東京月記8711

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だいぶん寒くなって来ましたな。それにしても日の暮れるのが随分早い。東京と＊＊（または＊＊）との経度差が効いてゐるのかな，１時間は違ふやうな気がする。気温は緯度の差か。

今後エアコンの暖気だけでは心許無いので──スペックを見ても実力がどの程度なのかよく判らん。910Ｗ・101Ａ運転で2300kW/h，どうせ非力だらう──補助暖房を考へておかう。

炬燵とはおさらばしたい。そもそも炬燵で場所を取るのが嫌で冷暖房エアコンを入れたのだ。エアコンでない暖房具でスペイス_ファクタを優先すると当然ホット_カーペットになる。これの暖かさる体験済みだ，ったってこいつも貧弱では仕様が無い。貧弱，貧弱ぅ〜。

うーん，ジョジョの奇妙な冒険，面白いですな。荒木飛呂彦と云ふ人は魔少年ビーティーとかバオー来訪者なんかを描いてた頃は人気が無かった（僕は割と気に入ってた）ものだが，ついにやりましたな。なかなか長続きしてをる。解説役のスピードワゴンが好きだったんだけど，殺されたらしい。今度のジョジョはディオに似てんな。

まあ良いや。かう云ふ家電は僕の専門外だし微妙な商品格差に拘泥する必要も無いからメイカはどうでも良い。エアコンが東芝製なのは「東芝だけに音が静かですよ，おばあちゃん」と云ふギャグを言ひたかったが為だ。

購入品（MHU-30S:\39,800）は1.3畳相当(170×100cm^2)カヴァ付き，いろいろな機能性質が謳ってあるが中級機としては標準的。半畳単位での暖房部位切り替へが欲しいけれど此れは望みが過ぎるか。暖かさは比類無く，想定に反して主力暖房器に伸し上がってゐる。ただし大食家で（消費電力380Ｗ），こいつとエアコンと炊飯器に通電してＴＶを点けたらさすがにブレイカが落っこちた。揃ひ踏みは御法度である。

ついでに電気掃除機（PV-A1:\11,000）も買はう。スティク_タイプで軽量（1.3kg），そのぶん仕事率は悪い（48Ｗ）が必要にして充分。

もひとつお負けにＴＶ用のアンプをやっと買ふ。これは蔑ろにできないので慎重に40秒で選んだ結果オーディオテクニカ（AT-MA50:\39,800）になった。

トーン無しフィルタ無しヴァランス無しのパワーアンプである。入力は感度の違ふのが３系統（250mV・500mV・0.25 250mV），出力は30Ｗ＋30Ｗ，何とＢＴＬ接続が可能で其の場合は片ch.60Ｗになる。小さく（190×100×234mm^3,3.7kg）て両サイドがラバー_マウントされてゐる。ギター小僧やキーボード姐ちゃんがちょいと集まって練習したりセションしたり或るいは其の録音テイプを編集したりと云った時に使ふ小型ＰＡだ。入力に依ってはミキシング回路やバス_ブースト回路を通る。

どんなに安いアンプでもフォノ_イコサイザの這入ったプリメインを買ふ気にはならない。かう云ふ奴がちゃうど良いのだ。とっくに作ってあるマトリクス_スピーカ（AV-3）を接続して，これでラジカセをＴＶから解放できる。

やっぱり竹下首相なんて面白くねえ，と言って土井孝子も硬直した婆あに違ひ無い。僕は政治を全然勉強してないもんで，誰がマシなんだかさっぱり判らん。僕の知ってる有名人で組閣してみやうか。総理は本多勝一にやって貰ふ。いきなり強烈ですな。外務相は中村とうよう，文部相に丸谷才一，農林相に西丸震哉，法務相は和久峻三（この人しか知らん），大蔵相に邱永漢（危ないかな），通産相には小松左京。う〜ん，調子に乗って始めたものの後はもう思ひ付かない。だらしないね。しかし硬派な内閣だ。国民の生活水準は平均化する（僕等は下がる）だらう。でも原子力問題かなんかであっさり空中分解しさうだ。長続きしないか。

えぇ，間に挟まりまして，誠に莫迦莫迦しいお話で，御機嫌を伺ひます。早いものでもう師走，幾らも経たない内にお正月でございます。昔はと言ひますと，赤ん坊が産まれまして此の子がすぐにひとつでございます。産まれた時が１歳。さうしてお正月になりますとまたひとつ数が増えます。新年，年が改まりますと皆が一斉にひとつ歳を取ると云ふ，実に此の，おめでたいものでございましたな。いはゆる数へ歳と云ふ奴で。あたくしなんぞ12月10日産まれでございますから，産湯を使ひましてひと月にもならない内にふたつになりました。人様より早く取れるものは取ってしまはうと云ふ，卑しい根性を致してをります。只今は満年齢と申しまして，おぎゃあと産まれ落ちまして１年経つ迄は零歳と云ふ，訳の解らない事を言ってをります。これでは『子誉め』の下げが何の事だかさっぱり判らない。

先日も知り合ひのご婦人が河童野郎をひり出しまして，「やあ，大きい赤ん坊だねえ」
「さうなのよ，11箇月もお腹にゐたのよ」
「生意気だね。それでこんなに髭面なのかしら」
「それは家の旦那でショ」
「あぁこっちか。随分小さいな，それに毛むくぢゃらだ」
「それは猫」
「これかい。お人形みたいだね」
「ありがたう。そんなに可愛い？」
「いやね，腹を押すとキュッキュキュッキュ泣くからよ」
「そんな事をしちゃあいけない」

「で，この赤ん坊はお幾つで」
「幾つったって，まだ３箇月よ」
「３箇月，いやぁお若い」
「若いって，幾つに見えるの」
「どう見ても只だ」，やはり下げが成立致しません。

「所で君は幾つだっけ」
「あたし。25よ」
「う〜ん，もう婆あだな」
「何言ってるの，あなたの方が年上ぢゃないの」
「違ふよ，俺は四捨五入したら零歳だぜ」
「どう云ふ計算したのよ」
「いやあ，十の位をサ」
へい，ご退屈様。

歳と言へば今年は免許証の更新がある。最初に原付の運転免許を取ったのは82年の１月だが其の後は普通・自動二輪の追加があって，更新と云ふのは一度もやった事が無い。その前に住所変更届けをしておかねばならなかったのだけれど，更新時に一所にしてしまへと思って（手数料を重ねて取られるのは嫌だ）放ったらかしてゐた。

所が此れは大変な反則だと言ふ。当局にぶりばり怒られるさうだ。えっ，さうなの。こりゃ参ったね。何しろ僕の免許証は＊＊の所番地の儘である。みっつも前の住所（＊＊→○○→△△→×××）なのだ。公文書詐称に抵触するか。

言ひ訳を考へた。「あの，車と免許証はずっと実家に置いてあって，こないだ送って貰ったばかりなんです」こりゃ駄目だ。去年の５月にスピード違反でパクられた。裏面に「停止３０日（〆）千葉県公安委員会」と這入ってゐる。住所変更をしなさいと此の時言はれてゐたのだ。万事休すですな。怒られやう。

と云ふので鮫津にある試験場へ行った。なあんだ，全然問題無いではないか。でも係りのおっさんは何か言ひたさうにした。忙しかったので見逃してくれたかな。それより問題は視力検査だ。

仕事柄毎日ＶＤＴを睨んどるせゐで，僕の目玉は腐り掛けてゐる。裸眼では0.1を割るだらう。検査のとき本当は半分以上見えなかったのだが，当てずっぽうで上だの右だの言ってゐたら受かってしまった。良いのかなあ。あれはきっと言ひ澱んだり考へ込んだりする奴を落とすんだね。係員は提出書類の方しか見てないんだ。反応で当落が決まる。

とにかく免許証が新しくなった。嬉しい嬉しい。昭和６５年の誕生日まで有効と書いてある。昭和65年はもう来ないと思ふが，どうか。

遂に行って参りました，生バンドのゐる店に。ＪＡＺＺである。六本木と云ふ土地柄からも僕がひとりでのこのこ行きやしない，連れてって貰ったのだ。六本木自体が２度目であって（前回は15箇月前にハードロックカフェに連れてって，貰った），道順は忘れた。演奏者も忘れた。ピアノ・ドラムス・ウッドベイス（！）のトリオにサックスのゲストが付くと云ふオーソドックスな構成だが市井の──でもプロだらう──ミュージシャンズ。

山下洋輔クラスの大物も来るのかどうかは知らんが，金子由香利・向井滋春らの名前が月間プログラムにあった。さうまで言はなくともちっと名の通ったバンドならチャージ料は数万円に跳ね上がるさうである。ピアノの肘打ち・げんこ打ちを聴けるかと期待したけれど，そんな事はしてくれなかった。

クラシック_ピアノをやってゐる女の子に訊いてみたら，山下洋輔弾きは全く以て許し難い暴挙蛮技夷術だと言ふ。ピアノから出せる音なのだから認めるべきだと僕は思ふが，指以外で弾くのはやはりタハケ者の反則技ださうだ。

店内は詰め込んで100人（立ち見無し。もっと行くかな。僕の目測は当てにならん），ステイジは全景を見渡せるがいっぱいに右に寄ってゐるので壁の影響が強い。ホール_エコーは極少，中域たっぷりで低音不足，ベイスは殆ど聞こえない。ドラムのアタック音は優秀で迫力もあり臨場感も良く，圧巻は場内ノイズ・暗騒音，実にリアルで生生しい，当たり前か。

でも何か定位が変だ。総じてお団子で時に音像がダブる。近距離過ぎるせゐかと思ったが突如として音量が変化するので判った。ＰＡを使ってゐたのだ。スピーカは例に依ってボーズである。おいおい，そんな広さぢゃないだらう。アコースティクの楽器ばかりで，そりゃあ無いぜ。

正直がっかりした。演奏も演目も退屈で，っても大音量で迫り来るので聞き流す事もできない。まぁ僕のズージャ体験はレコードを聴き齧っただけの物だ，名盤・ベスト盤の演奏と比べても詮無き事だな。えーっと，店の名はサテンドール。これは曲名ではないのか。

購入以来２年半酷使を重ね１年間放ったらかしといてまた頻頻と使ひ始めたらカセット_デッキ（SONY,TC-K555ES）がぐづってゐる，機嫌が悪い。困ったな。イジェクトが壊れてドアの開閉に障害があり，プレイ時にハムが這入る。尤もハムの方は置き場所の具合だらう。

ソニー製品の故障の多さには定評があり，こいつも既に１度入院させてゐる。もう駄目だね。来夏のボーナスはカセットデッキと，ついでにＦＭチューナと決まった。
５５５（TC-K555ESX;\105,000）を入れると部屋ん中がソニーだらけになって面白くない。初期性能の長期維持を願ってナカミチ（CR-30;\108,000）を狙ふ。チューナは王者ケンウッド（KT-1100D;\74,800）。どうせ新製品が出るから今決めても仕様が無いが。

本当は来年の夏冬の賞与でアンプを買ふつもりだった。30万円前後の強力プリメインか，パワーアンプ＋入力セレクタ（つまりゲイン零のコントロール_アンプ）＋フォノ_イコライザと云ふ構成だ。まぁ現用アンプ（NEC,A-10）はタイプIVが出る程の人気機種でしかも最も優秀なオリジナルである，焦って交換しなくとも良い。

ＤＡＴは考へてゐない。回転ヘッドを用ゐてゐる以上どうしたってＤＡＴは半拍遅れの動作になる。僕が秋葉原で弄くり回した所，ポーズ解除から実際に音が出て来るまで一番速かったソニー製品でも１秒弱のタイムラグがあった。一発勝負のエアチェックにはとても使へない。精密な編集にも向かない。マスタ_テイプ作りやレコード_コピイならＰＣＭシステムがある。ＤＡＴの出る幕は無いのだ。

衛星放送（ＢＳ）はどうするのだと何人かに訊かれたけれど，幾らなんでも早過ぎる。僕は１日中アメフトなんか観たくない。ワールドニューズなんか３分で飽きるに決まってゐる。オウディオ番組は魅力的だが（スペックだけで言ふとＦＭより遥かに音質が良い），器材がまだまだ高価に過ぎる。第一アンテナを据ゑ付ける場所が無い。ＦＭアンテナでさへ天井からぶら下がってゐるのが現実なのだ。

ＢＳは設営が難しくて，測定器具も要る。指向性が鋭いのでちょっとでもアンテナが余所を向くと画質が落ちる。メインテナンスが結構大変らしい。庭付きの家か頑丈なベランダのある部屋で割りと手軽に再調整できるやうな場所に立てないと，大風の度に屋根に上がる羽目になりかねない。家の中で手軽に，等と言ってゐるやうなアンテナでは曇り空になっただけでノイズが這入る。静止軌道から降って来るマイクロ波と雖も近接して高層ビルがあればアウトである。なかなか厄介な野郎なのだ。

不一

1987年11月吉日

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ジョジョの奇妙な冒険

ここでは始まったばかりの第２部のこと。

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長続きしないか。

ぜったい長続きしない。

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written by nii. n