円方女王 まとかたのおおきみ 生年未詳〜宝亀五(?-774)

長屋王の息女。天平九年(737)十月、従五位下より従四位上。天平宝字七年(763)一月、従四位上より正四位上。天平宝字八年十月、従三位。神護景雲二年(768)一月、正三位。宝亀五年(774)十二月、薨ず。なお天平八年二月、法隆寺に丈六分として白銅鏡一面を献納した円方王が見え(法隆寺伽藍縁起并流記資財帳)、円方女王と同一人かともいう。万葉集に歌一首を残す。

智努女王(ちぬのおほきみ)(みまかり)し後、円方女王の悲しび(いた)みて作る歌一首

夕霧に千鳥の鳴きし佐保路をば荒しやしてむ見るよしをなみ(万20-4477)

【通釈】あの方に逢いに行った時、夕霧が立って千鳥の鳴いていた佐保路――あの道を荒れるままにしてしまうのだろうか、会うすべがなくて。

【補記】題詞「智努女王」は系譜未詳。養老七年(723)従四位下に初叙。長屋王の妻で、円方女王の母か。


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日