている。MopTermはおれの好みじゃなかったのね。
体験版というのは市販ソフトの触りの部分を開発元が無償で提供するものだ。そのまま使えては誰も正式版を買ってくれないので,ワープロソフトなら作った文書を印刷できないとか格納できないとか必ず何らかの致命的な制約を付けてある。上のVideo for Windowsもこれであり,動画ファイルを再生するばかりで編集や記録はできない。尤もフォトヴューワもそうだが莫迦でかい映像ファイルを加工して残したりしたらHDが堪らない。CD-ROMからそのつど表示する分には体験版で充分なのである。
パソコン雑誌も近頃はCD-ROMを付録に付けないと売れないそうで,こうした体験版・フリーソフト・動画ファイル・画像ファイル,盛り沢山でご苦労なことだ。
欲しいユーティリティがあるんだけど,これはどこにも見つけていない。外字作成エディタだ。Windowsバンドルの外字エディタは使いにくい。キャノワードにあったような半角自動圧縮の機能のあるのが良いのだが。それこそ自分で作れりゃ良いんだけどね。
どう気を付けようとファイルは増えていくものなので,もうHDの増設を決意した。目標は510MBである。現状170MBの200%アップ。Visionの場合はSCSIのボウドが別途必要となる。ついでにコプロも付けたいな。


カタナ欲しいっす。
ウチの前の道路は国道15号線またの名を京浜1号・人呼んで**通である。近所は広広としたまことに立派な歩道で,おれが単車を置いても余裕綽綽だ。横浜市政の良識を体現するものと言えよう。
ところが先日共同溝の工事をするからバイクをどけろと言ってきた。うぬ? 厭な予感がするので見張っていると,果たして歩道を半分に削ってけつかる。車線を増やそうてえ腹か。はらはらはら,政道地に堕ちたり。
おれは友達が居ないのでジェベ公を預ける宛てが無い。止むなく仕事場のある代沢まで移動してゲリラ駐輪している。起点が自室でないとどうも出かける気にならないもので,もう3週間も乗っていない。
酷薄なおれの心はジェベ公に乗りたいなあからバイクに乗りたいなあへスライドし,どんなバイクが良いかなあとドリフトを起こした。そこへ自賠責保険の期限切れ通知のはがきが届く。はて,ジェベ公かったのは11月だぜ,今頃なに言ってんだ。あ,これはコダチのものだ。そうだ,コダチは3年の自賠責に入っていたのに1年ちょいで売り飛ばしたんだった。そう思ったらカタナに乗りたいなあとハイサイド。ここにおいて,Operation K2を決意した。
K作戦には70万円かかることが判っている。ジェベ公が幾らに売れるか知らないが,今すぐという訳には行かない。ジェベ公の自賠責の切れる12月が好機だ。
250ccや400ccで再販されたところからおれはカタナが街中に溢れかえるものと踏んでいた。それがどうも爆発的なヒットとまでは行かなかったようである。あんな恰好わるいゼファーが一番人気と聞いて,おれは世の中を慷慨する。
カタナをモータショウに出展したとき5点法で採点してくれろとスズキはアンケイトを採っている。評点は1か5のどちらかで,中間点を付けた票はほとんど無かったそうだ。インパクトを求めたデザインにおいてこれ以上の成功は無い。
法的におれの乗れる中型に限ってもSRX4やグースの350といった好もしいバイクはある。しかしカタナのある以上どうしようもなく次善であってカタナの前にでることはできない。しかも(技量と経済力からして)おれに適した250ccにもカタナはあり,更に更におれはこの250カタナが一番すきなのである。
もし250カタナが生産完了にでもなれば即決であるが,1100が復刻されたばかりで可能性は著しく低い。ただカタナシリーズのラインナップ完成ということで──750が残ってるけど──次の展開が見られるかもしれない。ファルコンが出ると良いなあ。


Code 名称 実施時期 費用(円) 成否
H 上中里→横浜お引っ越し 90/05 約50万
C コンタクト レンズ装着 91/05 約10万 ×
K GSX250S KATANA購入 91/06 約70万
P PC導入 93/11 約40万
M MD導入 94/03 約10万
K2 GSX400S KATANA購入 94/11? 推定60万
P2 ノウトPC購入 95/上? 推定40万
8 Hi8導入 95/下? 推定15万

の掛かる作戦が目白押しだ。ちょっと表にしてみましょう。
8作戦は過去何度も提示されては断念されてきた。が,今回おれは本気である。
ってもベータの拡大停止による代替案,これにはMDが絡んでいる。MD導入はPCMプロセッサ+ベータによる録音の拡大停止が絡んでいるわけで,回る回る回る因果は糸車・親の因果が子に報い・アイちゃんやーい,あいあーい
ベータ カセットはもう買わないことにした。場所を取りすぎるからである(況やVHSをや)。本来なら直ちに8mmを入れねばならんところだけれど,MDコピイのお陰でPCM媒体だったベータが何十巻となく空いている。軽く1年分はある。だからHi8の導入は急がなくて良い。来年あたり録再LDが出やしないかと淡い期待をしている。出ればすかさずOperation Lに差し替えだ。
ノウトPCも魅力があってうずうずする。ThinkPad-555BJを思っていたら,あいつは頗る高い。プリンタなら別にBJ Lite(実売3万円を割る)か何かを充てても良いんで,今ならエプソンのNT-500とか東芝のDynabook SSなどの国産DOS/V機がええ感じ。ただ今の職場だと殆ど遣い道は無い。したがってこれも急がない。
Operationを組むほどではないが,欲しいのがモデルガンだ。傑作突撃ライフルM-16である。どう傑作と言ってゴルゴがこれの改造銃を採用しているのだ。
射程距離という点では外にいくらも適した銃はある。しかしゴルゴのばあい狙撃のさなか目の前に別の敵が躍り込んでくる可能性を無視できない。いざそうなって単発の狙撃銃より持っていなかったらおしまいだ,連載記録ストップである。
おれも商売がら敵が多いので中・近距離重視の万能銃を採りたい。古いモデルガンファンには理解しにくいが,ガスでもヴォルトアクションでもない電動ガンである。電気でどうやって射出するのかと思うと,モウタで圧搾ポンプを作動させるらしい。それで1分間に2000発のBB弾を乱射できる。近頃はBB弾も腐食プラスティックのエコ製品だそうだ。
これが充電器つきフルセットで3万5000円くらい。ま,こういうのは思い立ったが吉日である。買いそびれたらまた何年か後になる。


ジェベ公は程なく5500kmを越えようかてな走行距離で,コダチの倍近いペイスで世界に影を落としている。月に300km弱,週末にしか乗れない状況でのこの踏破距離はかなりの成績ではなかろうか。静岡の三島へ鰻を食いに出掛けた時も──100miles鰻だね,恰好いい──猛暑と渋滞にもめげず,ジェベ公は全くダレることなく走りきった。箱根越えの気圧差にもびくともせず,しかもおれを(あまり)疲れさせない。もしコダチだったら背中と腰がへし折れていただろう。
ジェベを捨ててカタナを買う意義はどこにある。どこにも無い。こりゃ参ったね。こうなるとジェベ公を手放すのは罪に近い。さて,どうするかな。


近近(と言っても再来年頃)自動二輪の免許制度が改定されて,教習所で限定解除ができるようになるらしい。同時に高速道路でのふたり乗り解禁とか原付バイクの制限速度緩和とか積年の諸問題が十把一絡げに解決しそうである。
当局のこの突然の豹変は例によって外圧が掛かったためと言われている。曰く,日本で外国産の大型バイクが売れないのは限定解除試験が異常に難しくてライダが少ないからだ,何とかせえ。
外圧の存否や是非はともかく,多くのライダにとって歓迎すべき改訂であるのは論を待たない。ついでに車検制度も変わりそうで,甘木に拠れば現行中型免許の上限400ccまでは車検なしになる。さればおれの射程距離に400カタナも入ってくるわけで,10万円プラスでハイパワードカタナを入手できる。単に250カタナを買い直すのよりは嬉しい選択だ。
さあ,本当にどうしようかな。

草草

1994年8月12日


前月 目次 次月

フリーウェアとも言う
 「フリーウェア」はどこぞの登録商標なんだそうで,フリーソフトのつもりでこう言ってはいけないらしい。

戻る


ジェベ公
 当時のっていたスズキDJEBEL250のこと。

戻る


回る回る回る因果は糸車
 NHK人形劇『新八犬伝』で坂本九がこう唄っていた。

戻る


アイちゃんやーい,あいあーい
 これ,口に出してはいかんのかな。

戻る


written by nii. n