神奈川月記9404b

前月 目次 次月

冠省
去年の暮れからオペレイションP並びに同Mで,金をざんざか遣い過ぎてやしませんか。Oh oh, here she comes. Watch out boy, she'll chew you up. Oh oh, here shecomes! She's a deposit-eater.
それでも必要な物はどんどん手当てしていかないと失速してしまう。金の卵を生む鵞鳥には重金属の餌を与えねばならんのだ。何のことだ。でもこういう雰囲気でもう暫く注ぎ込むぞ。
4月の万単位買い物第1弾は中波専用のループ アンテナだあ。
おれの部屋は3階で見晴らし悪く傍らを首都高と京浜1号が駆け抜け,電波の受信については劣悪な環境だ。TV波は11階屋上の共同アンテナだから支障ないが,AM波・FM波はあっちこっちでどつき回された成れの果てである。うまくない。そのうえ壁は鉄筋コンクリ・窓は強化鋼線入りで,電磁波の遮蔽に積極的な構造なのだ。更にAM放送をステレオ対応にしてあるんで余計に入力感度を必要とする。優秀な中波アンテナが欲しいわんとずっとずっと思っていたのさ。
AMアンテナはいっちゃん安いビニール被覆線をだらしなく張れば良い筈なんで,3mでやってみたがチューナの付属アンテナのがよっぽどマシだった。3mやそこらじゃ駄目? だけどねえ,こと中波に限っては市販の外部アンテナなんてのが無いんだよ。TV・FM・短波のは売るほど売ってあるのにな。最もレシーヴァの多い中波のアンテナが不毛なのはどういう訳ぢゃ。誰そ,見たことのある者は居らぬか,誰そ。はっ,ソニーに1万円強の物がございます。何を申される,あれは短波用で中波は事のついで,いやさ,受けたくもないのに中波が勝手に引っ掛かって増幅されるに過ぎませぬ,それも微微たるもの,とてものこと推奨できませぬ。さやうか,うぬ,そちはソニーの間者か,首を刎ねい,この頃はやりの女の子はお尻の小さな女の子ぢゃ。それはハニーにござります。
そう言えばTVやFMのガイド誌だってそのガイド誌が欲しいくらい出ているのに──この頁みょうな譬えばっかりな──中波のは全く無い。出せばそこそこ当たるんじゃないかな。おれ,やっかな。新聞の日曜版ていどで良いんだぜ。
と,昨年から頼りにしている『特選街』誌にAMループ アンテナのキットを見付けた。ミズホ通信のUZ-8DXで,これが1万4500円。十字の木枠にアンテナ線を鳴門巻きするのだ。1辺70cmというから,でかいね。えいくそ,買ってしまえ。

第2弾。もうひとつえいくそと言ってOSを書き換えることにした。
DOSのヴァージョンナップである。IBMが連絡を寄越したときはうだうだ考えて見送ったのだが,やっぱりやる。ファイルの圧縮のみならずHDの最適化ユーティリティも付属してくることが判ったからだ。料金は1万2375円。秋葉原でアップデイト版を扱っていれば安く買えるのだろうが,確認していない。もうIBMの案内に従って申込書を返信してやった。これでIBM DOS J5.0/VがPC DOS J6.1/Vになる。「IBM〜」が「PC〜」に変わるのは単なる名称の変更で,IBMがOS開発から手を引くという話ではないよ。
一般にはあまり意識されないけれど,DOSには2種類ある。IBM DOSとMS-DOSだ。本当は3種類でDR DOSというのもあるのだが,もう気にしなくて良い。
インテルのCPUチップを使うIBMのパソコンのためにマイクロソフトの開発したOSがDOSである。IBM製マシンに搭載されるのを「IBM DOS」,マイクロソフトが互換機メイカにOEM供給したのを「MS-DOS」と呼ぶ。何だ,同じ物か。否,2代目以降のPC DOSはIBMの自主開発版であり,決してMS-DOSをそのまま載せたものではない。
とは言えIBM版とMS版はクロスライセンスに拠って充分に互換性が保たれ,ユーザはどちらを選んでも或るいは選ばされても問題は無かった。しかし今日IBMとマイクロソフトの蜜月は終わっている。OSに対する理念の違いから両者の協力体制は崩れてしまった。93年9月を以てクロスライセンスも切れ,以降更新されていない。両社は.1単位のヴァージョンナップ争いを繰り返し,DOSではマイクロソフトが,DOS/VではIBMが僅かづつリードしている。まさに龍虎相克の図だ。
おれがDOSを切り替えるのに,実は今は良いタイミングではない。合州国ではMS-DOS 6.2に対抗して既にPC DOS 6.3が登場,年内にPC DOS J6.3/Vが立ち上がるのはほぼ確実なのである。しかもPC DOS/Vはこれが最後とも言われている。マイクロソフトと訣別する腹だ。
ただ6.3/Vを待っていられない,ひたすらその一点で更新をする。ハードの不足をソフトで解決(軽減)しようという算段だ。目下HDの増設は負担が大きすぎるのである。それにHDに10万だすならMOを入れたいところだ。もし6.3/Vから7.0/Vとかに数字が上がったとして,そのときOSの主流はもうDOSではないだろう。6.1/Vで自主的打ち止めとしたいね。


PCMに録った落語をカセットに落とす作業をせっせと進めている。MDに入れるのが本筋だろうが,噺はより気楽にラジカセで聴きたいし逆にカセット収録のアルバムなんかは毎回シャフルしたいしで,カセットからお気に入りをMDへ移した後を落語で潰すことにしたのである。
久し振りに聴き返してみたカセットはどれもこれも劣化が酷く,これをダビングじゃあちょっと耐えがたいてのが多かった。そこで粒揃いでダビング劣化が惜しいようなのはカセットのまま残すと決め,CDで買い直しても構わんのはあっさり殺す。ひと握りの逸品と外は屑で構成さるるのを(大抵これだね)精選してMD化,これで行こう。
たちまち30余巻のカセットが空き,およそ150タイトルの噺が複写を待つ。PCMのVCRには今後のTVエアチェック落語が埋まっていくのだな。MDソフトはけっきょく感心しなかったので,再生専用メディアはCDかLDに固定する。
PCMだって噺ばかりではないんで,CD登場以前からの音楽物もちょぼちょぼある。荒井ユーミン様や陽水・元春のベスト盤だけどね。
おれは天才の煌めきといったものが好きなので,普通の奴が普通の歌(ありゃただの愚痴ではないか)を唄う昨今を殆ど憎んでいる。おれの好みは新しくても10年前のビートポップスであり,今となってはけっこう入手しにくいことが判った。NSPの『八月の空へ翔べ』を捜しているのだが──別にNSPがビートポップスだてんじゃないぞ──どこにも無い。「エ」のとこはXとEPOしか無いんよね。廃盤か或るいは端からCDにゃなっていないのか。RCの『EPLP』(これはビートポップスね)でさえ10軒目の発掘だった。音楽の趣味は比較的メジャ系だったのに,こうガキ化が進行してはお手上げだ。
PCMダビングに際して10幾つ消去する噺が出てきた。収録時に厳しく篩に掛けているつもりだが,初物や珍品には審査が甘い。後からもっと良いテイクを得たりあまりにつまらなかったりしたのは思い切りよく削除してしまう。楽太郎・円蔵(まだ円鏡の方が通りが良いかな)・小南・金馬(当代)あたりが落ちやすい。精進せよ。
潰せるカセットが払底してから長尺物が出たらどうしようかな。そうそう,こないだTDKにAD150があるのを見付けてびっくりしたぞ。あんまりびっくりしたんで1年振りに買ってしまった(自分用としては3年振り)。極めて薄いテイプベイスは常に向こうが透けて見える。巻き戻し終端でワカメにならないかと懸念したら,ちゃんとなった。わはは,ワカメの修繕は7年振りくらいだ。
ついでに落語DBにキイを設けたいんで,ひとつひとつの噺に番号を与える。媒体区分とVOL番とSEQ番を当てて全DB間でユニークにするのだ。音楽DB・演劇DBも同様で,気の遠くなるような時間と気の狂いそうな作業を伴い,1箇月かかってまだ振りつくしていない。そもそも登録しきっていないのだ。総数は5000件に及ぶのではないか。こうなるとRDBソフトも罪作りだな。
生MDは1箱5枚入りが5500円というところまで下がってきた。店に依るばらつきは相変わらずで,ピンとキリでは一枚あたり500円ちかい格差がある。下北沢はいさみ屋とキシフォートの熾烈な闘いのお陰で恐らく日本でいちばん安い。バーゲインは何故かAXIAばかりで,かっちょ良いTDKやビクターのは割高なのが残念だ。
MDについては朗報があるぞ。FDに代わる記録媒体としてパソコン界にデビュしそうだ。デイタMDの登場である。記録容量は140MBとFDのざっと100倍,転送速度は150KB/秒だから定速のCD-ROMクラスである。でもそれじゃちょっと遅い。ソニーは動画も入れるつもりらしいが,倍速MDでも作らなきゃ無理だね。
パソコン界では印象の薄い彼の社としては是非とも成功させたい。しかしスペックからしてHDやMO・CDの代わりは無理である,やはりポストFD狙いで正解だろう。普及の決め手は価格であって,この秋に出る1号機はドライヴ10万円・ディスクは3000円ということだ。
もちろん音楽用MDも掛かる。ディスクの高いのは音楽用より高品位に作ってあるかららしい。FDでは物足りずCDには勿体ない量のソフト配布媒体にうってつけである。ドライヴァにマイクロソフトが一枚かんでいるから将来は有望だ。MOより負荷が軽いんで,消費電力を気にするノウトパソコン辺りから搭載されるかな。140MBならHDのバックアップに使える。データストリーマに傾いていたおれだが,暫く待とう。どうせなら今のMDレコーダが使えるようなインタフェイスも作ってくれんかしら。
いや,ソニーはそんなことしないね。単品では至れり盡くせりの物を作るくせに他社機との連係を潔しとしない。そんな根性だからこっちでパッとしないんでい。

草草

1994年4月26日


前月 目次 次月

Oh oh, here she comes. Watch out boy, she'll chew you up. Oh oh, here she comes! She's a
 Daryl Hall & John Oats"MANEATER"の1節。やらしい造語かと思ったら,人喰い虎や鮫を指す普通名詞らしい。

戻る


written by nii.n