丈部真麻呂 はせつかべのままろ 生没年未詳

遠江国山名(やまな)郡の人。天平勝宝七歳(755)二月、防人として筑紫に派遣される。丈部(はせつかべ、はせべ)は「杖」に由来する軍事的部民。

 

時々の花は咲けども何すれぞ母とふ花の咲き出来(でこ)ずけむ(万20-4323)

【通釈】季節ごとに花は咲くけれども、どうして母という花は咲いて来ないのだろう。

【参考歌】「日本書紀」野中河原満
本毎に花は咲けども何とかもうつくし妹がまた咲き出来(こ)

【主な派生歌】
くさぐさの花は咲けどもかぞいろのなきよの春は寂しかりけり(鵜殿余野子)
野にかへり春億万の花のなかに探したづぬるわが母はなし(前川佐美雄)


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日