大納言源定の孫。従四位上大和守源精の娘という。
古今集に三首入集。
題しらず
しののめの別れを惜しみ我ぞまづ鳥よりさきになきはじめつる(古今640)
【通釈】空がほのぼのと白み始める明け方、別れを惜しんで、私の方が鶏より先に啼き始めてしまったよ。
【補記】後朝(きぬぎぬ)の別れの歌。当時の貴族の婚姻様式は非同居の妻問い婚が一般的だったので、男は女の家で一夜を過ごし、明け方には帰ってゆく。鶏鳴が辞去の時を告げる合図であった。
【主な派生歌】
暁の鳥よりさきに鳴きそめてなれも別れや惜しむ雁がね(後水尾院)
更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成20年08月18日