マッキントッシュ C46 プリアンプ

C46は、2017年1月に同じマッキントッシュのC1100に入れ替わりましたが、その高音質と多機能で10年間以上私のシステムを支えてくれたすばらしいプリです。

 C29、C40に続いて私の宝物に仲間入りしたプリアンプがC46です。C40からの最大の音質変化は、今回もまたフォノイコライザーでした。

 これまで、LPの音はCDに比べて重心が低く、WADIA+C29時代には、LPとCDの音をあわせるために、CD側にdbxのグラフィックイコライザーを入れていました。当時の私にとって、あくまで主はLP、CDは副だったので、修正するのはCDの音であるべき、という発想でした。

 しかし、今回のC46を通したLPの音は、ある意味、CDに近いエネルギーバランスの音に変わりました。最初は驚き、失望したこともありましたが、いろいろ調整してみると、このおかげでCDとLPをほぼ同じチューニングにすることが可能になりました。

 ここで重要になるのがC46の8素子のイコライザーです。これを駆使して調整した音(CDとLPで共通のイコライザポジション)は、もちろん同じではありませんが、どちらもそれぞれの特徴を生かせたすばらしい音です。

 「LPの音こそ理想的」という考えをすこし改め、少なくともCDでLPの音を再現しようとすることはやめました。CDは「CDならではの音」でよいではないかと。この思考大転換が、Oracle CDドライブ+DAC64 Mk2にCDプレーヤーを入れ替える大きなモティベーションでした。

 

8素子イコライザーによる調整

 C46の8素子イコライザーは、その威力を知ってしまうと、本当に有効な機能です。8素子イコライザー(左右共通)とJBL4344の左右独立したアッテネーターとで追い込んでいった音は、C29時代とは別世界です。C29の古きよき時代の音も好きですが、現代の技術でなければなしえない、こういう音もまたすばらしいと思いました。

 いろいろと試行錯誤した結果、JBL4344のアッテネーターは少しハイ上がり(JBL本来の設定に近い)にしておいて、それをC46での高域をさげて修正する、という設定が、非常によい結果をもたらしました。音響アナライザーPAA3での測定では決して見えない質感の差です。

上の写真は、2007年3月10日現在でのC46イコライザーの位置です。C46のイコライザーの調整範囲は+/-12dBなのですから、上記はとうてい「微調整」といえる範囲ではないことがわかると思います。特に150Hz以下のポジションは、低域特性のうねりを改善するためで、低域は(50Hzの部屋特有のギャップをのぞき)30Hz近くまでほとんどフラットになり、画期的によくなりました。

 こんな思い切った調整がよい特性をもたらすなど、PAA3がなければ決して想像できませんでした。プログラムソースにより微調整することはありますが、いじるのは150Hz、1.2k、4kの3つのみであることが多いです。

 念のために申し添えると、PAA3でフラットに調整した音が一番よいとは限りません。上記設定も、中高域はフラットからはかなり外してあります。低域うねりもすこし残したほうが「アナログ的」になるのを発見してしまいました。

2007/3/10記

 2012年9月追記

 現状では、C46のイコライザでの調整と同じ特性をDEQ2496のPEQに移植したので、C46のトーンコントロールはOFF(Bypass)になっています。OFFにして必ずしも音質が断然良くなったということはありませんので、C46の8素子イコライザー回路は実に優秀なのでしょう。

 新機材などに対する新しい特性を探る時は、C46の8素子イコライザでまず最適な調整特性を探るのが便利。(リモコンできればもっといいけど)。

 デジタルイコライザと違って、大きくブーストしても出力がオーバーライドする(デジタルで出せる数値的最大値に達する)という心配がないので、アナログ調整は意外と安心です。

 

 C46の8素子イコライザの周波数選択とそのQ値(変化の幅)の設定は実に巧みです。例えば、4kHzは補正する幅が8オクターブ前後なのに、1.2kHzは3オクターブ。 これが実によくできていて、4kHzは音の輝きを、1.2kHzはその中でちょっとうるさい音を鎮める、といった機能が非常に明確です。 これらのバンド幅の設定はDEQ2496でもまねさせていただいています。

 マッキントッシュで学び、DEQ2496に反映するというわけです。8素子イコライザーを使わなくてよいなら、プリがC46でなくてもいいのではないかなあ、と思っていましたが、結局、ますます、その便利さがわかってきました。

 

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