McIntosh C1100 Tube Preamplifier

マッキントッシュ C1100
真空管 プリアンプ





音量表示の遠隔モニター(自作) 2023年4月


シャープな音像と低ノイズ



C1100は、一般にイメージされている真空管
アンプの音を期待すると、かなり違っています。
マッキントッシュが時代最高のプリを作ってみたら、
その素子は、たまたま真空管だっただけで、
これが最新の半導体アンプの音であっても
まったく違和感のない音です。




 C29C40C46を引き継いだ私のプリアンプは、結果としては当然とも思えるC1100でした。でも、ここに至る道は、意外に遠い道のりだったのです。

 実を言えば、DEQ2496の導入によってC46の8素子イコライザが必須ではなくなった段階で、次はマッキントッシュ以外のプリもありうると考え、2年ほど前から各社プリアンプをサーチしていました。

 お店での試聴はもとより、自宅試聴までさせていただいたプリもあったのですが、どれも、「C46を凌駕する」 とは思わせてくれなかったのです。
 もちろん、それぞれに良さはありますが、「C46が断然良いよな」 と思わせる点もあったりして、なかなか、私が目指すプリには出会えなかったのでした。
 実際、
試聴すればするほど、C46とJBL4344の相性は群を抜いているのがわかりました。耳障りな音を巧みに緩和しつつ、美しい音を聴かせます。


 そんな2016年の年末近く、マッキントッシュ、C1100を自宅で試聴させていただく機会を得たのです。

なぜC52ではないのかというと、あの高さではうちのラックには入らないから。C1100なら二筐体になるとはいえ、C46と同じ高さなのです。だからマッキントッシュが買えるとしたら、これしかなかったのです。




まずフォーカスに驚く!
 聴きなれたマッキントッシュの音色でありながら、その音像のフォーカスが非常にシャープ、つまり個々の音像のサイズが非常に小さく収束する。

 音の定位や分離がいいのとは、ちょっと違います。定位も分離も、基本これまでと近いのですが、個々の楽器の音のサイズがはるかに小さいのです。もちろんボーカルでは人の口も小さい。


次に静寂感に驚く!

 このウルトラフォーカス音像に驚いているうちに、一曲が終わり、
曲間の無音状態での静けさに、度肝を抜かれました。
 え、これってプリのS/Nが良いってこと? 

 残留ノイズなんて聴こえていないと思ってましたが、暗騒音として、感じていたのですね。それがなくなると、はっきりと 「静かになった」 とわかるのです。

 
DACのD-02xは、ソースに入っているノイズを減らしてくる。だからノイズ低減用AI内蔵か、と表現しましたが、C1100の静寂は、そういうデジタル・マジックとは異なる。曲が終わり、編集エンジニアがボリウムを絞りこみ音声信号がゼロレベルになる時、さらに暗黒に引き込まれていく感じ・・・。 要するに:

曲間で部屋が静まり返っている。



今さらですが
C1100は真空管アンプです

 
私は、デジタル派でもアナログ派でもない。A級派でもAB級派でもない。もちろん真空管派でもない。

自分で聴いた音だけが選択基準。方式やデバイスにこだわりはありません。

 もちろん、真空管アンプの音の良さは認識していました。その一方で、S/Nがいまいち、という印象も、多分多くの人と同様に、持っていました。
 でも、現代の真空管アンプはそんなことないのです。中でもC1100は、電源を別筐体に分け、完全バランスアンプとした威力もあるでしょう。


 一方、C1100の音像サイズの小ささは、まさに真空管のトランジェント特性や位相特性の良さを反映しているのではないかな。



そうはいっても
DEQ2496はやはり必須

 もしDEQ2496による左右バランスの正確な調整がなければ、このC1100のピンポイントフォーカスには気が付かなかったのは確実です。

 「S/Nがいいな、高域の立ち上がりがなかなかいいな」とかいうだけに終わっていたでしょう。

DEQ2496による調整があったからこそ、その価値に気が付けたのだと思います。



内蔵フォノイコライザ
 C1100内蔵フォノイコライザについてはこちらに移動




エージングの様子

 購入して電源を入れた直後から、試聴機とは違いますが、結構いい音がしてましたので、そのまま調整を始めてましたが、やはり初期変化は小さくなく、時間の無駄になりました。

 電源を入れておくだけではあまり変化がないようなので、出力をヘッドホンにし、ハイレゾをリピートにして入力。音量は普通聴くレベル。そのまま30時間ほど放置して置いたら、ようやく音は安定。

 最初からこれをやったほうが早かったと思いました。
 その後は、よく安定しています。



電源投入後の音の変化


 真空管で現実の問題として気になっていたのが、日々の電源投入後、どれくらいで音が安定するのか、でした。
 

さすがに、真空管は電源を入れっぱなしにはできないから、C1100は電源を毎日オフにせざるを得ないでしょう。

 もともと、自己発熱する真空管は立ち上がりが早い、という常識は知っていました。それが1分か、10分か、1時間か、という問題。
ONにした時のC1100の動作
 まず、スタンバイからONにしますと、10-20秒ほど
真空管のLED照明がオレンジ色に変わります。いかにもWarmUp中みたいな感じ。
 そのあと、
照明が緑に変われば、ミュートがOFFで、音出しが可能になります。

 音を聞いてみると、まあ、ほぼ出だしから問題ない音です。ちょっとだけ高域がうるさいのが緩和していくのに3分とはかかりません。

正直、これはC1100のせいかどうかさえ微妙な範囲。これまでも音が出ていない時間が長いと(数時間とか)、音が落ち着くのに数分かかっていました。

 現実には、まずONにして音を出してから、ちょっと着替えなどして10分ほどで戻れば、最初から安定した音が聴けます。
 これなら、毎日電源オフでもまったく困りませんね。省エネだし。

毎日電源オフから音の安定を待つのは面倒かも、
というのは、まったくの杞憂でした。



小音量での楽しみ
 私は割と大音量で聴くことが多いのですが、C1100では、小音量でも別の良さがあります。

 以前は、音を小さくすると、音像は同じ大きさのまま、単に音が小さくなるだけだったのですが、
C1100では、音量をすこし絞ると、その分、音像も小さくなって、ちょっと距離が遠ざかり、なんか舞台に演奏者がいる感じが出てきます。
 バイオリン独奏などだと素晴らしいです。




C1100の二つの筐体を収めるため、やむなく、D-07aは引退しました。LP用のADコンバータは、ADI-2だけに収束したことになります。C46もお嫁入りしていきました。素晴らしいプリアンプであることにいまも変わりないので、あたらしいオーナーのもとで、また大活躍してほしいと思います。



2017年1月31日
2017年2月27日追記
 

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