神奈川月記9404

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冠省
MDにかまけておると嫉妬に狂ったかHDがぐずりだしたのじゃ。容量がもう限界なのじゃな。
高校時分FMソースのヒット_パレイドをラジカセで作っていた頃から曲目の管理は頭痛の種じゃった。最初は記憶を頼りに,すぐにルーズリーフ(懐かしい)を台帳に録音済みのタイトルと演奏者を記録したものじゃて。パレイドである以上ダブりは許されんのじゃ。しかし素記憶は高高100曲が限度,ルーズリーフではソートができんから日を追って検索が辛くなる。全く電子化されるまでは棘の道だったのじゃ。
電化されたのは就職して随分たってから,ワープロも4代目・キャノワードα5SUPERになってからじゃ。と言うのもワープロに分類機能が載ったのが,市場が飽和して過当競争の始まった後のことだからじゃ。さっそくヒット_パレイドと落語の表形式ファイルを仕立てに掛かったわい。その内テレビのエアチェックが加わり預金の残高が加わりしての,面倒臭くて堪らんがやっておかんとライブラリの自慢もできやせん。やがて落語のライブラリで市販カセットとエアチェック_テイプとがバッティングを起こすようになってきての,表ファイルのメンテがわしの懐を左右するまでに成長したのじゃ。
更に電脳パソコン化したのは必然の流れじゃな。すぐに同時購入のワープロ_ソフトWordPerfectに予めDOS変換しておいたファイルを取り込んでのう。1ファイルに400タイトル足らずしか入らんかったキャノワードのファイルを,幾ら食っ付けても平然と飲み込むんじゃ。その度量の大きさにわしはいたく感服した。
ただのう,これではキャノの延長に過ぎんじゃろう。パソコンを活用しておるとは言えん。そこで表計算ソフトを物色しておったのじゃが,DBソフトの方が理に適うと気づいての。商売柄DBの扱いには慣れとるし,折りしもワープロ・表計算に継ぐ売れ線ソフトとしてのRDBが注目され始めたところじゃった。ええ時代じゃったのう。
迷った挙げ句ヒット確実のマイクロソフトは避けての,そこがわしの悪い癖なんじゃが,ボーランドのPARADOXに落ち着いた。新発売キャンペインで安かったしの。
表計算ソフトとDBソフトの間に何か明確な差異のあるわけではないんじゃ。一方にできることはもう一方にもできる。デイタに対する処理概念が違うだけじゃ。表計算はデイタを表に展開して計算をするんじゃが,DBはデイタをベイスにするんじゃな。なに,よう解らん?──じき解るようになろうよ,ほほほ。
PARADOXにデイタを転送するのは苦労した。ワープロ_ファイルで項目を分けるのには単にSPACEを挿入しておるだけだったのじゃ。これではPARADOXはセルの区別を付けられん。試行錯誤の末いったん表計算ソフトEXCELを経由すればDBフォーマットに近付けることが解った。その最中にメモリが足りんくなってのう,急遽増設を余儀なくされたんじゃ。わしゃもう駄目かと思うたよ。
いちおうDBを確定したら今度は分割と連結じゃ。大きくVisual系とAudio系に分けてきたDBを,落語・映画/ドラマ・音楽・ドキュメントのジャンル分けに換骨奪胎する計画じゃ。これまたカット&トライでようやく目処が付いた今日この頃,間違っても元のファイルを壊すわけには行かんから加工した新DBはぽんぽん複写して取っておく。これがHDを圧迫しおっての,先日とうとう「連続した領域を取れないからユーティリティでハードディスクを最適化してちょ」とメセイジが出てしもうた。
「最適化」。言わんとするところは解るのじゃ。HDの残容量はリアル_タイムに判るからの,1割きった時に不要なファイルをどんどん削除していった。今回は大鉈を振るっての,ナタ_デ_ココとばかりに,WordPerfect・EXCEL・PARADOXのSAMPLEやLESSONのファイルを消しわしの編集用ワーク_ファイルを消しWindowsの壁紙を消し,8000円もした熱帯魚鑑賞ソフト(DOS版じゃ)さえ捨ててしもうた。
そうして25MBまで空けてやったんじゃがの,それでは余り役に立たんのじゃ,殊にSWAPファイルにとってはの。SWAPはパソコンの処理速度に直結のファイルでのう,わしは8192KB割り当てとったんじゃがこないだ変えようとしたら2/3に減らされてしもうた。
ファイルを消してHDを空けてもファイルのあった場所が空くだけでの,総残量は増えても空き領域は細切れになっておるのじゃ。ところがSWAPは連続した空き領域にしか取れんのじゃな。「最適化」ちうとき,ファイルを詰め直してそうした空き領域をくっつけてやることも含まれとるんじゃよ。ファイルどうしの間隔も狭まるからアクセス速度も改善されるのじゃ。
ああ,最適化ユティリティが欲しいのう。圧縮せんでもええから再編成のソフトは欲しいぞ。そういうのはWinかDOSにバンドルされとると思うとったら,無いんじゃよこれが。聞けば2万円くらいするそうで,わしの経済力はここんとこ疲弊の一途じゃからの,贅沢なのか必要な投資なのか判断の難しいところじゃよ,とほほ。


じらされて透明な液が滲み出てきたころソニーSSから連絡があった。相変わらずあほな文章でおもしろいからまた全文掲載しよう。

先日,共給困難とご連絡した部品が入荷しましたので手直し補修でなく交換修理をいたしました。
大変日数がかかりご迷惑をおかけし申し訳けございませんでした。

「共給」やない,「供給」や。「申し訳け」て何じゃい,ワケケてどないすんねん。まぁ良ろし。これで4万4100回の報復サンプリングは回避され,100時間のPCMが救われた。
修理代は8137円,さすがにクリスタルを交換すると高いなぁ。と,明細をよく見ると使用部品代の欄に「スイショウ_シンドウシ 600」「FC54M 400」としてある。やっすいんやんけ。これに技術料6900円と消費税237円とが合体して先の金額となる。
壊れるような技術で金とるなと逆恨みしたくもなるけれど,いや,直していただければ結構でございます。FC54Mは──摘出部品が小袋入りで筐体に貼りつけてあった。でも返してくれてもどうしようもないぞ。産業廃棄物だから捨てにくいじゃねーか──945系のトランジスタ(これこそ懐かしいですねえ)似だが2本脚で,何のパーツだか見当も付かない。
ヘッドフォン_ヴォリウムにバリ入っとるから交換してくれと書いといたのは逆に手直しで済んどった。おれはソニーの技術力がよく解らない。


またMDにかまける。
録ってばかりでは何なんで,MDソフトを聴いてみよう。ただしろくなのは出ていない,熟慮のすえ浜田省吾の『Illumination』に致す。嘗てのおれのフェイヴァリット『涙あふれて』が入ってるからだ。本命はKyon^2のベスト盤なんだけど,これは甘木が買いそうだ。まぁだ泥棒根性が抜けんのだな。
78年録音を94年3月発売,税込み2800円である。「再96.3.20まで」の表示は2年後にオウプン価格になるということか。パケイジの過保護なプラケイスは9.2×9.2×1.2cm^3で,ライナ_ノウトの大きさに合わせた感じだ。ディスクの着脱はキャディのお陰でCDより遥かに容易で好もしい。
防塵シャターを片持ちにして表おもてを皆ジャケット写真に与える。ディスク本体に磁性体塗布面は無く,両面ともピカピカだ。MDソフトのディスクは正しく再生専用で,気に入らないからと言って潰し録音することはできないのである。
それはさて措き音は,悪いね。おれが4bit・4bitと思っているせいか,どうも詰まって聴こえる。切れも甘い。梯子競争じゃなかった障害物競争の梯子のひとつ窓に全員が突入して押し合いへし合いしているようだ。オリジナルのLPもCDも聴いちゃあいないが,記憶の海のFM放送の方がよほど伸び伸びしてたん。
おれが愚痴ると甘木は原曲のせいですと断定する。んじゃ取っ替えっこしてみようぜ,でも尾崎やKANなんか厭やだぞ。ドリカムです。たはっ。


八方手を盡くしたにも拘わらずHDの再編成ユティリティはパクれそうもない。自前で買うかしないといけねえ。安いのは6000円くらいであるそうだけどね,6000円あったらMDが5枚かえるなあと考える昨今なのよ。
ここでフト床に抛りっぱなしの封筒が目に留まる。中途で値上りを喫した料金受取人払のプレプリント封筒は宛名が日本アイ・ビー・エム情報システム株式会社だ。や,忘れかけてたDOSヴァージョン_アップのお誘いではないか。ひょっとして。
ひょっとしなかった。"SuperStor/DS"というのが付属してくるが,こいつはデイタ圧縮プログラムだ。おれのやりたいのはファイルの再配置であって圧縮ではない。惜しいなIBM,1本うれるチャンスだったのに。


MDはオウディオ媒体にして3台目の録再機であり,如何に銘機A-10と雖も接続する端子が無い。こりゃ参ったね。
いったいオウディオ_アンプとはTAPE1と2しか装備していないもので,3台目は皆さんどうしていらっしゃる。PREoutとMAINinでごまかそうとしたら,盛大にバズを拾っていて諦めた。いまのところTAPE1のoutをMDのinに,MDのoutから2番ビデオのLINE2in・LINE2outを経てAUXに戻している。したがってPCMプロセッサでは何も録れないしMD to カセットのダビングはできない。そうしたければいちいち繋ぎ換えることになる。面倒でも止むを得ない。
これを救うには端子をしこたま持つセレクタを入れてやるしかない。ビデオ音声も入れたいからAVセレクタが適当で,ナニ,カセットやなんかは映像端子を遊ばしときゃ良いのだ。カセット・PCM・MD・チューナ・CD・ビデオ2台の7系統,ビデオは多分もう1台くらい増えるから8系統あれば申し分ない。A-10をリタイアさせてオーディオテクニカのパワ_アンプ復活,という筋書きは実は6年来の懸案である。実現は難しい。
A-10が無くなるとまずレコードを聴けなくなる。どうせ聴いてやしない癖になどと言わないように。可能性の問題だ,不可能は辛い。第一もったいない。どうでもイコライザ/ヘッドアンプをあてがわんければならず,こりゃ非常に高く付く。10万ちかいのだ。それから8系統も入出力のあるセレクタ自体が存在しない。6台フル_マトリクスのはソニーにあるが(またおまえかい)そいつとて9万5000円だ。つまりA-10をリタイアさせるのに最低でも15万以上かかる勘定となり,それでテクニカに換えたのでは質的にも量(占有面積)的にも割に合わないのである。
セレクタの端子数を落としてA-10と並列タンデムさせれば良いのか。でもそれじゃまるっきり置き場が無いんだな。今だってPCMプロセッサとWOWWOWのデコーダとはラックの後ろで横縦ヨコタテになっておるのだ。
ところでおれはMDを完全にエムデーと発音しとるが,世間じゃエムディーなんだろな。きっと嘲われる。けれどこれはしかたがないのだ。
職業上アルファベットは絶対に誤解の無いよう伝統的発声音で示されることになっている。則ちエービーシーデーイーエフジーエッチアイジェーケーエルエムエヌオーピーキューアールエステーユーブイダブリュエックスワイゼットだ。
MT(Magnetic Tape)はエムテーでドラゴンボールZはドラゴンボールゼットである。恰好つけてVDT(Video Data Terminalをヴィーディーティと言ってはいけない。間違えてパンツを脱ぐ奴が出るからだ。ブイデーテー,譲ってもブイディーティーが望ましい。
一方就職以前に成立していたCDはシーディーだしΖガンダムはゼータガンダムである。CDは入社年度の微妙な違いによってシーデーを採る向きもある。しかし「Tシャツ」のような古語に業界発音を敷衍してテーシャツと口走るようならワーカ_ホリックと言われている。Ζガンダムをゼットガンダムと読んだ場合は,これは単なる無知である。

草草

1994年4月10日


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高校時分FMソースのヒット_パレイドをラジカセで作っていた頃
 When I young, I'd listen to the radio ですなあ。Carpentersの"YESTERDAY ONCE MORE"。

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嘗てのおれのフェイヴァリット
 Waiting for my favourite songs ですなあ。Carpentersの"YESTERDAY ONCE MORE"。

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ドラゴンボール
 鳥山明のマンガ。DBもアラレちゃんも鳥山の絵のうまいのは解るが,どうしてああまでヒットするのかは理解できん。

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Ζガンダム
 1stガンダムを初回放送の途中(ガルマの死後)から観始めて,非常に楽しみにしていたΖは第1回で厭んなって止めちゃった。

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written by nii.n