神奈川月記9311

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冠省
模様替えをしたら部屋がちょっとだけ広くなった。
と言っても改築して床面積を広げたのではなく,スピーカを寄せてTVを挟みラックを積み上げただけのことだ。高層化による集中配置の賜物である,わざわざ断らなくても判ることだけれども。

畳1畳分も空いた訳ではないに必然的にラックの上という便利スペイスが消滅し,細細としたいろんな物が溢れだした。オウディオ絡みのメンテグッズ・植木鉢・26穴パンチなどなど。
いちばん気の毒なのは十数台のバイクとその専任ライダ達,数台と数人を処分してもスピーカとテレビの上に鈴生りである。
鈴なり(組み合わせは違うかも)あるのは(括弧内はライダ)こんなところ。

ここで話をどっちに飛ばすか迷った挙げ句,ガンダム方面に決定する。

ガンダム以降ひとが乗り込んで動かすロボットのことをMSと言うと国会で青島幸男が決めたのだ
MS(Mobile Suits。モバイル_スーツじゃないよ,モビル_スーツ)の概念の普及に伴って普通の宇宙服はNS(Normal Suits)と呼ばれるようになった。いやMSてのは兵器に限られ土木作業用のは特にレイバーと言うのだとの説もあるが,人気の割にいまいち浸透していない。
そもそも人型ロボットなんてのは無駄が多くて実用性は非常に低い。何をするにも別に道具を作って手に持たせなければならないからだ。つまり巨大ロボットと巨大ショベルと巨大ライフルを作るくらいなら最初からブルドーザと戦車を作った方が手っ取り早くて安く済む。ロボットでそぉっと近付いて爆弾をしかけるより戦闘機をぶっ飛ばして一撃離脱の方が安全確実なのである。またMSの活動域は主として宇宙空間であって,脚は無用の長物に他ならない。
それでもMSが主戦力たり得るのはレーダを無効にする「ミノフスキー粒子」が発見されたためだ。これを散布しておけばあらゆる電子探査と無線が使えず,前時代の低速有視界移動を採らざるを得ない。またMSの長大な手足は,使ってみると振り回す際の反作用でデッド_ウエイトどころかバーニア噴射による姿勢制御よりも素早い方向転換をもたらすことが判った。

ジオンが地球連邦に対して独立戦争をしかけたのがUC79年。ジオン軍が先んじて実用化したMS「ザク」の快進撃を止め,戦局さえひっくり返したのが「ガンダム」だ。
ザクはいちおう汎用のMS(レイバーに近い訳やね)なのだが,ガンダムは対MS白兵戦用の純粋兵器である。ジオン軍は国力疲弊と中核を成すザビ家の御家騒動でけっきょく自滅,8年後ジオンの残党狩りを睨んだガンダムmk IIを経てΖガンダム・ΖΖガンダム・νガンダムと続き,40年たってもクラスターガンダム・ネオガンダムが作られ,まこと世に盗人の種は盡きまじといった様相を呈している。

『機動戦士ガンダム』は要するにアムロがララァに出会って覚醒するお話だったのだけれど,MSという道具立てばかりウけて続編と亜流の番組が濫造された。ΖとΖΖのつまらなさは御存知の通り。今はテレビ・ビデオの映像商品から離れてプラモデルの世界だけで物語が進行している。
しょせん虚構のストーリなので革新技術がぽんぽん開発され,代を追う毎に火力も機動力もがんがん向上する。しかしΖ系の変形システムは如何にも脆弱だし現在(UC123年)のMS群は華奢でごてごてと火器を背負い弁慶の七つ道具を借りた牛若丸のような滑稽さを隠せない。と言って初代ガンダムは余りにシンプルで──当時のアニメの限界ですな──おもしろ味に欠ける。で,僕のいちばん好きな機体はガンダムmk II(これ,どっちかと言うと悪役)だ。軽装で精悍で頗るヴァランスが良ろしい。

バイクは実車が2m程度のをプラモで1/12スケイル,MSは頭頂高15mクラスのが1/100・20m前後のは1/114と,いずれも掌に持って遊ぶ大きさである。
ある日戯れにRGΓにファントム_レイバーを跨がらせてみると,ぴたりフィットした。おや,と思って電卓を叩くと,あっ,何と言うことだ,MSって1/12換算なら身長1.6ないし1.5mの人間サイズではないか。
mkII riding the KTMかくしてバイク模型にはMSライダが不可欠になった。
しかしながらMSのプラモ,元元ライダとしてはチビの上に極端な脚長短胴,こいつら,しゃがむことさえできないのだ。手は最近のモデルこそ人差し指と中指・薬指・小指のブロックとが可動で握る動作を再現できるものの(親指は固定)ビームライフルほどハンドルを保持しない。それでもマシンがマシンに跨がる図は奇妙にマッチして,ずらり並べたとき乗せると乗せないとで迫力が違うのだ。


上を書いたのは何と6月19日。もぅお,随分まーえのぅお,忘ぅれそーな,コトさ。かくも長きに渡って連載が中断したのは,高校時代広島月記が始まって以来はじめてのコトではないかしらん。
この間ぼくが放電しきっていてなーんもする気がせんかった上にもうどーでもえーけんね状態だったからなのだが,放電状態の顛末は日を改めて記述いたす。まだなーんもする気がせんのよね。上ももはや白痴化が顕著であるけれど,記録は記録なので採っておこう。


ワープロをN3に変えて2年余り,この間ワープロに関してめぼしい進歩は見られなかった。普及飽和と景気の後退でハードは売れなくなったし,個人ユーザに必要な機能は過剰に網羅してしまっている。僕自身そんなに切実にかつ頻頻とN3の能力に不満を抱くものでもなく──いやさ,N3に交換したのもα5の不調に嫌気が差したのとプリンタ別体化構想があったからであった──ぽとぽと入力している次第だ。
と,シャープが書院にペンを付けて来た。それがちょっとは売れたのか東芝がルポに搭載,カシオも真似した。僕はペンで書くのが厭でワープロ化したクチであるから,こういう先祖返り方式はABC順配列のキイボード同様メイカの親切ごかしと見做して否定する。莫迦垂れが,付けるんならマウスにしろとアングリィ入ったところで,我らがキヤノンは新作『J』でマルチウインドウ+マウスの32bit機を世に問うた。偉い,僕好みの仕様をずばり出して来る,だからキヤノンは人気が無いのだ。

マルチウインドウというのは,複数の文書を同時に立ち上げておいて相互にデータを遣り取りする機能である。それぞれの文書が窓に当たるのね,DTPへの第一歩だ。
Jのマスコットキャラは懐かしや『トム&ジェリー』,マウスに引っかけての登用だろう,僕はジェリーよりもドルーピーよりもトムが好きだったけどね。
電車の中吊りで初めて知り,僕のアンテナも衰えたものである良いなぁ欲しいなぁ買い換えようかなぁと思ってよく見たら,ナニ,30万円だと。くくっ,出せないことはないが30万ならロウエンドのパソコンが買えるぞ。キヤノちゃん,やっぱりこれも売れないよ。
次世代ワープロが旧世代パソコンに匹敵するコストと判ってしまうと,踏み出す先はそっちしか無い。もうひと踏ん張りすれば広大で肥沃な世界が開けてくるのだ。

ついこの間まで業務用のシステム構築というと,本社屋の一等室にどでんとホスト_マシンを安置たてまつり全国に端末を配置することだった。
端末は正に端末で,データの入力と表示を行なうだけ。逆にホストは一切合切の負荷を引き受け,安定運用の為には超強力たらざるを得ない。
まぁお察しの通りマシンパワと費用は級数的に比例する。最近になって漸く端末がパワを獲得し始め,ホストが処理しやすいようにまた美しく表示するようにデータを加工することが可能になった。それなら小さなホストで済み,コストを低減できる。
世に言うダウンサイジング(ライトサイジングと呼ぶ方がふさわしい)とはこれだ。投資力に乏しい中小企業もOA化の波に乗れる。もちろん大企業にとっても安くつくのは大歓迎であって,大ホスト形式は決して廃れはしないけれど唯一の選択肢ではなくなる。プログラミングの段階では特にホストを使う必要が無く──既に他の業務が立ち上がっていればなおさら。開発中の事故でダウンさせる訳にも行かない──端末で作りあげた最終成果物だけをホストに移送すれば良いのである。
つまりハードメイカにとっては,高価なスパコン1台に多数の端末をセットで売りつけ人件費の塊たる専用ソフトを押しつけ莫大な運用費を要求する高収益型システム開発で何年間も食える,左団扇の時代が終わった訳である。

不一

1993年11月14日


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ティターンズ
 よく解らんが,悪もんらしい。宇宙コロニー時代に地球産まれの軍人で固めたヤな集団といった感じみたいっす。

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篠原重工
 パトレイバーことAV98イングラムを開発・警視庁に納入した新興の重工業会社。善悪とは無関係。

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サナリィ
 よく解らんが,悪もんらしい。地球連邦軍の戦略研究所みたい。

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SEJ
 Shaft Enterprise Japan。超多業種で超多国籍企業の日本支社。ここの第7課が突出してAV98に挑んでたんだけど,それは基本的に課長の遊びを業務にすり換えたもの。

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CV
 Crossbone Vangard。よく解らんが,悪もんらしい。選民思想の政治結社的企業みたい。

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AE
 Anaheim Electronics。よく解らんが,悪もんらしい。地球に本社を持つMS最大手のメイカで,景気が悪いと裏で戦争を起こして儲けようとするタイプみたい。

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国会で青島幸男が決めたのだ
 赤塚不二夫『天才バカボン』のパパのギャグ(のひとつ)。青島幸男は国会議員だったこともあるのだ(99年1月記)。

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もぅお,随分まーえのぅお,忘ぅれそーな,コトさ
 RC Succession『まぼろし』の1節。おれはすんごいファンというわけではないので書いてしまうが,子供が産まれてからの清志郎の変節ぶりが悲しいぞ(99年1月記)。

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written by nii.n